50代の筆者にとって、自分の青春時代に憧れた80年代そして業界に入った1990年代の国産車、いわゆる“ネオクラシックカー”が令和になっても高い評価を得ているのは嬉しいこと。
その一方で、中古車の価格が暴騰し手が届かなくなっていることは、ちょっと寂しい気もする。個人的にも50代後半になったら、昔憧れたブルドックの愛称で人気となったホンダシティターボIIを手に入れたいと思っていた。
しかし、現在では台数が少なくなっているうえ、300万円以上のプライスを付けている中古車もあるなど、高騰していて、とても手が届かなくなっている状況だ。
そこで、ここでは50代のオトナが懐かしい青春時代に戻れる1980年~1990年代に登場したスペシャリティカーを紹介していこう。
文/萩原文博
写真/トヨタ、日産、ホンダ、ベストカーweb編集部
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■3代目プレリュード(1989年4月~1991年8月):中古車価格帯/約85万~約298万円
スペシャリティカーとは諸説あるが、専用のシャシーではなく、大衆車のシャシーにスタイリッシュなクーペボディを採用したモデルを指し、日本で最初のスペシャリティカーは初代トヨタセリカだという。
個人的にスペシャリティカーのイメージは、クーペもしくは3ドアハッチバックのオシャレなスタイルで、そこそこのハイパワーエンジンを搭載したデートカー。1980年代の2代目トヨタプレリュードや2代目トヨタソアラが思い浮かぶ。
これらのモデルをルーツとした1980年代~1990年代に登場したスペシャリティカーで、まだそれほど中古車が高騰していない5車種をピックアップした。
まずは、かつて自分も所有していたホンダプレリュード。プレリュードは1987年に登場した3代目と1991年に登場した4代目モデルを紹介する。
まずは1987年に登場した3代目モデルから。
3代目プレリュードは、当時世界初のホンダ舵角応動タイプのホンダ4輪操舵システム(以下ホンダ4WS)や、4輪ダブルウイッシュボーンサスペンション、新4輪アンチロックブレーキなど、ホンダ独自の数々の新技術を導入したFFスペシャリティカーとして登場。
外観デザインはデートカーとしてヒットした2代目からリトラクタブルライトが継承されたロー&ワイドフォルムの特徴。エンジンの徹底したコンパクト化と後傾レイアウトの採用により、FF車とは思えない超低ボンネットが特徴だ。
また、ボディとガラス面との段差を少なくする徹底したフラッシュサーフェス化や、整流効果の高いボンネット・ディフレクターなどの空力処理により、ノッチバックデザインでは優れた空力性能Cd値0.34を実現している。
インテリアは、極細ピラー採用によるワイドなガラスエリアにより、優れた超広角視界を確保。また、大型センターコンソール付のラップラウンド形状のインストルメントパネルや、機能的なメーターレイアウトを採用するなど、コクピット全体をスポーティなイメージでまとめている。
搭載されるエンジンは2L直列4気筒DOHCで最上級グレードのSiには電子燃料噴射システムのPGM-FIを組み合わせていた。組み合わされるトランスミッションは5速MTと4速AT。1990年には2.1Lエンジンを搭載した特別使用車のステイツを設定。
サスペンション形式は、快適な乗り心地と卓越した高速直進性、運動性を高次元でバランスさせるため、新生代の4輪ダブルウィッシュボーン式を採用している。
現在、3代目プレリュードの中古車はわずか9台しか流通しておらず、平均価格は約132.8万円。中古車の価格帯は約85万~約298万円とまだ、100万円以下で手に入る中古車はある。
■4代目プレリュード(1991年9月~1996年10月):中古車価格帯/約99万~約179万円
続いては1991年に登場した4代目プレリュード。2世代続いたリトラクタブルヘッドライトを止めて、精悍さを際立たせる個性的なツインリフレクターヘッドライトを採用し、精悍なマスクとなった。
外観デザインは、生きるものの躍動感や走る姿をイメージした“生体感”がコンセプト。先代モデルより、よりワイド&ローのフォルムになったと同時にフラッシュサーフェス化を徹底、豊かな表情と高品位なボディラインを強調している。
インテリアのデザインテーマは、非日常感を演出する、前席2人のための未来感あふれるインテリア。新発想のバイザーレス・グラフィックメーターパネルは、ドライブの楽しみを2人で共有するという発想により生まれた。
搭載されるエンジンは、最高出力200psを発生する2.2L直列4気筒DOHC VTECと最高出力160psの2.2L直列4切ろうDOHCの2種類。組み合わされるトランスミッションは、5速MTと4速AT。
4速ATは、デュアルモード・ロックアップ機構、ノーマル&スポーツの2ウェイモードに加えて、変速リタードシステム、シフトスケジュールを知能的に制御するPROSMATECを採用している。
