「●△■万円でも見栄を張れる中古輸入車のすすめ!」というのは、硬派で真面目なクルマ好き各位にはめちゃめちゃ評判が悪い。
そういった記事を読んだ硬派車好きは、ほぼ必ず以下のようなことを言う。
「自分が本当に好きな車を買うんじゃなくて“周囲からの見られ方”を気にしながら買うなんて、とことんバカでみじめな奴だね」
……そういった意見があることも、もちろんよくわかるつもりだ。
だが「社会的な生き物」である人間のなかで、「他者からの視線」を100%気にしないままクルマを買う人など、本当にいるのだろうか?
まぁ中には「これまでの人生で、人目など1回も気にしたことがない」という変わった人も、一部にはいらっしゃるのだろう。
だが生身の人間の大半は――もちろん程度の差こそあれ――「ナメられたくない」「ダサくてカッコ悪い奴だと思われるよりは、男っぷり(あるいは女っぷり)がいい人物だと思われたい」「端的に言って、モテたい」などなどと、心のどこかで思っているものだ。
「いや、俺はそんなことはまったく思ってないぞ!」という人もいらっしゃろうが、そういった人はあまりにも変わっているため、筆者はあっさり無視させていただく。
「できることなら周囲に(ちょっとは)見栄を張りたいぞ!」と心のどこかで少しは考えている、ごく一般的なメンタリティを持つ方だけに向けて、「ご予算200万円台でもまあまあハッタリが利く中古輸入車4モデル」をご紹介しよう。
文/伊達軍曹
写真/メルセデス・ベンツ、BMW、Audi、Porsche、AdobeStock(トップ画像=EwaStudio@AdobeStock)
■肩の力を抜いて読んでほしい「ハッタリが利く中古輸入車」4モデル
ご予算200万円台でご近所さんに見栄を張るためには、まずは基本的な原則を覚えておかねばならない。この場合、原則は2つある。
●原則1|購入対象は「問答無用の超メジャーブランド」に絞る
なまじ車が好きだと、ついルノーやシトロエンなどに注目してしまうが、それこそが間違いの元である。
勇んでルノー車を買っても、ご近所の素人さんは「……日産車かな?」と思うだけであり、シトロエンのグランドC4ピカソという超絶おしゃれなミニバンを買っても、近所の奥様は「あら、今度のトヨタはずいぶんおしゃれね!」と思うだけなのだ。
ご近所さんに「山田さんが、なんかすごいクルマを買った!」と思わせるには、誰もが問答無用で「高いやつ」と認識できるブランドを選ばねばならない。そしてニッポンの住宅街におけるそれは、「ベンツ」と「ビーエム」「ポルシェ」の3ブランドしかない。
「アカデミー賞で話題になった北欧のサーブは?」などとややこしいことはいっさい考えず、とにかく「ベンツ」「ビーエム」「ポルシェ」というわかりやすいブランドのどれかを選ぶのが超基本である。
●原則2|「なにかと余裕がある感」を醸し出せるボディタイプを選ぶ
問答無用の超メジャーブランドを選ぶことに加えて「なんどなく生活に余裕がある感じ」も付加できればほぼ完璧である。
その意味ではセダンよりも、「ただ生活するだけでなく“余暇”を楽しむだけの余裕もある」とイメージさせるステーションワゴンまたはSUVのほうが、破壊力は強い。
また2シータースポーツも「あの人は、実用的な意味をほとんど持たない穀潰し的な車を買うだけの余裕がある」と強く想起させるカテゴリーであるため、この場合は大いにおすすめとなる。
……前フリと基本原則の説明だけで編集部から指示された文字数を超えてしまいそうな勢いであるため、ここから先は端的にスパスパッと進めよう。具体的なおすすめ4モデルの紹介である。
■候補1|先代メルセデスベンツ Cクラス ステーションワゴン
【価格などのイメージ】
2014年式C200 ステーションワゴン アバンギャルド:車両価格220万円/走行2.6万km/レーダーセーフティパッケージ付き
「ビーエム」の神通力ももちろん強いわけだが、素人さん相手にはやはり「ベンツ」という3文字およびエンブレム(スリーポインテッドスター)のほうが、より神通力を発揮しやすい。
「ベンツだったら何でもいい」という極端な見方もできなくはないが、AクラスやBクラスではサイズ感の面で神通力が劣ることになり、Eクラス以上のモデルを200万円台の予算で狙うと必然的に年式が古くなってしまうため、これも破壊力が減じることになる。
それゆえここでの最適解は「先代のCクラス」であり、なおかつ、セダンではなく”余暇を存分に楽しんでる感”をアピールできる「先代Cクラス ステーションワゴン」こそが100点満点の解答となる。
