バイク=オヤジの乗り物のイメージが定着している昨今。実際、バイクを新車で購入する人の年齢層は基本的に年々上昇していたが、久々に若返ったことが自工会の調査により判明した。
40代以下の購入者が増え、リターンライダーが増加。コロナ禍による意識の変化、二輪免許取得者の増加も要因のようだ。さらにEVへの意識など興味深い調査結果が出ている。
文/沼尾宏明、写真/Webike
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10代&40代と若い女性ライダーが増え、年齢層を引き下げた!?
日本自動車工業会(自工会)が4月、2021年度の「二輪車市場動向調査」結果を公表した。これは隔年で自工会が実施しているもので、国内では唯一定期的に行われている二輪市場に関する調査だ。
バイクの新車購入ユーザーに書面またはWEBで回答してもらい、今回は国内モデルの購入者4897名(2020年6月~2021年5月の新車購入者)が対象。別途、輸入車の購入者129名(2018年6月~2021年5月の新車購入者)も参加している。
この調査、実は毎回、購入者の平均年齢が話題になるのが恒例だ。昔はバイクと言えば若者のイメージだったが、2013年度調査でついに50歳を突破。前回の2019年度では54.7歳にまで高齢化していた。
ところが、今回の調査では全体の平均年齢が54.2歳と前回より0.5歳低くなった。過去の統計をさかのぼったところ、2001年から調査のたびに1~2歳程度上昇し、2017年に0.2歳若返った以外はずっと高齢化。2017年以上に若返ったのは2001年度調査以来、20年ぶりとなる。
平均年齢を押し下げたのは、前回に比べ10~40代の構成比が3ポイント増加して32%となった結果。また、女性が53.2歳と前回より2.4歳低下している。
50cc以下とオンロード系251cc以上で若い世代が増えた
さらに細かく車種別に見てみると、オンロード軽二輪(126~250cc)ユーザーの平均年齢は48.0→48.8歳、スクーター原付二種(51~125cc)では53.6→55.0歳とやや上昇。一方で、スクーター原付一種(50cc以下)は57.5→56.7歳と低下し、オンロード251~400ccで47.1→46.4歳、同401cc以上の大型でも52.4→52.0歳にダウンした。
オンロード251~400ccが若返ったのは、2020年にベストセラーになったカワサキのニンジャ400や2021年に生産終了になったヤマハSR400がヒットした影響もあると予想できる。なお輸入車ユーザーは上記の統計に含まれておらず、全排気量で51.7歳と意外にも国産より若い。
購入形態に関する質問では、55%が買い替え(前回比-5%)、再購入が20%(+5%)、買い増し14%(+1%)、新規11%(+1%)。買い替えが減少し、一時バイクに乗るのを中断して再購入した人が増えている。再購入したユーザーが選んだのは、タイプ別ではオフロード系、排気量帯では251cc以上が特に増えた。
一時中断し再購入したユーザーに、手放した理由を調査したところ、「乗る時間がなくなった」「二輪車にお金をかける経済的な余裕がなくなった」「四輪車を買った」などが多かった。再購入した理由では、「二輪車を趣味として楽しみたくなった」「二輪車は操る楽しさがある」「経済的余裕ができた」「気に入った二輪車が出た」が多い。
コロナ禍の“密”が新規ユーザーの3割超に影響を与えた
ほかに年齢層を引き下げた要因として考えられるのは、やはりコロナ禍による影響だ。当調査でも、任意のテーマを聞く「トピック調査」で「コロナ禍におけるユーザーの変化」に関して質問している。
これによると、コロナ禍によるバイク購入への影響は「ない」と回答した人が59%。「影響あり」は22%、「どちらともいえない」が16%だった。
しかし、新規購入層では「影響があった」と答えた人が32%、「どちらともいえない」が23%に増加。具体的には「密を避けて移動できる有効な手段」として87%の人が回答しており、特に新規ユーザーはコロナを意識して購入したと読み取れる。また、とりわけ126~250cc、251cc以上のユーザーで「ライフスタイルの再考」「自粛下でも楽しめる趣味」という価値観の変化が見られた。
なお、コロナによるバイク使用の変化を見ると、特に大きく変わってはいないものの、「1人でのツーリング」が減り、「バイク仲間とのツーリング」が増加。当然と言えば当然の結果となった。
また、調査では新規の免許取得者についても触れており、2020年度の原付免許取得者は9.3万→9.6万人に増加。普通二輪では17.2万→18.7万人に、大型では7.5万→8.2万人に増えた(警察庁調べ)。中でも125ccまで乗車できるオートマ小型限定普通二輪免許の取得者は、2018年の教習制限の緩和により、2017年の1万人から年々増え、2020年度は1.4万人となった。
これらの調査結果を総合すると、50cc以下やオンロード系の251cc以上を選んだ10代や40代、コロナ禍で“密”を避けたい人、そして新規免許取得者がユーザーの年齢を引き下げたと言えるだろう。
EVバイクは若者に不人気? 安くなれば購入対象になるかも
さらに今回のトピック調査では、「EV二輪車に関する意識」も質問した。
現在、一般ユーザーが購入できる大手国産メーカーのEVバイクはヤマハのE-ビーノ(50cc相当)のみ。航続距離が短く、充電時間が長くかかるのは、人気の某TV番組でもおなじみだ。番組のおかげか、EVバイクの認知度は7割以上と高く、「名前と特徴を知っている」が26%、「名前は聞いたことがある」が46%、「知らない」が27%だった。一方で乗車経験に関しては「ない」が95%という結果に。
EVバイクのポジティブなイメージとしては、「環境によい」が67%と最も高く、次いで「音・振動が静か」が55%と続いた。対してネガティブイメージとしては「購入価格が高い」が61%と最多。「エンジン音や振動を楽しめない」が32%、「排気音を楽しめない」が31%と音や振動を楽しめない点も指摘された。
購入の意向に関しては、「購入を検討したいとは思わない」の43%に続き、「どちらともいえない」が25%。購入を検討しない割合が高いのは、「10代」や「30代」といった若年層、「オンロード」「オフロード」ユーザーで、いずれも50%前後だった。
ちなみに購入の懸念ポイントとしては、「1回の充電での走行距離が短い」が61%、「車両価格が高い」が56%、「バッテリーの耐用年数を考えると維持費面で不安」が52%、「充電施設の場所や数が心配」が49%と続いた(複数回答可)。逆に購入条件としては「購入価格が安くなる」が64%、「走行距離が長くなる」が58%、「充電にかかる時間が短くなる」、「自宅で容易に充電が可能となる」がともに49%という結果に。
シニア層が昔ながらのガソリンエンジンを支持し、若者がEVバイクを支持すると思いきや、逆の結果に。値段が高額だからという理由もあるだろうが、今後EVバイクが増えたら平均年齢はさらに高くなる可能性も……?
2年後の調査結果がさらに若返るのか、はたまた再び上昇に転じるのか気になるところだが、いずれにせよ無理のない範囲で年齢にかかわらずバイクを楽しんでほしい!
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