もっと詳しく
見えない! 危険! ガラスにこびりつく頑固な油膜・水垢を取り除け!!

 ガラスにこびり付いた油膜や水垢と格闘した経験のある人は多いだろう。油膜や水垢が付いたままのクルマは、とにかく危険! 

 今回は頑固な油膜・水垢がなぜ発生するのか、どのように落とせばいいのかについて調べてみた。特にこれからの季節、梅雨から夏にかけては雨も増えてくるので多くのドライバーにとって身近な悩みになってくるはず。ぜひ参考にしてほしい。

文/入江 凱、写真/写真AC

【画像ギャラリー】イライラする!! 悩ましい油膜、水垢を徹底除去しよう!(16枚)画像ギャラリー


油膜と水垢の違いって?

 ガラスを曇らせ、視界を悪くするという点では同じ油膜と水垢だが、原因が異なる以上、その性質も変わってくる。それぞれの落とし方を紹介する前に、まずは油膜・水垢の違いと原因について検証していこう。

見えない! 危険! ガラスにこびりつく頑固な油膜・水垢を取り除け!!
フロントガラスに油膜がこびり付くと光を乱反射させたり、水がにじんだようになって視認性が悪化する

■油膜
 その名の通り、クルマのガラスがギラギラとした油の膜で覆われてしまっている状態。大気中の排気ガスや車体に塗られたワックス、コーティング剤などに含まれる油分が雨水と混ざり、流れ出してガラスに付着した後、水分のみが蒸発して油染みのようになってしまったもの。

 油とは言うものの、主な成分は撥水・保護のためにワックスやコーティング剤に含まれているシリコンの場合がほとんどであり、夏場などは日差しによって熱くなったガラスにシリコンが焼き付き、強固な油膜になってしまうことが多い。

■水垢(イオンデポジット/ウロコ)
 大気中のほこり、黄砂や花粉などの汚れが雨とともにガラス面に付着したり、水道水や雨水に含まれるカルシウムなどのミネラル成分が乾いて結晶化した白い輪のような形をした水垢のこと。

 特に後者のミネラル成分が結晶化した水垢は浴室の鏡や洗面台に発生する水垢と同じ性質のものだ。基本的には軽度な場合は水でも落とせるが、放置すると硬くより、こびり付いてしまう。

油膜・水垢を取り除く方法と効果的な選び方

 発生原因が異なる油膜と水垢では対処方法も異なる。油膜は油分を分解する洗剤やアルコールで落とせるが、ミネラルが結晶化して固着している水垢はコンパウンド(研磨剤)ではないと落とすことができないことが多い。ただし、油膜であっても酷いものになるとコンパウンドに頼らざるを得なくなってくる。

見えない! 危険! ガラスにこびりつく頑固な油膜・水垢を取り除け!!
弱酸性のカーシャンプーはミネラル由来の水垢を除去するのに効果的。コンパウンド入りなど、さまざまな種類があるが、対応色や使ってはいけない場所などは事前にチェックしてから使用しよう

■カーシャンプー 
 軽度な油膜・水垢であればカーシャンプーでも落とすことができる。カーシャンプーで最も一般的なのは中性タイプだが、ミネラルの堆積物である水垢(イオンデポジット)に対しては弱酸性タイプが、油汚れが原因である油膜に対しては弱アルカリ性タイプのカーシャンプーが適している。

 ただし、中性以外の洗剤は樹脂や金属部などガラス面以外のパーツにダメージを与えてしまう危険性があるので使用の際には十分に注意しよう。

 水垢除去用としてはコンパウンド(研磨剤)が入ったタイプもあるが、ガラス面に対してはともかく、塗装に対してダメージを与えやすいので対応している車体色の確認などが必要となる。

 また、中性の家庭用洗剤をカーシャンプーの代わりに使用することもできるが、洗車用に調整されているカーシャンプーと違って泡切れが悪いため、しっかり水で流さないと洗い残りが生まれやすく、新たな水垢の原因となってしまう可能性がある。

■専用クリーナー
 カーシャンプーでは落とせないレベルの水垢や油膜には専用クリーナーを使用する。専用クリーナーには大きくコンパウンド(研磨剤)で削り落とすタイプと溶剤で溶かすタイプの2種類がある。

 溶剤系は化学反応で溶かすものなのでコンパウンドと比べて擦ったりする手間はかからず簡単だが、なかにはガラスを白ボケさせてしまうような強力なものもあるので注意しよう。

 コンパウンドの場合は物理的に油膜や水垢を削り落とすしくみのため、力を入れすぎたり、擦りすぎるとガラスが傷付いてしまう恐れがあるので注意しよう。

■日用品
 日用品のなかでも油膜・水垢除去効果があるものはいくつか存在する。ただし、専用品ではないため、あくまでも汚れが軽度の場合のみに使用することを前提にしてほしい。

