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Micronは5月12日(現地時間)、同社主催のイベント「Mirconf Investor Day 2022」において、業界初の232層を特徴とする3D NANDメモリデバイスを発表した。同社によると、新しい232層3D NAND製品は、SSD(Solid State Drive)を含む様々な製品に使用することを計画しており、2022年後半に生産を開始する予定とのことだ。

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この記事の要点
  • Micronが232層 3D TLC NANDデバイスを初披露した。
  • 同社のCuA設計と232層という多層化が実現したことから、コストを下げることが可能になるとのこと。
  • NANDの出荷は2022年後半。搭載SSDなどの発売は2023年からの予定

Micronの232層3D NANDデバイスは、3D TLCアーキテクチャを採用し、ダイの容量は1Tb(128GB)である。このチップは、MicronのCMOS under Array(CuA)設計に基づいており、NANDストリングスタッキングテクノロジーを使用して、3D NANDの2つのアレイを互いに重ねて構築している。

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世界初232層 3D TLC NANDの紹介(出典:Micron)

CuA設計と232層のNANDにより、Micronの1Tb 3D TLC NANDメモリのダイサイズは大幅に縮小され、生産コストの削減を実現している。これによって、Micronはこのチップを搭載したデバイスを、より“攻めた”価格設定にする事が可能だ。

Micronは、新しい232層3D TLC NAND ICのI/O速度やレイヤー数は公表しなかったが、この新しいメモリが既存の3D NANDデバイスと比較して高い性能を提供することは示唆しており、PCI Express 5.0時代の次世代のSSD製品への搭載を見据えた物と考えられる。

SSDについては、技術および製品担当上級副社長であるScott De Boer氏によると「新しいタイプのメモリに適切に対応できるために、NANDコントローラの開発については社内外の開発者と密接に協力してきた」とのことだ。「我々は、世界最速のマネージドNANDを、そしてデータセンターとクライアント両方のSSD製品を作るために[232層3D NAND]技術を最適化しました」と、De Boer氏は述べている。

また、232層3D TLC NANDの利点として、前世代ノードと比較して消費電力が低いことを挙げており、モバイルアプリケーションに注力してきたMicronとそのデバイスメーカーとの関係から、この点もメリットになると考えている。

Micronはまた、500層NAND以降へのロードマップも共有している。ただし、時間軸については明かしていない。「今後の焦点は、QLC [クアッドレベルセル]、つまりセルごとに4ビットのデータを収納するNANDに完全に焦点を当てている」とのことだ。

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Micronの今後のNAND戦略(出典:Micron)

Micronが232層3D TLC NANDデバイスの生産を2022年後半に開始することを念頭に置くと、この新しいメモリを搭載したSSDは、2023年頃に登場すると予想される。