先々代までのCクラスは、Eクラス以上と比べると多くの点で”差”を感じさせたが、先代W205(ワゴンはS205)からは「……Eクラスに近いかも?」と思わせるビジュアルおよびボリューム感ならびに諸性能となった。
そのため、前期型で十分なので、とにかく小綺麗な内外装をキープしている先代Cクラス ステーションワゴンの中古車を購入すれば、近所の人は「山田さんは確か地銀にお勤めだったはずだけど、外資系投資銀行にでも転職したのかしら?」などと勘違いしてくれるだろう。
■候補2|先代BMW 3シリーズ ツーリング
【価格などのイメージ】
2013年式320dツーリング ラグジュアリー:車両価格200万円/走行4.2万km/アダプティブクルーズコントロール付き
効果の面では先ほどの先代Cクラスワゴンとほぼ同じである。すなわち、誰もが知る問答無用の超メジャーブランドであり、「余暇を楽しんでる感」があるステーションワゴンであり、さらにはあまり古くない年式であるということだ。
加えて言えば、先代であっても現行G20(ステーションワゴンはG21)とカタチがきわめて似ているため、カーマニアは別として「ご近所の普通の人」からすると、「山田さんちのクルマが真新しいビーエムのワゴンに変わった! ……もしかしてGAFAのどこかの中途入社試験、受かったのかな?」という感じにしか見えないだろう。
※編集部注:GAFAとはグーグル(Google)、アマゾン(Amazon)、フェイスブック(Facebook)、アップル(Apple)の4社の総称になります。
■候補3|先代アウディ A4オールロードクワトロ
【価格などのイメージ】
2014年式A4オールロードクワトロ 2.0 TFSI:車両価格220万円/走行3.5万km/後期型/バーチャルコックピット
先代のアウディA4をSUV風に仕立てたクロスオーバーモデル。先に申し上げた「問答無用の超メジャーブランド=ベンツ、ビーエム、ポルシェ」からは外れてしまうアウディだが、悪路走行向けに若干上げられた車高と樹脂製オーバーフェンダー、アンダーガードなどによって、絶妙な「冒険者感」が醸し出されているのだ。
庶民というのは生活するだけで手一杯なため、「冒険」などなかなかできるものではない。だがA4オールロードクワトロからは「富裕な者だけが挑戦を許される行為=冒険」の香りが、アウディ本来の都会派イメージとともに濃厚に漂っている。これはまさに「丸の内の外資系金融企業で年収4000万円ぐらいを稼ぎながら、週末はトライアスロンに打ち込んでいる人種」の香りだ。
そんな先代アウディ A4オールロードクワトロのキレイめな中古車を自宅駐車場に置いておけば、近所の人がさまざまな勘違いをしてくれることはほぼ間違いない。
■候補4|2代目ポルシェ ボクスター
【価格などのイメージ】
2007年式ボクスター:車両価格250万円/走行7.5万km/6MT/PASM(ポルシェ・アクティブサスペンション・マネージメントシステム)
問答無用の超メジャーブランドである「ポルシェ」では、なかでも特に問答無用な「911」を選びたいところではある。だがご予算200万円で911を買うのは少々難しい(買えなくはないのだが、かなりボロい996型しか買えない。これはさすがにおすすめできない)。
だが「911ではなくボクスターでもよし!」と考えれば、200万円台の予算でも十分な勝機が生まれてくる。いや、一応4人乗れる911と違って2人しか乗れないボクスターのほうが「実用的な役には立たたいモノを買うだけの余裕がある人」といったムードが強烈に醸し出されるため、近所の人の勘違いはさらに強まる可能性すらあるだろう。
腐っても(?)ポルシェゆえ、当然ながら部品代も整備代も軽自動車の数倍以上にはなる。だが手頃なOEM部品もたくさんあるので、「ブレーキローター交換だけで100万円!」なんてことは決してない。それなりにカネはかかるが、筆者のような庶民でも普通に維持できるクルマではあるのだ。
【画像ギャラリー】こんな選び方でもいいじゃないか! 200万円台でも魅力満点のご近所に見栄が張れる中古輸入車(9枚)画像ギャラリー投稿 200万円台でもご近所に見栄が張れる!!? 中古でも魅力満点の輸入車ベスト4 は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。