Intelでは2022年下半期中に第13世代CPUとなるRaptor Lake-Sをリリース予定ですが、今回そのRaptor Lake-Sの最上位モデルであるCore i9-13900Kの動作クロックに関する情報が出現しました。
Intel 第13世代CPU、『Raptor Lake-S』
Intel Raptor Lake CPU with 24 cores and 32 threads spotted in a leaked benchmark – VideoCardz.com
Intelではハイブリッドアーキテクチャーを採用した第12世代CPUであるAlder Lakeが2021年11月から登場しましたが、2022年にはその後継モデルとなる第13世代CPU、Raptor Lakeの登場が予定されています。そんな、Raptor Lakeですが、製造プロセスについて熟成が進んだことから動作クロックがAlder Lake-S以上に向上すると見られています。
Raptor Lake-Sの最上位モデル、Corei9-13900Kでは6 GHz近くまで向上?
IntelではSkylakeアーキテクチャから長年デスクトップ向けCPUは14nmプロセスで製造されていましたが、Alder Lake-Sからは最新の10nmプロセスで製造が行われています。ただ通常は製造プロセスが変わると製品の安定性に関する知見や最適化が行われていないため動作クロックを大きく引き上げる事は難しくなっていますが、このAlder Lake-Sについては採用されている10nm製造プロセス既に2019年に発売がされたモバイル向けCPUであるIce Lakeから採用されていました。そのため、Core i9-12900KSでは最大で5.5 GHzと言う非常に高い動作クロックが設定されていますが、半導体製品関係のリークで定評があるOneRaichu氏によると、Raptor Lake-Sではこの動作クロックを更に上回るようです。
RPL will over the new highest freq which was created by 12900KS.
More 2-300 MHz is possible.— Raichu (@OneRaichu) April 13, 2022
OneRachu氏によると、Raptor Lake-Sについては現在Intelが発売しているCore i9-12900KSで記録されている5.5 GHzと言う記録を200~300 MHzほど上回る事が可能との事です。
そのため、もしOneRachu氏の言う通り動作クロックがCore i9-13900Kで向上すれば動作クロックは最大で5.8 GHzで動作するという事になります。
5.8 GHz動作でシングルコア性能は大幅向上?一方でTDPは300W近辺になるか
Raptor Lake-SはAMDのZen4アーキテクチャーを搭載するRyzen 7000シリーズに直接対抗するモデルになると見られており、発売時期も双方共に非常に近い所で発売が行われると見られています。ライバルのAMDについては3D V-Cacheを搭載したRyzen 7 5800X3DのようにRyzen 7000シリーズについても性能のみならず、ゲーミング時のパフォーマンスに焦点を当てた形で発売が行われると見られています。
一方でIntelのRaptor Lake-SではL2キャッシュを合計32MB、L3キャッシュを合計36MBで計68MBのキャッシュ容量を持つなどしてレンダリングや動画編集などでのパフォーマンス向上の他、ゲーミング時のパフォーマンスを上げる事も視野に入れていると見られていますが、これに追加で最大5.8 GHzにも及ぶ動作クロックを実現する事で非常に高いシングルコア性能を叩き出せる事が見込まれます。これによりコアの数より、動作クロックなど1コア辺りの性能が影響するゲーミング時のパフォーマンスについてはAMDを引き離したいと考えているのかもしれません。ただ、このように動作クロックを大きく上げると背反要素として消費電力や発熱が大きくなります。既に5.5 GHzまで動作が可能なCore i9-12900KSについてはCPUが消費する最大消費電力(MTP)は260Wとなっており、恐らく5.8 GHzでの動作となれば300W近辺に収まるのでは無いかと見られています。
Intelでは2003年ぐらいにPentium世代のCPUであるPrescottや開発が中止されたTejasでは5 GHz台に、そして65nmのNehalem(初代Core iシリーズ)では10 GHzに達すると計画していましたが、ご存じの通り実現する事は無く、Nehalemは3.73 GHzが最大の動作クロックでした。ただ、Intelとしては動作クロックを引き上げていく方針であるのは野心的過ぎる目標が示されてから20年が経っても変わっておらず、Raptor Lake-Sでは5.8 GHzともしかしたら6 GHzにも達するようなCPUを目指しているのかもしれません。
ゲームなど一般的なコンシューマーが使用するソフトウェアの多くは未だに8コア以上に対応しているものは少なく、しばらくはこの状況が続くと見られているため、Intelのように動作クロックを上げてシングルコア性能にブーストを掛けて高める方法はゲーミング時のパフォーマンス向上には有効と見られています。
ただ、動作クロックが上がればその分消費電力や発熱は増える事となるため扱いにくさは増すためこの辺りのバランスがどうなるのか少し心配ですがIntelの技術力やAMDに負けたくないという意地に期待したいところです。
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