大塚 英志 2022/04/15
まんが『のらくろ』の作者として知られる田河水泡氏は、戦時下、満州の開拓を担う青少年義勇軍への動員、そして、満州で生活する青少年に向けた創作教室を行ってきたという経歴を持つ。人気まんが家だった田河氏はどのような考えでプロパガンダまんがを執筆し、当地でのまんが教育に臨んできたのだろう。
ここでは、元まんが家であり、現在は評論家として活躍する大塚英志氏の『大東亜共栄圏のクールジャパン 「協働」する文化工作』(集英社新書)の一部を抜粋。田河氏が満州で行っていた、「幾何学模様」を用いたまんが教育を糸口に、まんががどのように政治利用されてきたのかを振り返る。(全2回の2回目/前編を読む)
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田河が満州で教えた「幾何学模様」の意味とは
ここで少し脱線する。なぜ、「幾何学模様」を田河が用いたのかが少し気になるのだ。
というのは、「翼賛一家」(編集部注:朝日新聞から刊行された横山隆一による家族物のまんが作品)二次創作企画の紹介記事には「誰にでも書ける様に簡単な線のみを用ひられてゐる」(「朝日新聞」1940年12月5日)と記されていることを想起させるからだ。
同作の“二次創作”の公募記事にも「顔を描く時に夫婦は円形、祖父母は三日月、長男長女は四角、次男次女は三角、三男三女は円形、幼児はドングリ型、これが特徴です」とある。
このキャラクターを図形にたとえた描き方は新聞紙上で横山隆一による絵でも示されるものだ(図18)。
横山の単行本「翼賛一家」にも同様の描き方が収録される。リアルタイムで翼賛一家に接したまんが家の馬場のぼるは戦後、このキャラクターを「はめ絵」と回想するが、この図形的書式を指していると思われる。
引用元: ・【社会】 戦争中に『のらくろ』が果たした“知られざる役割”…“まんが”は戦争にどのように利用されたのか [朝一から閉店までφ★]
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