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国立天文台・水沢VLBI観測所がクラウドファンディングによる資金調達に挑戦している。クラウドファンディングは4月20日から募集されており、5月12日には当初目標金額だった1000万円を突破した。

同所は、実施期間がまだ十分に残っているとして目標金額を2000万円に再設定のうえ、クラウドファンディングを継続していくという。

国立天文台水沢VLBI観測所(はっぴいえんど/PhotoC)

同所の公式ツイッターアカウントは、クラウドファンディングプロジェクトがスタートした4月20日に次のようにツイートしている。

【国立天文台として初のクラウドファンディングがスタートしました!】
誰もが夢見る「宇宙の謎の解明」。しかし予算は決して潤沢ではなく、特に研究の担い手である若手研究者へのサポートは十分とはいえない状況があります。どうぞ皆様のご支援をよろしくおねがいします!

このツイートから1カ月ほどが経ったここ数日、再び注目を集めることになっている。

原口衆院議員(衆院サイト)

立憲民主党衆院議員の原口一博氏が13日、このツイートに「素晴らしい!#みんなで応援しよう国立天文台」と引用リツイートしたことで、大炎上しているからだ。

ツイッターユーザー「事業仕分け忘れたんですか」

原口氏の引用リツイートには、次のようなコメントが寄せられていた。

いや、ふざけないで下さいよ。国立天文台の観測経費、事業仕分け対象にしたの忘れたんですか。

天文台の予算減らせって仰ってましたよね?

自分達で予算削って危機に追い込んで、助けを求める声を上げたタイミングで「応援しています!」って良い人ぶってすり寄る。

かつて民主党が事業仕分けで予算削って資金難にさせたことを思い出させてくれる原口議員は素晴らしいですわね。

ツイッターユーザーの指摘通り、国立天文台の予算は2010年度予算編成のために2009年11月に当時の民主党政権下で行われた、いわゆる「事業仕分け」の削減対象となっている。事業仕分けの結果、すばる望遠鏡の運営費や天文広域精測望遠鏡(VLBI)事業などが予算の「縮減」判定を受けていた。ちなみに、原口氏は当時、総務大臣を務めていた

クラウドファンディングは6月17日まで

予算の「縮減」判定を受けて、国立天文台は2009年12月に次のような声明を出している。

行政刷新会議の「事業仕分け」ワーキンググループでは、議論が無かったにもかかわらず、委員の採点結果で「縮減」が決定されるという事態となりました。どの程度の「縮減」か、現状では不明ですが、「事業仕分け」での結論がそのまま採用されれば、3割もの縮減との見方も出ています。

原口氏のツイートは、当時の経緯を知るユーザーから一斉にツッコミを浴びる形となっている。民主党の「事業仕分けブーメラン」が原口氏に突き刺さった格好だ。

国立天文台水沢VLBI観測所は、1899年(明治32年)に臨時緯度観測所として設置された天文台。以来、120年にわたって先端的な研究を続けてきた。2019年には、人類史上初めてブラックホールの影の撮影に成功したことでも知られている。

今回、クラウドファンディングで集まった資金は、長期的かつ安定的に研究をしていくために使われる予定。3000円から300万円まで7つのプランが用意されており、それぞれの金額に応じたリターンが設定されている。プロジェクトは、クラウドファンディングサイト「READYFOR」に「国立天文台 水沢VLBI観測所 進むブラックホール研究にご支援を。」のタイトルで掲載され、募金は6月17日(金)午後11時まで受け付けている。