しなやかでスポーティな乗り心地と高い限界性能を実現した新設計の4輪ダブルウイッシュボーンサスペンションを採用。さらにハンドリング性能の向上と自然なフィーリングを両立させたハイパー4WSを搭載している。
年式は新しいものの、4代目プレリュードは3代目モデルより少ない約5台しか中古車は流通していない。平均価格は約126.3万円。価格帯は約99万~約179万円と価格帯のレンジが狭い。グレードは100万円以下がSi、100万円台がSi-VTECとなっている。
■3代目インテグラ3ドアクーペ(1993年5月~2001年6月):中古車価格帯/約90.6万~約180万円
続いてもホンダ車で、“カッコインテグラ”のキャッチコピーで人気となったホンダインテグラだ。1989年に登場したインテグラ3ドアクーペは、なんといっても自然吸気エンジンでリッターあたり100馬力を実現した1.6L直列4気筒VTECエンジンが印象的だ。
外観デザインは、サッシュレスドアや大型三次曲面ガラス、スリムピラーなどを採用。徹底したフルフラッシュサーフェス化によりスポーティで洗練されたフォルムとなっている。
そして、インテリアは旧モデルより全高が20mm低くなっているにもかかわらず、フロア形状などの見直しにより室内高を5mm、ヘッドクリアランスもフロントで25mm拡大させて快適な移動空間を確保した。
さらに、コントロールパネルはカーブ形状に、大型センターコンソールもドライバー側へ向けてオフセットするなどドライバーオリエンテッドなデザインとなっている。
搭載されるエンジンは最高出力160psを発生する1.6L直列4気筒DOHC VTECを筆頭に、120psの1.6L直列4気筒ハイパー16バルブ+PGM-F1。そして105psの1.6L直列4気筒ハイパー16バルブ+デュアルキャブの3種類。組み合わされるトランスミッションは5速MTと4速AT。
サスペンション形式は、スポーティな走りと快適な乗り心地を生む4輪ダブルウイッシュボーンサスペンション(リアはマルチリンク式)を全車に採用し、高速安定性、コーナリング性能を向上させながら快適な乗り心地をハイレベルで実現した。
1995年8月には最初のマイナーチェンジが行われ、横長のヘッドランプに変更、タイプRが設定されている。
1989年に登場したインテグラ3ドアクーペの中古車はわずか2台しか流通しておらず、平均価格は約135.3万円。中古車の価格帯は約90.6万~約180万円。1.6LのVTECエンジンを搭載したXSiは新車時価格を超えるプライスとなっている。
■S13型シルビア(1988年5月~1993年9月):中古車価格帯/約165万~約529万円
デートカーとして席捲していたプレリュードの、強力なライバルとして登場したのが、1988年に登場した日産シルビアだ。S13型と呼ばれるこのシルビア。
登場したときはデートカーとして人気となったが、FRの後輪駆動を採用していたことで、時代を経てドリフト用のベース車として人気となり、時代を超えて若者に支持されている。
「アートフォース・シルビア」のキャッチコピーで登場したS13型シルビアは、均整のとれたクーペらしい美しいボディラインが受け入れられ、若者を中心に多くのファンを獲得。通産省選定グッドデザインと日本カーオブザイヤーを受賞するなど美しいボディデザインと走行性能は高く評価された。
搭載されているエンジンはデビュー当初は1.8L直列4気筒DOHCターボと1.8L直列4気筒DOHCだったが、1991年のマイナーチェンジで、SR20型の2L直列4気筒DOHCターボと2L直列4気筒DOHCに換装されている。
シルビアと共通のプラットフォームやパワートレインを採用する3ドアハッチバックとして1989年に180SXが登場。こちらは、先代のシルビア/ガゼールから受け継いだリトラクタブルヘッドライトを採用している。
現在、S13型シルビアの中古車は約48台流通していて、平均価格は約271万円。中古車の価格帯は約165万~約529万円と幅広い。中古車の多くはチューニング済車だが、中にはフルノーマル車もまだ見つけることができる。もう少しで100万円台の中古車は消滅しそうだ。
一方、1989年~1998年まで販売された180SXの中古車の流通台数は約93台とさすがに少なくなっている。平均価格は約244.2万円で価格帯は約145万~約439万円とフルノーマル車が少ない分S13型シルビアより割安となっている。
■2代目ソアラ(1986年1月~1991年4月):中古車価格帯/約99万~約438万円
最後に取り上げるのは、国産スペシャリティカーの頂点と思っているトヨタソアラ。1981年~1986年まで販売された初代モデルはすでに中古車相場が200万円以上となっているので、1986年に登場した2代目、1991年に登場した3代目、2001年に登場した4代目について紹介する。
