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ソーシャルVR「VRChat」に興味はあるけれど、遊ぶためになにを用意すべきか、わからない人も多いはず。VRヘッドセットMeta Quest 2単体だけで大丈夫なのか、PCは何を購入すればいいのか、大体の予算はいくら用意すべきかと、迷ってしまうこともあるでしょう。

本記事では、「VRChat」を遊ぶ上で最適な環境構成の一例を、目的別で紹介していきます。

まずは推奨PCスペックをチェック!

「VRChat」は(Meta Quest版を除けば)PC上で動作するアプリケーションであり、PC
のグラフィック性能、CPU、メモリが重要になります。

PCで「VRChat」を遊ぶ場合は、基本的には「ゲーミングPC」と呼ばれる、グラフィックボードを搭載したゲーム用途向けのPCが推奨されます。

公式に発表されている、VRChatの最低/推奨スペックは以下の通りです。(VRヘッドセット使用時)

最低スペック

推奨スペック

OS

Windows 8.1、Windows 10

Windows 10

CPU

Intel i5-4590以上
またはAMD FX-8350以上

Intel i5-6500以上
またはAMD Ryzen 5 1600 equivalent相当以上

メモリ

4GB以上

8GB以上

グラフィック

NVIDIA GeForce GTX 970以上
またはAMD Radeon R9 290以上

NVIDIA GeForce GTX 1060以上
またはAMD Radeon RX 580以上

ゲーミングPCを買う場合、可能であればデスクトップタイプの購入をおすすめします。ノートPCタイプの場合、スペックは十分でもVRヘッドセットをつなぐための端子がなかったり、あってもグラフィックボードにつながっていなかったりする可能性があるため、VR運用時には懸念が生じやすいためです。

上記スペックからさらに余裕を持たせたスペックのゲーミングPC(組み立て済みのデスクトップタイプを想定)を購入する場合、予算はおおよそ15万円〜25万円程度まで検討しておくのが現実的です。

自作する場合はこの限りではないですが、自作経験のない人にはハードルは高いため、自作代行サービスなどを利用できる場合を除いて、避けるのがベターです。

ただし、「VRChat」を”快適に”プレイできるかどうかは、下記の要素も大きく関わります。

・VRモードで遊ぶか、デスクトップモード(=非VR)で遊ぶか。
・ワールドの重さ(容量、オブジェクトの数など)。
・ワールド内にいるユーザーの数。
・ワールド内にあるユーザーのアバターのパフォーマンス。

デスクトップモードで軽めのワールドに自分1人で行くならば、多少ロースペックでも大丈夫です。一方で、VRモードで重めのワールドに行き、そこにユーザーが多くあり、かつ全員が重いアバターを使っている状況では、最高クラスのコンシューマ向けゲーミングPCでも重くなることがしばしばあります。

このため、最初から最高クラスを目指すよりも、自分がどのようなスタイルで遊ぶのか(例:友人と少人数で遊ぶ、40人以上参加するようなイベントにVRで行く)を念頭に置く方が、「VRChat」を遊ぶ環境は構築しやすいと言えます。

もちろん、遊んでいる時間が長くなればプレイスタイルも変わるかもしれないので、拡張しやすい環境を選択するのも良いでしょう。

①ゲーミングPCは用意できたので、とりあえずどんな場所か見てみたい!

すでにゲーミングPCを所持している場合、最も手っ取り早い「VRChat」体験はデスクトップモードです。PC版「VRChat」のアプリケーション本体は「Steam」にて無料配信されているため、ダウンロードしてすぐ遊べます。

ワールドやアバターに制限のないPC版で遊べるため、話題のワールドやイベントへ訪問しやすいのが大きなメリットです。操作は基本的にキーボードで行いますが、ワールド検索、アバター変更、カメラ操作、フレンド登録、その他設定など、「VRChat」の基本機能は問題なく利用できます。また、VRモードで遊ぶユーザーとも交流ができるため、友人づくりも行いやすいと言えるでしょう。

一方で、VRモードと比べると没入感が劣り、アバターもVRモードほど自由に動かせないため、人によってはもどかしさや物足りなさをおぼえるかもしれません。時が来た段階で、VRデバイスの購入を検討することになり得る点については、留意しておくべきでしょう。

なお、一昔のゲーミングPCの場合、最新のワールドやアバターに対してはスペック不足となる可能性があります。VR環境へ移行する場合も、スペックが不足するとVRヘッドセットを起動できないケースもあるため注意が必要です。

②いちばんお安くVRでVRChatをやってみたい!

