プジョーの主力モデルのひとつであるCセグメントハッチ及びステーションワゴンの「308」シリーズがフルモデルチェンジを発表した。輸入車の大定番、VWゴルフのライバルであり、従来型は、近年のプジョー人気の上昇にもひと役買ったこともあり、市場からの注目度も高い一台だ。
劇的な進化を見せた従来型を上回る各部のアップデートが加えられた新型は、まさにトピック満載。そんな新プジョー308の特徴をお伝えしよう。
文/大音安弘、写真/大音安弘、ステランティスジャパン
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■9年ぶりの全面刷新で3世代目に
ステランティスジャパンは2022年4月13日、プジョーの主力モデルである「プジョー308」シリーズのフルモデルチェンジを発表し、同日より受注を開始した。新シリーズもハッチバックとステーションワゴン「SW」の二本立てとなり、価格は305万3000~530万6000円となる。
プジョー308は、日本の輸入車の主戦場ともいえるCセグメントカーで、欧州でも人気の高かった従来型は機能と質感が高まったことから、日本でもVWゴルフのライバルとして注目されるようになり、近年のプジョー人気の高まりにも貢献していた。
新型は、欧州ではすでに2021年に発表されており、いよいよ日本への導入が開始されることになった。かつては、モデルを重ねるごとに末尾数字が数を重ねてきていたが、近年は名称を固定化。308も新型で第3世代となる。
プラットフォームは従来型同様EMP2であるが、各部に改良を加えたアップデート仕様となっている。
■ライバルよりもひと回り大きいボディに
新型の最大トピックは、ボディサイズの拡大だろう。新型ハッチバックは、全長4420×全幅1850×全高1475mmに。ホイールベースは、2680mmまで拡大されている。具体的に従来型と比較してみると、全長+145mm、全幅+45mm、全高+5mm、ホイールベース+60mmと全方位でサイズアップが図られ、ひと回り以上も大型化されているのだ。
これはワゴン「SW」も同様だが、もともと従来型も専用ホイールベースであったため、ハッチバックほどではないが、サイズアップされ、全長4655(+55mm)×全幅1850(+45mm)×全高1485mm(+10mm)、ホイールベース2730mm(±0mm)となっている。
サイズアップの結果、308ハッチバックはリサイズされたVWゴルフはもちろんのこと、同クラスのルノールーテシアやBMW 1シリーズよりも大きくなっているほどだ。
■より攻めた内外装デザインへ
そのボリュームは、デザインにも活かされており、より抑揚の効いたスタイリングに纏められ、かなり未来的な印象を受ける。ひと足先にデビューしたコンパクトハッチの新型「208」やコンパクトクロスオーバー「2008」同様に、スピード感溢れる凝ったデザインのフロントグリルやライオンの爪痕を彷彿とさせるシャープなシグネチャーランプなどのアイコンを取り入れるが、そのアクセントもより強められているようだ。さらにフォルムもグラマラスとなったことで、全体の躍動感も増していると感じる。
インテリアは、プジョー独自のコックピットデザイン、「i-Cockpit」の最新世代に取り入れたもので、これまた未来的。ただ、あえて直線を強調することで、昔の映画のなかで描かれた「未来」のような懐かしい雰囲気も感じられるのも面白いところだ。
もちろん、機能は最新式となり、デジタルメーターやタッチスクリーンを標準化。さらにGTグレードには、コネクテッド機能を持つ「I-Connect Advanced」を標準化し、「OK、プジョー」の発話での対話型操作を実現している。
シートも全車で高密度クッションを採用したダイナミックシートとし、快適性に配慮。表皮については、GT系がアルカンタラ&TEPレザーのコンビに。アリュール系がファブリック&TEPレザーのコンビとなる。
■ガソリン、ディーゼル、PHEVからのセレクト
プジョーの「パワーオブチョイス」戦略から、同仕様で複数のパワートレーンが選べるように設定されており、プジョー308では、ガソリン車、クリーンディーゼル車、PHEVからの三択となる。トランスミッションは、全車8速ATを搭載しており、それぞれのパワーユニットの具体的なスペックは以下のとおり。
ガソリン車は、エントリーグレード「アリュール」のみに搭載。1.2L直列3気筒ターボエンジンの性能は、最高出力130ps/5500rpm、最大トルク230Nm/1750rpmと必要十分なもの。燃費消費率は、17.9km/Lとなる。
主力となるクリーンディーゼルエンジン車は、トリムは「アリュール」と「GT」の2択となる。従来型のモデル後半より採用された最新式の1.5L直列4気筒ターボエンジンとなる。最高出力130ps/3750rpm、最大トルク300Nm/1750rpmを発揮。排ガスのクリーン化のために、尿素SCRシステムを搭載している。燃費消費率は、21.6km/となる。
308初となるPHEVは、GTグレードのみに用意。前輪のみを駆動するシステムで、トータル出力225ps/360Nmを発揮するもの。エンジンは、1.6L直列4気筒ガソリンターボで、最高出力180ps/6000rpm、最大トルク250Nm/1750rpmを発揮。
電気モーターも、最高出力110ps/2500rpm、最大トルク320Nm/500~2500rpmとパワフル。12.4kWhの駆動用リチウムイオンバッテリーを搭載し、航続距離はハッチバックモデルで、64km(WLTC)と長めで、EVモードの最高速度も135km/hと高いため、日本では多くのシーンを電気走行のみで行うことができる。充電については、200V普通充電のみに対応し、6kWの出力ならば、約2時間半で完了できる。
■トリムはGTかアリュールの2択
新型308のグレードは、スポーティかつ装備が充実した「GT」とエントリーモデルの役目を担うコンフォート仕様の「アリュール」の2タイプに限定される。クリーンディーゼルは、いずれも選択可能だが、ガソリン車は、「アリュール」のみ。PHEVは「GT」のみとなる。
アリュールも300万円を超えてしまうが、前後LEDライト、ファブリックとテップレザーのコンビシート、17インチアルミホイールに加え、衝突被害軽減ブレーキ、アダクティブクルーズコントロール(ACC)、リアトラフィックアラート、ブランインドスポットモニターシステム、前後側面ソナーセンサーとバックカメラなどの充実の先進安全装備などは全車標準となるため、Cセグコンパクトカーとしては充実した内容を誇る。
現在の車両価格高騰の状況を踏まえると、しっかりと価格維持を図ったと捉えてもいいはずだ。さらに、GTではナビゲーションシステムとデジタルショートカットキーを備えたインフォメーションシステム、プジョー初のマトリックLEDヘッドライト、360°カメラなど装備のアップデートも図られている。
308のなかでも新登場となるPHEVは、同じGTグレードのクリーンディーゼル車と比較すると約100万円高だが、輸入車のPHEVが高額車が中心で構成されているため、500万円前後の価格は、電動化車を検討するユーザー向けの戦略的な価格設定でもあるようだ。また、現時点ではCEV補助金も決定していないため、その動向にも注目したい。
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