・ウーロン茶
 油を分解する成分が含まれているのでウエスに付けて拭き上げると軽度の油膜を落とすことができる。

・新聞紙
 湿らせた新聞紙でガラスを拭き上げると新聞紙のインクが油分を溶かしてくれるため軽度の油膜に有効だ。

・家庭用洗剤
 家庭用洗剤も軽度な油膜を落とすのに有効。ただし、中性のものだけでなく、ボディや金属部など他のパーツに影響を与えやすい弱酸性や弱アルカリ性の製品もあるので注意が必要だ。柑橘系などの香りが付いているタイプには植物性の酸が含まれている可能性があるため、無香料で中性タイプのほうがいいだろう。

・エタノール
 消毒用に使われるエタノール(アルコール)も油汚れを分解するので軽度な油膜には有効。ガラス外側の油性の汚れにだけではなく、内側に付いた皮脂汚れなども落とせるが、内装に付着すると、樹脂など、使用されている素材によっては変色してしまう恐れがある。そのため、内側に使用する場合は飛び散り防止のため、ガラスに直接吹きかけるのではなく、タオルなどに吹きかけて拭こう。

 注意してほしいのは、100均などで購入できるメラミンスポンジ。油膜も水垢も削り落とすことはできるものの、ガラスコーティングをしているクルマの場合、コーティングも落としてしまう。さらにガラスに傷が付いたり、ガラスが曇ってしまう恐れがあるので使用を控えたほうがいいだろう。

意外な落とし穴? やってはいけない油膜・水垢を招く行為

見えない! 危険! ガラスにこびりつく頑固な油膜・水垢を取り除け!!
烏龍茶には油を分解する成分が入っており、それなりに油膜除去能力がある。ただし、こびり付いてしまった汚れには効果は薄い

■汚れたワイパーをそのまま使う
 ガラスを綺麗にしても汚れが付着したワイパーをそのまま使えば、油膜や水垢の原因を新たに塗り広げているのと変わらない。ワイパーブレードはカーシャンプーなどの洗剤を付けた洗車スポンジやキッチンペーパーなどで軽く拭き、定期的に取り換えよう。

■炎天下での洗車 
 炎天下で熱くなった状態のガラスやボディに水をかけると、すぐに蒸発してイオンデポジットの原因になってしまう。ガラスのコーティング剤などもムラになったり焼き付いて油膜の原因になってしまうことも。

 洗車をするなら曇りの日がベストだが、晴れた日に行う場合は日陰の場所を選んだり、水をかけ続けてガラスを冷やしてから作業をするなどの手順を挟み、再びガラスの温度が上がってしまう前に手早く作業を終わらせ、最後はしっかりと水分を拭き取ろう。

■井戸水を使っての洗車 

 水垢の原因が水道水の中に含まれるミネラル分なのは先に述べた通り。そして井戸水には水道水よりもミネラル分が多く含まれているため強固なウロコになりやすいのだ。

 回数を重ねると専用クリーナーを使っても除去が難しくなってしまうので井戸水で洗ってしまった際はできるだけ早い段階で専用クリーナーを使って除去しよう。最近では、水道水をろ過してミネラル分や不純物を取り除く機能を持った洗車用純水器のような製品が発売されている。

地道な対策が油膜・水垢の根本解決法

 普通にクルマを使いながら油膜や水垢の原因である雨や大気中の油分などを防ぎきることは残念ながら不可能だ。地道だがここで紹介するような油膜や水垢の原因を付着しにくくし、発生しても早めに落とすことだけが有効な対策となる。

■屋外駐車場を極力避ける(屋外ならボディカバー)
 油膜も水垢も雨の水分が引き金となって引き起こされることは共通している。青空駐車の場合、ボディカバーをかけるなど、できる限り雨ざらしの状態を避けるように心掛けよう。そして雨が上がったら水分を拭くことで油膜・水垢の発生を防ぐことができる。

■ガラスコーティングを施す
 ガラスコーティングをしていれば水洗い程度で汚れを落とすことができる。コーティングをする前の注意点は、作業前に水垢と油膜を取り除いておくことだ。汚れの上からコーティングしてしまうと撥水性が十分に発揮されないばかりか、コーティングの持ちも悪くなってしまう。

■定期的な洗車 
 油膜も水垢も軽度な段階であれば落とすのはそう難しいことではない。基本的なことだが、定期的に洗車を行うことで専用クリーナーをしないといけないレベルになる前に食い止めることができる。

【画像ギャラリー】イライラする!! 悩ましい油膜、水垢を徹底除去しよう!(16枚)画像ギャラリー

投稿 見えない! 危険! ガラスにこびり付く頑固な油膜、水垢を取り除け!!自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。