VRヘッドセットを利用して「VRChat」を体験したい場合、最も簡単な入口は「Meta Quest 2」です。37,180円(税込)から購入可能で、他のVRヘッドセットと比較してコンパクト、なによりPCに接続しなくても動作するため、安価かつ簡単にVRを体験できます。国内の家電量販店でも取り扱っているため、入手しやすいのも大きなポイントです。

そして、Meta Quest版の「VRChat」アプリケーションは無料。「Meta Quest 2」を手にすればすぐに始めることができます。

お手軽にVRの没入感を体験できるのがなによりの特長です。視界を全てバーチャル空間で覆うことにより、現実では行けない様々な世界で、多種多様なアバターを眼前に見られる「VRChat」の真骨頂ともいえる体験を味わえます。

ただし、Meta Quest版の「VRChat」は、一部のワールドやアバターを体験できないという制限があります。

・体験できるコンテンツがやや減ってしまう。
・フレンドがPC専用ワールドにいると会うことができない。
・Quest向けに対応されてないアバターを表示できない。

といったユーザー交流の面で少し不便になることもある点には注意が必要です。

しかし「Meta Quest 2」は後述するPC版のVRモードをプレイする上でも利用可能です。このため、最初はMeta Quest単体で「VRChat」を遊び、折を見てゲーミングPCを購入し、PC版VRモードへ移行できます。その点では、まずMeta Quest 2を購入する選択はアリと言えるでしょう。

③PCでしか行けないワールドに、VRで行きたい!


(上記ワールドは「SANRIO Virtual Fes in Sanrio Puroland」)

PC版でしか行くことができないワールドをVRモードで体験するには、ゲーミングPCとVRヘッドセットが必要になります。以下では、「VRChat」にも適した、定番のVRヘッドセットの候補をいくつか取り上げます。

Meta Quest 2(Oculus Link/Oculus Air Link併用)

単体でも「VRChat」を遊べる「Meta Quest 2」ですが、「Oculus Link」または「Oculus Air Link」という機能を使いPCと接続すれば、PC版の「VRChat」を遊べます。

「Oculus Link」はUSB 3.0ケーブル経由で、「Oculus Air Link」はWi-Fi経由で、それぞれPCと「Meta Quest 2」を接続する機能です。接続先のPCは相応のスペックが求められるほか、「Oculus Air Link」の場合はWi-Fi帯域などの条件がありますが、手元にある「Meta Quest 2」をそのまま活用できるため、「Meta Quest 2」単体環境から簡単に移行できます。

「Oculus Link」のセットアップについては以下の記事を参考ください。

「Oculus Air Link」のセットアップについては以下の記事を参考ください。

VIVEシリーズ

VIVEシリーズは、ハイエンドVRヘッドセットの定番シリーズです。相応のスペックのPCに加え、外部センサーを2基以上部屋に設置する必要があり、設営ハードルは高め。しかし、トラッキングの安定感が高いのが大きな特徴です。

スタンダードな使い勝手の「VIVE Pro」、フリップアップ機構で外の様子を確認しやすい「VIVE Cosmos Elite」、5K相当の高解像度が体験できる「VIVE Pro 2」など、ラインナップは豊富。基本的には「VIVE Pro」が手堅い選択肢ですが、予算やPCのスペック、用途から最適解は少しずつ変わります。

また、アイトラッキング機能が備わった「VIVE Pro Eye」は、現時点の「VRChat」ではデフォルト対応していない点には注意が必要です。アバターに専用ギミックを組み込むことでアイトラッキング対応も可能ですが、準備が必要となるため、ある程度慣れてから手を出すのが無難でしょう。

【参考】VIVEシリーズの価格早見表

ヘッドセット

フルセット価格(税込)

VIVE Pro

137,000円

VIVE Cosmos Elite

109,000円

VIVE Pro Eye

179,168円

VIVE Pro 2

178,990円

VALVE INDEX

ハイエンドVRヘッドセットの中でも、現在まで高い評価を得ているのが「VALVE INDEX」です。高めの解像度、オフイヤースピーカーによる音声面での没入感の高さなど、「VRChat」をプレイする上でも有用な性能がまとまっています(フルセット価格は税込138,380円)。

