23年前のマツダMX-5を新品の状態で販売。コンバーチブルの季節にぴったりのこの23年前のマツダ ロードスターは、走行距離がわずか2,100kmで、事実上新車同然だ。そんな一台がただいま販売中!
累計生産台数100万台を突破し、現在は4代目のNDとなるロードスター、「マツダ ロードスター」。現在、アメリカで非常に特別な個体が販売されている。23年前の「MX-5」は、信じられないほどの走行距離で、新車のような状態だ。
エメラルドグリーンマイカにペイントされ、15インチの5本スポークホイールとナルディのレザーステアリングは、まるで昨日ショールームから飛び出してきたかのようなコンディションだ。マツダファンやコレクターにとって、20年以上前のNB型「MX-5」を新品状態で入手できるのは、おそらくまたとない機会だろう。
23年間でわずか2103kmの走行距離
bringatrailer.comでは、1999年式マツダ ミアータ(アメリカではMX-5と呼ばれる)が、走行距離1,307マイルという驚くべき数字で出品されている。23年弱で2,103㎞に相当し、ロードスターは年間平均100㎞も走行していないことになる。ダークグリーンメタリックのペイントは完璧で、下回りの写真からもほとんど動かされていないことがわかる。
提供されているモデルは、2代目「MX-5」だ。「NB」という略称を持ち、1998年から2005年にかけて販売された。オリジナルの「NA」モデルと比較すると、特徴的なリトラクタブルヘッドライトがノーマルの固定ヘッドライトに変更されている。
それとは別に、2つの世代は視覚的に似ており、それはほぼ同じ寸法にも反映されている。一方、マツダは「NB」でよりパワフルなエンジンを提供した。排気量1.6リッターと1.8リッターの4気筒エンジンが残り、欧州の2代目「MX-5」では最高出力146馬力を発揮していた。
1.8リッター4気筒(140馬力)
「エメラルドグリーンマイカ」で塗装された「MX-5」のボンネットの下には、140馬力と162Nmを発揮する1.8リッター自然吸気エンジンが搭載されている。1トン強の車重を持つスポーティなロードスターにふさわしく、動力伝達は5速マニュアル変速機が担っている。
後輪駆動は、「MX-5」の名誉のために言っておく。この軽量化されたマツダは、机上では扱いやすい性能にもかかわらず、100km/hまでの加速は8.4秒、最高速度は200km/h以上を達成している。
マツダのコンディションに話を戻すと、シンプルな内装に細いファブリックシートは新車同様だ。走行距離も2,103kmと少なく、ダメージは見当たらない。
搭載されている装備は少ないが、純粋なロードスターには必要ない。エアコン、CDラジオ、「スポーツパッケージ」など、特筆すべき装備が満載だ。フロントスカートの取り付け、トランクリッド用スポイラーリップ、ビルシュタイン製ショックアブソーバー、トルセンデフなどだ。
オリジナルタイヤを装着したMX-5
しかし、使用予定地域によっては、新しいオーナーが気をつけるべき小さなことがまだある。ひとつには、ソフトトップがもはや最高の状態ではなく、すでに圧痕やシワがはっきりと見られることだ。
1999年製のミシュランパイロットSXがまだ装着されている。トレッドがまだ良い場合でも、20年以上経過しているため、タイヤは交換する必要がある。
このMX-5は売れたのか?
結局、このような「タイムカプセル」にはよくあることだが、「このクルマはこれからどうなるのか?」 この低走行距離のMX-5は、実は乗るのがもったいないくらい高い。
オークション終了の2日前、最高値は14,000米ドル(約185万円)相当で落札された。ドイツでは、走行可能なMX-5 NBは、最も安いもので約3,000ユーロ(約40万円)から販売されている。走行距離5桁の整備された初物でも、7,000ユーロ(約93万円)程度で手に入る。それを考えれば確かに高いが、決して法外な高さではない。
このため、深緑色の「MX-5」は路上に出る機会のないまま、コレクションからコレクションへと移動し、(新品の)オリジナルタイヤは劣化し続けるという悲しい運命に見舞われることになる。本当に残念だ。
【ABJのコメント】
もはやマツダだけではなく、世界中のオープン2シーターのアイコンとなった「マツダ ロードスター」。決しておおげさではなく、日本が世界に誇る一台である。オープン2シーターをアフォーダブルな価格で復活させたこと、そしてそれを一発芸ではなく何世代にもわたってまっすぐに作り続けていること、そんな純粋で熱い広島の良心ともいえる自動車である。
今回はそんなロードスターの2世代目の「NB」の出物である。走行距離が異常に少なく、程度はもちろんミントコンディション、昨今の異常なまでのヴィンテージカー高騰価格を思えば、こりゃさぞかし法外なプライスがつくのだろうな、と思っていたら、そうでもなかった。当時の新車価格よりも安い値段は、保管料や今までのコストを考えたならば割安ともいえる。もはや神格化されたような存在の「NA」ではなかったことが理由なのかとも思うが、それでも安い。なにせ新車のような車なのだから。
では今回の「NB」、買うかと言われたらやっぱりハードルが高い。買ってどんどん乗って距離を伸ばしてはせっかくのミントコンディションではなくなってしまうし、だったらどこかに飾っておくかというと、「NBロードスター」はまだまだそういうものでもない。どうにもいい使い道があまり思い浮かばない、というのが正直名感想である。そう考えると今回の価格は「まあそんなもんかな」とも思うのであった。(KO)
Text: Jan Götze
加筆: 大林晃平
Photo: bringatrailer.com