1986年に登場した2代目ソアラは、「世界最先端技術の粋を結集した最高級プレステージスペシャルティ−」がコンセプト。品位のあるスタイル、卓越した基本性能、時代を先取りした先進技術を採用するなど、カーテクノロジー発展の先駆者となっている。
外観デザインは、すべてのガラスに三次曲面ガラスを採用し、ボディとガラス面の画一化をはかった球体イメージのフラッシュサーフェスキャノピーを採用している。
インテリアは、世界で初めて視線を前方視界からメーターパネルに移した時の焦点が合いやすいスペースビジョンメーターやパワースポーツシートなど各種電子装備を採用。
さらに、インストルメントパネルからドアトリムまで質感の高いスウェード調素材で覆ったグランベールインテリアにより、先進性、スポーツ性、高級感を強調している。
搭載されているエンジンは、最高出力230psを発生する3L直列6気筒ターボを筆頭に、2L直列6気筒ターボ、2L直列6気筒DOHCなどを用意。サスペンション形式は四輪ダブルウィッシュボーン式を採用し、高次元での操縦性と走行安定性そして乗り心地の良さを実現している。
2代目ソアラの中古車は約49台流通していて、平均価格は約227.3万円。価格帯は約99万~約438万円とかろうじて100万円以下の中古車が存在している。グレードでは3Lターボエンジンを搭載した3.0GTが高めだ。
■3代目ソアラ(1991年5月~2001年3月):中古車価格帯/約69万~約450万円
1991年に登場した3代目ソアラは、「ロマンと先進性の追求」をコンセプトに、本来クルマがもつ心走らせるクルージングへの憧れを鮮烈な感性と先進技術で具現化した新世代スーパー・グラン・ツーリスモとして開発された。
外観デザインは、ソアラの新しいアイデンティティとして、フロントマスクないにロービームから独立させた丸型ハイビームを採用。また、フロントノーズからリアデッキにかけて動感あふれる曲面構成により、生き生きとした情感と優雅な美しさをあわせもつクーペスタイルとなった。
インテリアは、インストルメントパネルからドアトリムに続くまろやかなフォルムで区間を構成することにおり、ドライバーにゆとりと安心を与えるデジザインを採用。インストルメントパネルから独立した個性的な大型コンソールを始め、操作系は機能性を重視した設計となっている。
搭載されているエンジンは4LV型8気筒DOHCと2.5L直列6気筒ターボの2種類。1994年のマイナーチェンジで3L直6DOHCエンジンが追加されている。
サスペンションには、4輪ダブルウィッシュボーンを採用。最上級グレードには電子制御エアサスペンション、2.5GTツインターボLには、通常は硬めの減衰力で高い走行性能を発揮し、路面の段差を乗り越えた際には瞬時に減衰力をソフトに変化させショックを和らげるピエゾTEMSを搭載している。
また、4輪ABSを標準装備(一部グレードはオプション)したり、TRCを設定したり、予防安全装備を装着し始めた先駆けのモデルだ。
現在、3代目ソアラの中古車は約53台流通していて、平均価格は約212.7万円。価格帯は約69万~約450万円と幅広い。中期型に設定された3Lエンジン搭載車が100万円以下中古車の中心。
■4代目ソアラ(2001年4月~2005年7月、以降はレクサスSC):中古車価格帯/約45万~約299万円
4代目の最終型ソアラは2001年に登場。これまでの2ドアクーペから電動メタルトップを採用したコンバーチブルとなり、最高に美しいスタイルと最高の性能を追求した新世紀の高級パーソナルカーを提示するコンバーチブルとして開発された。
メタルトップを閉めたクーペの時はコンパクトなキャビン、クリーンカットのラゲージドアに連なる流麗なフォワードモーションシルエットによりダイナミックな伸びやかさを表現。
一方オープンスタイルでは、解放感あふれるエレガントさ土地から強さを融合し、優美なスタイルと創出している。新開発の電動開閉式メタルトップは約25秒で開閉可能。スロースタート・スローストップ制御により滑らかな動作を実現している。
搭載されているエンジンは最高出力280psを発生する4.3LV型8気筒DOHCで、トランスミッションは5速ATが組み合わされている。
現在、4代目ソアラの中古車は約116台流通していて、平均価格は約94.7万円。価格帯は約45万~約299万円となっている。歴代ソアラとして最も安く、数少ない国産4シーターオープンカーの中では最も多い流通台数を誇っている。
1980年~1990年代に一世を風靡した国産スペシャリティカー。100万円以下の手頃な価格で手に入るクルマはどんどんと少なくなっていて、青春時代を気軽に味わえなくなっているので、購入するチャンスは今が最後かも……しれない。
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