メルセデス300SLRが密かにオークションに出品!史上最も高価な車? このユニークなメルセデス300SLRレーシングスポーツカーは、史上最も高価な車となるかもしれない。「ウーレンハウトクーペ」の背景と、1億数千万ユーロ(約185億円!!!)の取引の全情報を紹介。
メルセデス・ベンツ300SLR、伝説の「ウーレンハウトクーペ」は、史上最も高価なクルマになるかもしれない。業界ポータルサイト「Hagerty(ハガティ)」が報じているように、2台しか製造されなかったこのモデルは、2022年5月6日、秘密オークションで、1億3,500万ユーロ(約185億円)という驚異的な価格で落札されたと言われている。
これは、数年前に4,000万ユーロ(55億円)超で取引された、1963年製の「フェラーリ250GTO」の3倍以上の価格となる。
「ハガティ」自身は「あくまでも噂」としながらも、「いくつかの情報源」について言及している。これによれば、名前を伏せたオークションハウスが、メルセデス・ベンツにとっての希少な「SLR」を落札したと言われている。
メルセデスミュージアムでオークション?
オークションの詳細は? 極秘!? 招待されたのは、厳選された超リッチな、カーコレクター10人ほどで、中にはプライベートジェットで特別に駆けつけた人もいるという。100万ドル(百数十億円)台の取引は、この日のために臨時休業していたシュトゥットガルトの「メルセデスミュージアム」で行われたという。
買い手は? 噂によれば、イギリスの自動車産業のお偉いさんだそうだ。しかし、メルセデス・ベンツも、「ハガティ」の名で知られるオークションハウスも、コメントを拒否している。
このクルマがどうしてこんなに高いのか? やはり、わずか2台しか作られなかったという超希少性だろう。作られた2台の違いは、赤と青という内装の色だけだ。ウーレンハウトの「SLR」と密接な関係にある、「メルセデス300SLガルウィング」は、いうまでもなく、最も人気のあるコレクターズアイテムのひとつで、完璧な状態のモデルには140万ユーロ(約2億円)の値が付いている。
しかし、「ウーレンハウトクーペ」のボンネットには、直列6気筒ではなく、直列8気筒が搭載されていたのである。それでも、希少なウーレンハウトの特別仕様が、ガルウィングの100倍近い値段で取引されたと言われているのはセンセーショナルだ。
当時としては息を呑むようなトップスピード
1956年の製造当時は、当時の絶対的なスーパースポーツカーとして、最高速度286km/hを記録し、当時の基準では息を呑むような速さだった。
【車両データ】
モデル | メルセデス・ベンツ300SLR |
エンジン | 2.5リッター直列8気筒ガソリンエンジン |
製造年 | 1955年 |
生産台数 | 2台 |
最高速度 | 290km/h |
駆動方式 | 後輪駆動、5速マニュアル変速機 |
全長/全幅/全高 | 4300/1740/1210mm |
乾燥重量 | 1117㎏ |
最高出力 | 302PS |
最大トルク | 310Nm |
スペシャル「300SLR」の名前の由来は、当時レーシング部門の責任者だったルドルフ ウーレンハウトが社用車として使っていたスポーツカーだからだ。
当初、このクーペはカーレースで使用される予定だったが、悲惨な事故となったル・マン24時間耐久レースでの大クラッシュの後、メルセデスは1955年シーズンを最後に、長らくレースから撤退していた。
メルセデス300SLRウーレンハウト: 史上最も高価な車?
Text: Raphael Schuderer
Photo: Mercedes Benz AG