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<p>消費行動一変、冷え込み続くサービス業 緊急事態発令2年</p><p>消費行動一変、冷え込み続くサービス業 緊急事態発令2年 消費支出はコロナ前と比べ飲酒で8割、国内旅行で7割も落ち込んでおり、期待された爆発的な〝リベンジ消費〟は起きていない。</p><p>政府が初めて新型コロナウイルスの緊急事態宣言を全国に発令してから16日で2年を迎えたが、外出自粛や飲食店への営業時間短縮要請が断続的に繰り返される中で国内経済…</p><p>政府が初めて新型コロナウイルスの緊急事態宣言を全国に発令してから16日で2年を迎えたが、外出自粛や飲食店への営業時間短縮要請が断続的に繰り返される中で国内経済は依然として低調だ。消費支出はコロナ前と比べ飲酒で8割、国内旅行で7割も落ち込んでおり、期待された爆発的な〝リベンジ消費〟は起きていない。海外経済の回復で輸出が景気回復を牽引(けんいん)してきたものの、ウクライナ危機が先行きに影を落とす。 医療体制の拡充が難航した日本では、欧米で進んだウイルスと共存する「ウィズコロナ」に出遅れ、行動制限重視のコロナ対策が経済に負荷をかけた。 特に犠牲となったのは対面型のサービス消費だ。総務省の家計調査による令和3年の消費支出額(2人以上世帯)では、コロナ禍前の元年比で外食の飲酒代が実に76・0%減。パック旅行費も国内は73・2%減、外国に至っては出国制限で99・7%減とほぼ壊滅した。 外出できない欲求不満が向かった先が、コロナ禍特有の「巣ごもり需要」。テレビは13・5%増、パソコンは21・3%増とコロナ禍前を上回っている。とはいえ、流行当初の2年と比較すればいずれも下回っており、既に頭打ちの状況だ。 一方、業界ごとに好不調の差が大きい二極化もコロナ禍の特徴だ。トヨタ自動車が3年4~12月期連結決算で売上高と最終利益ともに過去最高を更新するなど、輸出が好調な製造業はいち早く回復した。実質国内総生産(GDP)は感染拡大による3度のマイナス成長に苦しみながら徐々に回復し、3年10~12月期は金額ベースの年率換算で540兆円とコロナ禍前の元年10~12月期(542兆円)まで残り2兆円に迫った。 ただ、足元では原材料価格の高騰で食料品やガソリンなどの値上げが相次ぎ、半導体不足などサプライチェーン(供給網)の混乱で製造業の輸出も伸び悩む。 三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎主席研究員は、感染の恐怖が残る中でインバウンド(訪日外国人客)需要も回復せず、「対面型サービス業の需要はコロナ禍前には戻らない。中長期的に景気を下押しする」と懸念する。 今後はロシアのウクライナ侵攻が世界の貿易を停滞させ、西側諸国と中国・ロシアなど権威主義国との分断による経済の「ブロック化」も予想される。欧米に比べ後手に回った日本の景気回復に、内憂外患が厚い壁となって立ちふさがる。 (田辺裕晶)</p>