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新型コロナウイルス別措置法に基づく営業時間の短縮命令を受けていた飲食店チェーン「グローバルダイニング」が営業の自由をなどを侵害されたと訴えていた裁判の判決が16日、東京地裁であった。判決は時短命令について「特に必要だったとは認められず違法」と認定したが、命令を発出した都知事に過失はなかったとし、飲食店側の請求を棄却した。

Ryosei Watanabe/iStock

命令は憲法が保障する営業の自由を侵害しているとの飲食店側の主張については、「命令は特措法の目的に照らして不合理と言えず、営業の自由は侵害していない」とし、合憲とした。

同社は東京都の命令に従い、緊急事態宣言下の3月18日〜21日まで午後8時までの時短営業を行ったが、「コロナ施策の在り方を問う」として、命令に従った26店舗×4日間との計算で104円の損害賠償を都に求めていた。

判決をまとめると、グローバルダイニングへの時短命令は「合憲だが、特措法には違反。ただし都に過失はない」というもので、痛み分けをしたようにも見える。

同社の弁護団(倉持麟太郎弁護団長)が公開している資料では、事前に「判決の可能性3パターン」を想定していた。今回の「時短命令は違法であるが、東京都知事に過失はないため、請求棄却」との結果になった場合は、控訴すると主張していた。

まずは「命令は違法」という点は強調されるべき。都知事に尋問もせずに故意過失がない判断をしたのかという点について、高裁で争う。

判決前の主張を維持しているとすれば、飲食店側は都知事の過失の有無を再度検証するよう、裁判を続けることになる。

命令が発出された前日の21年3月17日には、菅義偉総理(当時)が緊急事態宣言を終了させる考えを示し、18日には病床使用率が低下したことを説明。都がグローバルダイニングに命令を出した時点では、医療体制が極端に逼迫している状況ではなかったと言える。

原告側訴状によると、特措法に基づく命令は「当該感染の拡大又はまん延により医療の提供に支障が生じている都道府県があると認められる」場合にのみ可能だという。命令を発出するほど医療体制が逼迫していなかったのだから、命令は違法だという主張だ。この主張が、判決では認められたことになる。

判決を受けて上田令子都議は、「女帝が一社狙い撃ちして吊し上げた見せしめ行動へ司法判断が下りました こんな時期に嬉々として中東行ってるから天誅が下るわけです」とツイートし、小池知事の判断を批判した。

弁護士の平裕介氏も「グローバルダイニング社vs東京都の国賠訴訟、請求棄却ではあるものの、処分の違法性は肯定されたので、実質的には勝訴ですね」と解説。

国際政治学者の三浦瑠麗氏も「政治や分科会は必要性の乏しい緊急事態宣言やまん防延長等を行わないよう、また国民との従前の約束に違うようなゴールポストの移動をしないように、くれぐれも自戒すべし」と述べ、判決を支持した。

コロナ禍での行政の「命令」の是非を下した判決は、今後の時短制限にも影響を与えそうである。