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 「ジャパントラックショー2022」が5月12日から開催(~14日)。開催二日目の来場者数は1万8886人と、雨天にも関わらず初日を上回りました。

 ショーに電気自動車(EV)を出品しているのは、トラックメーカー2社だけではなく、ファブレスメーカー3社と、地方企業1社の計4社にも及びます。ファブレスメーカーとは、自身ではいっさい生産を行なわないメーカーのことですが、いずれも共通しているのは「導入しやすいお手頃なEVを供給する」ことにあります。

文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部


BEVウォークスルートラックを中国で開発、日本で生産へ

「ジャパントラックショー2022」EVモータースジャパンブース

 北九州のファブレスメーカー、EVモータースジャパンが出品したGVW6t級BEV「F8シリーズ8-S2」は、中国の商用車メーカーに開発・生産を委託する日本市場向けのウォークスルーバンタイプの小型低床トラックだ。
 
 GVW6tに対して最大積載量1.95tは、やはり車両重量に占めるバッテリー(東芝製またたはCATL製のリチウムイオン電池を選択可能)の重さを感じさせるが、「アクティブ・インバータ」と呼ばれるアクセル制御技術の導入により、1充電航続距離は268kmを実現するという。

 なによりBEV低床バスのコンポーネントを活用したFFシャシーは、国産の小型ワイドキャブ小型トラックなみのサイズなから、バス型キャブと一体化したカーボンファイバー製バンボディは魅力的である。なお、電動冷凍ユニットと断熱バンボディを架装する冷凍車モデルも設定している。

 同社では、日本国内に委託先メーカーによる生産拠点の設置を計画しており、数か所の候補地を検討中とのことだった。

BEVワンボックスバンの国内販売に向け活動中

 21年7月に起業した京都のフォロフライは、日本市場向けBEVワンボックス商用車「EVバンF1」の開発・生産を、中国の大手自動車メーカー・東風汽車に委託しているファブレス企業だ。

 EVバンF1は、東風のBEVワンボックスバン(恐らく「東風小康EC36」とみられる)をベースに右ハンドル化、国内法規に適合させた日本市場専用車で、全長4500mm×全幅1680mm×全高1985mmで4ナンバー(小型貨物車)に収まるサイズで、最大積載量は950kgと、日本でも使いやすそうだ。しかも1充電航続距離は300km、エアコンフル稼働時でも200kmを実証したとのことで、なかなか優秀である。

 現在、日本の型式認定の取得を目指しており、また物流企業を販売対象として、丸紅との協業により販売体制の構築に取り組んでいる。価格(税別)は380万円を予定している。

FCEVとBEVのトラックをファブレスで供給

「ジャパントラックショー2022」諾亜建設ブース

 新宿の諾亜建設は、燃料電池電気自動車(FCEV)トラックとBEVトラックのファブレス供給を目指している。説明によると、北汽福田と成都大運のトラックをベースに、日本市場向けFCEVまたはBEVの供給を目指しているが、ベース車のシャシーメーカーは、ユーザーの希望にも対応するという。

 ブースではFCEVとBEVの導入プランをパネルで提案、本来は北汽福田の電動車ブランド「智藍」のBEV小型トラック実車も展示予定だったが、上海のロックアウトで不可能になってしまったのは残念だ。

道路勾配先読み機能を搭載したレンジエクステンダーEV

 山形の自動車整備会社・サニックスと大阪の物流会社・ドーシンキャピタルが今年設立したPRE-EVモビリティは、大型トラックの電動化を促進するために、「計画発電蓄電制御システム(SGCCS)」を搭載したプラグインレンジエクステンダーEV「PRE-EVトラック」を出品、BEVトラック普及のネックである短い航続距離を解消する提案としている。

 レンジエクステンダーEVとは、航続距離延伸型電気自動車という意味で、高電圧バッテリーの充電率(SOC)が低下すると、発電専用の内燃エンジンで充電を行なうEVのことだ。シリーズ式ハイブリッドシステムと似ているが、こちらはSOCがかなり低下した時点で発電する。

 展示車は、いすゞフォワードFRRウイング車をベースに、発電専用2.2Lディーゼルエンジンと発電機、リチウムイオン電池、モーター兼ジェネレータ(回生)、プラグイン充電器を搭載し、1500km走行で消費した軽油(発電エンジン用)は、わずか30Lだったという。

 この優れた燃費は、SGCCSによって、道路標高データと走行予定ルートからあらかじめ必要な電力を算出、下り坂での回生(発電)を最大限確保するアルゴリズムを電動パワートレインのエネルギーマネジメントに実装していることと不可分である。同社では大阪~山形間の雑貨輸送に投入する予定だ。

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