また、対応コントローラーの「INDEX Knucklesコントローラー」は、五本の指の動きをトラッキングできるという特徴があります。両手を自由に表現できるため、コミュニケーションをさらに豊かに表現できます。「VALVE INDEX」だけでなく、上述したVIVEシリーズとの併用もできるため、コントローラーだけ購入するのも一つの手です(コントローラーのみの価格は税込39,380円)。

こちらも、VIVEシリーズと同様に、外部センサーを2基以上部屋に設置する必要があります。設営ハードルがやや高めですが、トラッキングは安定します。

④好きなアバターで自由に身体を動かしてみたい!

「VRChat」の醍醐味のひとつとして、フルトラッキング(※人の全身の動きをVRで再現する技術)を外すことはできません。好きなアバターをまとって、思い思いのポーズを取り、それを友達に見せたり、写真を撮ったり……「VRで好きな存在になる」を最も強く体験できる表現方法です。

フルトラッキングを「VRChat」で実現する方法は現状では下記があります。

お手軽なフルトラッキング構成


導入が簡単なフルトラッキングデバイスとして、「HaritoraX」と「Uni-motion」が挙げられます。身体の各所に装着することで、主に下半身の動きを取得し、アバターへと反映させられます。

「HaritoraX」は27,900円(税込)、「Uni-motion」は49,500円(税込)と、比較的安価である点がなによりのメリットです。また、どちらも動作にあたっては外部センサー不要なので、「Meta Quest 2」とも併用できるのが大きなメリットです。

現時点では、「Meta Quest 2」+「HaritoraX」+ゲーミングPCの構成が、最もお手軽なフルトラッキング構成です。価格面でも(ゲーミングPCの価格次第ですが)安価におさまり、外部センサーを設置しなくても動くため、導入ハードルも低めです。

最高クラスのフルトラッキング構成

より本格的なフルトラッキングを行いたい場合は、「VIVEトラッカー」(税込17,500円)が選択肢となります。取り付けたものの動きをトラッキングできる小型デバイスで、これを腰や足先などに取り付けることで、身体の動きをアバターへ反映させられます。

VIVEシリーズなどと同様に、動作には外部センサーが必要となります。このため準備が大変ですが、より精度の高いトラッキングを実現できるのが特徴です。

また基本は腰の1点装着か、腰+両足の3点装着ですが、さらに両肘+両膝+胸部の5点に追加装着した、11点トラッキングまで拡張可能です(※2022年5月12日時点ではベータ版でのみ動作)。11点はやや過剰ですが、より高精細な動きをアバターへ反映できます。

現状では、「VALVE INDEX」のフルセット(税込138,380円)+「VIVEトラッカー」(税込17,500円)×3+ゲーミングPC(ハイエンド推奨)が、最高クラスのフルトラッキング構成のひとつです。

仮にゲーミングPCを25万円で確保できた場合、総額はおよそ44万円。非常に大きな出費となり、外部センサーの設置も必要ですが、トラッキング性能・範囲は最高レベルです。なおかつ「VIVEトラッカー」の追加などの拡張性も高い構成となります。

なお「VIVEトラッカー」1つあたりの連続稼働時間は7.5時間(メーカー公称)で、「HaritoraX」や「Uni-motion」よりも短めな点は留意が必要でしょう。

まずは「VRChatでなにをするか」を決めてから

上記で紹介した構成はあくまで一例です。このほかにもVRデバイスはいくつかあり、さらに今後も期待のデバイスがいくつか登場予定のため、最適な構成は半年後には一変している可能性もあります。

ただし、デバイスの選択肢が増えたとしても、「VRChatでなにをするか」という軸を持っていれば、自ずと新しいデバイスが必要かどうか判断できるはずです1一人で遊ぶか、数人の友人と遊ぶか、大規模なイベントに参加するか、フルトラッキングを活用して自己表現したいか……まずは自分の中の軸を見定めてみて、「VRChat」で遊ぶ環境を整えましょう!

VRChat公式サイトはこちら。
https://hello.vrchat.com/

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