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少し前までは単なる娯楽だったゲームですが、eスポーツが脚光を浴び、プロゲーマーなる職業が登場するなど、ゲーム業界は大躍進を続けています。

そんな中、IT業界の慢性的な人材不足とコロナ禍による急速なリモートワークとも相性の良いプログラマー、特にゲームプログラマーに人気が集中しています。

ゲームプログラマーになるためには、真っ先に「専門学校」が思い浮かびますが、ネットの口コミを見ると「専門学校生は遊びまくっている」「行っても実力が付かない」「ブラック企業しか就職できない」など、「ゲーム専門学校はひどい」という趣旨の書き込みが目につきます。

そこで、長年IT業界で培ってきた経験と世の中の状況を踏まえて、「ゲーム専門学校はひどい」は真実かどうかについて解説したいと思います。

ゲーム専門学校はひどいのか?

結論から言うと、決してそんなことはありません

何でもそうですが、本人のやる気次第です

自分自身の目標がしっかりあって、それに向かって「学ぶ」姿勢があれば、専門学校は多くの事を学ばせてくれます。

逆に、それが無いのであれば、たとえ大学に進学して4年間勉強しても、結局何も得るものは無いに等しいです。

では就職先についてはどうでしょう?

確かに任天堂やソニー、カプコン、バンダイなどの大手メーカーに就職するには大学もしくは大学院卒が必要です。

しかし、募集人数が少ないことから就職倍率は極めて高く、並みの大学卒では就職できません。

もしあなたが国公立又は有名私立大学に入学する学力があるなら、迷わずそちらの道を進んだ方が良いと思います。

しかし、もしそうでないなら、専門学校でみっちり勉強してゲームプログラマーになる方が、手に職もつくのでメリットが大きいでしょう。

ゲーム専門学校のメリット・デメリット

高校卒業後、専門学校に行くか大学に行くかのどちらが良いでしょう?

両者について簡単にまとめてみました。

専門学校 大学
メリット 2年間(学校によっては4年間)で
ゲーム開発に関するスキルが身に付く
幅広い分野の知識を教えてもらえる
デメリット ゲーム開発及びそれに関係する知識
に限定される
就職後、または独学でゲーム開発スキルを
身に付ける必要がある。
向いている条件 「やりたいこと」が決まっている
「やりたいこと」だけ教えてほしい
出来るだけ早く社会に出て稼ぎたい
「やりたいこと」が決まっていない
特定の分野について深く研究/学びたい
幅広い知識を身に付けておきたい
あと4年間は学生でいたい

付け加えておくと、専門学校は学生の就職に対して手厚いサポートがありますが、大学の場合は専門学校に比べてサポートが弱く、自力で就職活動を行わなければなりません。

大学卒が給料が高いからといってFラン大学を卒業してしまうと、就職先を見つけるのに苦労するだけでなく、ゲーム開発企業に入社することも非常に難しくなります。

最終学歴を「大卒」にしたい、何らかの目的があって大学に行きたい、という理由があれば別ですが、そうでないなら専門学校を選んで真剣に勉強する方が、ゲームプログラマーを目指しやすいと思います。

ゲーム専門学校の学費は

専門学校にもよりますが、おおよその相場は1年間120万円前後、2年間で240万前後となります。

大学の学費の相場が110万円、理系で150万円くらいなので、文系より少し高いと言ったところでしょうか。

ゲーム専門学校の落とし穴

専門学校は高校とは違って入学試験で落とされるということはほとんど無く、入学後の成績によって落第することもありません。

普通に通学していれば、成績がどんなに悪くても卒業でき、就職先もそれなりに斡旋してくれます。

ですから、「勉強も嫌だし就職もしたくないから、とりあえず専門学校に行っとこう」といった動機で入学する学生が多いものも事実です。

そういう環境だからこそ、強い意思を持って行動しないと、流されてしまうことになります。

勉強せずゲームで遊んでしまう

勉強の内容が「ゲーム」に関する事なので、「ゲームを研究する⇒単にゲームをプレィして楽しむ」という方向に流れがちです。

特に、「まだ就職したくなかったから」という理由で入学してきた学生は、この傾向にあるため、流されないようにしましょう。

確かに「ゲーム」を作るためには、人気のあるゲームをプレィすることは必要ですが、あくまで「ゲームで遊ぶ」のではなく「げームを作る」ことが目的です。

同じやるにしても、例えば「このキャラクタの動きはどんなアルゴリズムを使っているのだろう」とか「この処理はサーバ側でやっているのかな。でもそれだと相当リソース必要だな」とか、参考になることはたくさんあります。

そういう目線でゲームのプレィができるようになれば、単にゲームで時間を消費しているのではなく、自分のスキルアップへつなげていくことが出来るでしょう。

授業をサボって何となく卒業してしまう

入学の敷居が低いがゆえに、「まだ遊んでいたい」という不純な理由で入学してくる学生は少なからずいます。

そういうメンバーと仲良くなって、流されるまま授業もおろそかになって、2年経って卒業してしまうケースがあります。

高い授業料を支払っているのに、これでは無意味ですよね。

人間は楽な方に流される生き物ではありますが、これに打ち勝つには強い意志が必要です。

最初の頃は授業が難しくて苦労することが多く、一度つまずいてしまうと流されやすくなるため、入学後のモチベーションが高い間に、積極的に理解してプログラミング技術を磨いてください。

