千葉ロッテの佐々木朗希投手が10日に成し遂げた28年ぶりの完全試合は、日本中を沸かせ、スポーツ紙をはじめ一般紙やテレビでも大きく報じられている。ツイッターでは一時、「完全試合」が世界トレンド入りするなど、ネット上でも大きな話題となっている。
そんな中、一部ネットユーザーから注目を浴びていた新聞がある。どんな時でも阪神タイガースを一面にすることで知られ、「ブレないデイリー」を自称している関西拠点のデイリースポーツだ。こんな時でも阪神が一面トップなのか、それともさすがに佐々木投手なのか――。一部好事家は翌日の紙面を楽しみにしていたようだ。
「あのデイリーまで一面でビックリ」
結論から言えば、デイリースポーツを含む、スポーツ紙全紙の11日の一面は佐々木投手の完全試合だったが、この結果にツイッターでは次のような反応が寄せられていた。
あのデイリーですら佐々木朗希完全試合が一面
あのデイリーまで一面でビックリ
関西でデイリー含むスポーツ紙の一面が全てロッテという珍し過ぎる光景
デイリーも一面でびっくりした
W杯日本勝利でもデイリーは「下柳結婚」
前日に阪神戦があったにも関わらず、デイリースポーツが一面で阪神戦を扱わなかったのがどれだけ異例なことなのかは、過去を見ると分かる。
2010年のサッカーW杯南アフリカ大会で、日本代表が下馬評では不利と見られていたカメルーン戦に勝った翌日の6月14日、スポーツ紙はもちろん多くの一般紙でも、サッカー日本代表が勝ったことを一面に扱っていた。日刊スポーツは、「日本勝った 本田弾」の見出しで、紙面全面に前半39分に決勝点を挙げた本田圭佑選手の写真を使っている。
一方、その日のデイリースポーツの一面の見出しは「下柳 結婚」。阪神の下柳剛投手が42歳にして、女優の“松下奈緒さん似”の17歳年下女性と結婚したという「スクープ記事」だった。
2012年11月14日に大女優の森光子さんが亡くなっているが、翌日のスポーツ紙はデイリースポーツ以外、すべて森光子さんの訃報を知らせる記事を一面にしている。スポーツ報知の大見出しは「森光子さん死去」で、中見出しは「女優人生77年92歳で幕」だった。
この時も、デイリースポーツは“独自路線”を貫徹。一面の見出しは、「藤浪当てた 開運グッズ発売」。ちなみに、阪神が藤浪晋太郎投手を4球団との競合の末に抽選で引き当てた、この年のドラフト会議は3週間ほど前の10月25日に行われている。よほど嬉しかったのだろう、3週間もこの話題を引っ張っていたことになる。
2013年5月6日に、巨人の長嶋茂雄終身名誉監督と巨人やヤンキースなどで活躍した松井秀喜さんが、国民栄誉賞を同時受賞した際には、読売新聞は号外を出す力の入れ具合で、スポーツ各紙もこの話題を一面で大々的に掲載していた。
デイリースポーツだけは、この日も阪神ファンを裏切らない。「藤浪は甲子園で負けない」の見出しで、藤浪投手の甲子園での不敗神話を一面に持ってきている。なお、前日の阪神は7対5でヤクルトに敗れているが、先発の藤浪投手には黒星が付かなかった。
阪神が開幕14試合で1勝12敗1引き分けに低迷し、前日も完封負けをしていたとはいえ、シーズン中にデイリースポーツが阪神の話題以外を一面にすることは実に異例なことだ。それだけ、佐々木投手が成し遂げたことが偉業ということだろう。