| 3Dスキャナも3Dプリンタもなかった時代にこれだけ精巧なモデルカーを作った職人が存在したとは |
当時製作にかかった費用は現在の貨幣価値に換算すると約90万円
ポルシェ本社隣接のミュージアムにて「ポルシェ・デザインの50年」展が開催され、そこで50年以上前(正確には54年前)に作られたポルシェ911タルガのモデルカー(1/5サイズ)が展示されることになった、とのニュース。
当時このモデルカーを製作したのはエルマー・ロブマイヤー氏なる人物で、ポルシェの依頼によって全くのゼロベースから作られた、と紹介されています。
このモデルカーが誕生するきっかけとなったのは、ボーデン湖畔のリンダウにあるヴュルテンベルギッシャー・ヨットクラブに展示されていた(同氏の作成による)船の模型をポルシェクラブの会員が見かけたことだといい、その話がポルシェに伝わるところとなって「ポルシェから直接、モデルカー製作の依頼が来た」のだそう。
製作にかかったのは1,200時間
そのヨットクラブに展示されていた模型には製作者の住所と名前、つまりエルマー・ロブマイヤー氏の名が記されていたことから同氏に電話がかかってきたわけですが、ポルシェは「本物そっくりに制作すること」はもちろん、フックスホイールをボルト一本で取り外せることなど様々なオーダーを行ったようですね。
現代であれば3Dスキャンと3Dプリンターによって簡単に「本物そっくりな」モデルカーを簡単に制作できますが、もちろん当時はそんなシロモノはなかったので、エルマー・ロブマイヤー氏は木材にて木型を作り、そこにエポキシ樹脂を流し込んでボディを作ることに。
メーター含むダッシュボードを作成するためにはいったんメーターの写真を撮り、それを縮小することで本物のように見せていますが、ダッシュボードの立体的な模様は「靴底」を利用したとされています。
ただ、画像を見る限りでは、メーターの文字盤は「写真」であったとしても針やセンター部はちゃんと立体にて作られているようですね。
こうやって見ると実車と見分けがつかないほどで、シートやステアリングホイールのレザーの質感、サンバイザーに仕込まれたミラー、ドア開口部のウエザーストリップなどは「実車さながら」。
ちなみにこの制作にかかった費用は「時給換算」にてポルシェが支払うことになり、当時「1時間10マルク」で製作を請負い、トータルでは1,257.75時間を要したため、そのコストはつまり12,577.5ドイツマルクという計算になります(現在の貨幣価値に換算すると90万円くらいになるようだ)。
911タルガの模型を作ったことは昨日のように覚えている
エルマー・ロブマイヤー氏はこのモデルカーを製作したときのことを昨日のように鮮明に覚えているといい、これほどまでの出来栄えを持っているのに、完成した模型をポルシェの重役に見せる際には非常に緊張し、ポルシェに到着してからタバコを1箱、帰宅後もさらに1箱を吸ったと語っています。
なお、このモデルカーはポルシェのイベントにて使用された後、エルマー・ロブマイヤー氏の工房へと返却され、その後はずっと同氏の工房にて保管されていたそうですが、同氏はふと「自分が死んだらこのモデルカーはいったいどうなるのか」と考え、そして「これはポルシェの資産として、ポルシェが保管すべきである」と判断することに。
その後はレストアを受けて新車の輝きを取り戻し、上述の通り「ポルシェ・デザインの50年」展に展示される予定となりますが、この会期終了後もずっとポルシェ博物館に保管されることが決まっている、とのこと。
たしかにこれだけの素晴らしい作品は未来永劫、多くの人が見ることができる環境にて展示したほうがエルマー・ロブマイヤー氏としても嬉しいのかもしれませんね。
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