やっているうちに出来ることが増えてきて、「ゲームを作ることが楽しい」と感じられるはずです。

人間は楽しいことには時間を忘れて集中してしまう生き物でもあるので、「ゲームを作ることが楽しい」となれば、そちらの方向へ自然に流れていきます。

そうなるように、とにかく最初は先生に聞きまくって理解して言って下さい。

大学には無いゲーム専門学校の良い点

専門学校は大学には無い利点がいくつかありますので、ここではそれをご紹介します。

担任が学生生活をフォローしてくれる

専門学校は大学と違って、高校と同様の「クラス」があり、担任がいます。

たとえば奨学金、学生寮、コロナの集団予防接種、就職活動など、学業や生活に関する様々なことを担任がフォローしてくれます。

大学の場合は、個人個人が大学内のサイト、あるいは学生課に対してアクションをしないといけないので、この違いは大きいです。

卒業時点でゲーム開発のスキルが身に付いている

当然のことですが、専門学校はゲーム開発に関するカリキュラムを2年間(コースによっては4年間)受けることになるため、卒業時点で必然的にスキルが身に付いています。

一方、大学は幅広い知識(=教養)を教えてくれる場なので、ゲーム開発に関する授業は皆無で、卒業してからゲーム会社に入って勉強するか、自力で勉強するかしかありません。

ゲーム開発プロジェクトへの参加がある

専門学校の中には、実際のゲーム企画会社と業務提携し、「新作ゲームの開発」をカリキュラムに取り入れている学校もあります。

このような学校では、ディレクターやデザイナー、サウンドクリエーターなどゲームを作るための様々な業種の方とコラボすることもあり、非常に濃い内容の授業を体験することが出来ます。

業界とのコネクションがある

一般の大学はゲーム業界と関りがあるケースはごく少数ですが、ゲーム開発の専門学校だと普通にコネクションを持っています。

もちろん、卒業生全員がゲーム業界に就職できるわけではありませんが、頑張ってスキルを身に付ければ、ゲーム業界に就職できる可能性は大幅にアップします。

たとえゲーム業界に就職できなかったとしても、一般的なプログラマーとしてIT業界に就職することも可能なので、Fラン大学を卒業した学生よりも、就職しやすいと言えます。

就職のサポートが充実

専門学校は就職のサポートが充実しています。

「就職率」は専門学校の評価を決める数値となるため、ゲーム業界に1人でも多くの学生を就職させられるよう、手厚くサポートしてくれます。

例えば、「企業への応募の取り纏め」に始まり、「ポートフォリオの添削」「自己PG文の添削」「面接の練習」など、大学では有り得ない手厚いサポートが受けられます。

ゲーム専門学校でよくある誤解

ここでは、ゲーム専門学校に関する、よくある誤解について解説しておきます。

ゲーム業界への就職は厳しいのでは?

確かに全員がゲーム業界に就職できる訳ではありません。

例えば、ある専門学校が 「就職率93%、IT業界関連業界への就職率 82%」という数値を公表していたとして、これを見て「82% はゲーム業界ではなくIT業界に就職くしているんだ」と落胆するのは誤りです。

というのも、専門学校には「勉強をしたくない」学生も少なからずいるからです。

逆に真剣にゲーム開発の知識を身に付けた学生は優等生として分類されますので、ゲーム業界への就職に有利になります。

公表されている就職率だけを鵜呑みにするのではなく、その点は専門学校に確認しておきましょう。

大学を出た方が就職に有利なのでは?

これは大学によりけりです。

国公立大学、有名私立大学であれば、大学を卒業した方が有利ですし、大手のゲーム企業に就職できる確率も高まります。

ただ、大手のゲーム企業でゲーム開発をさせてもらえるかどうかについては何とも言えません。

というのも、大手企業の場合は個人の希望はある程度考慮するものの、最終的にはその企業内の人員不足の部門に配属させられるからです。

また、Fラン大学を卒業するよりも、専門学校を卒業する方が就職に有利になるケースも多いのが現実です。

ゲーム制作に関係無い授業が多いのでは?

確かに一見関係が無いと思われる授業はありますが、文部科学省の学習指導要領等に即したカリキュラムが組まれているといった事情や、社会人として必要な知識であったり、一般常識として知っておくべき知識であることがほとんどなので、致し方ないところです。

講師の質はどうなの?

教師の質は専門学校によってバラつきがあります。

プログラミング能力と教える能力は別物なので、両方を備えるというの結構難しいとは思いますが、少なくとも最初の段階は先生の方が断然スキルは上です。

そして、プログラマーは「ネットを駆使して自力で学習してスキルを身に付ける」という能力が重要です。

授業が進むにつて次第にその能力も身に付いていきますので、そうなれば教師のスキルに関係なく自分の能力を伸ばせるようになります。

そういう意味において、カリキュラムの中身が充実していて、教え方がうまい先生がいれば全く問題はありません。

まとめ

今回は、「ゲーム専門学校はひどい」 と言われていることに対して「実際はどうなのか」という点について解説しました。

また、巷では様々な誤解があるので、それについても解説致しました。

専門学校と大学のどちらが良いかは人それぞれですが、Fラン大学を卒業するよりも、ゲーム開発の専門学校をまじめに卒業する方が就職が有利に働くことが多く、就職率も高いというのが結論です。

ただ、専門学校には「まだ遊びたい」という不純な理由で入学してくる学生も少なからずいるので、それらに流されないことが大切です。

この記事が皆さんの専門学校選びの参考になれば幸いです。

私が現時点で一押しの専門学校を、こちらの記事で紹介していますので、興味のある方は是非ご覧ください。