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米テスラの最高経営責任者(CEO)イーロン・マスク氏が、米ツイッター社の筆頭株主になったことは先日サキシルでも報じたが、マスク氏のツイッター社を巡る騒動はまだ終わっていなかった。

ツイッター社のホームレス施設化をぶち上げたマスク氏(NORAD and USNORTHCOM Public Affairs/public domain:Sundry Photography /iStock)

マスク氏の取締役就任を発表も撤回

マスク氏は10日、唐突に「Convert Twitter SF HQ to homeless shelter since no one shows up anyway」とツイートし、アメリカ・サンフランシスコにあるツイッター本社をホームレスのための一時宿泊施設にするか、自身のフォロワーに問うアンケートを実施した。

さらに、このツイートから数時間後には、「Delete the w in twitter?(Twitterからwを削除しますか?)」とのアンケートを実施。ちなみに、「Twitter」から「w」を削除すると「くすくす笑う」を意味する「Titter」になる。

ここ数日のマスク氏のツイートは、今後のツイッター社の経営方針や収益モデルにまで及んでいる。

月額3ドルを支払えば、誰でも認証マークを取得できる。

広告はありません。 ツイッターが生き残るために広告費に依存している場合、企業の(ツイッターの)ポリシーを決定する力が大幅に強化されてしまう。

マスク氏は、ツイッター社の筆頭株主になったことで、4月5日に取締役に就任することが発表されていた。マスク氏の一連のツイートは、取締役として今後のツイッター社のあり方を真摯に考え、発信したものと見られていたが、どうやら違ったようだ。

ロイターが10日、「マスク氏、ツイッター社の取締役に就任しないと決断」と速報。ツイッター社のパラグ・アグラワルCEOも11日、「イーロンは我々の取締役会に参加しないことを決定しました」と、マスク氏の取締役就任撤回を認めるツイートを投稿した。

この事態が関連しているのか、先述したホームレス施設や認証マークの有料販売など物議を醸すツイートは11日午後(日本時間)、削除された。

2018年エイプリルフール「テスラ破産」ツイート

マスク氏と言えば、これまでも数々の「お騒がせ」エピソードで知られる人物で、その中にはツイッターを舞台にしたものも少なくなかった。

2018年の4月1日には、「テスラが破産した」とツイート。エイプリルフールの「ネタ投稿」だったが、このツイートを受けテスラ株は5%も下落した。

イーロン・マスク氏(Automobile Italia/flickr:CC BY 2.0)

2021年5月には「Do you want Tesla to accept Doge?」とツイートし、テスラ社が暗号資産「ドージコイン」での決済を受け入れることを示唆。これを受けて一時、ドージコインの価格は15%急騰した。一部のアナリストや専門家は、マスク氏がツイートによって市場を簡単に操作できるとして懸念を示していた。

昨年12月には突如、「疑問に思っている人のために言っておくと、私は今年110億ドル以上の税金を支払います」とツイート。マスク氏は、一部政治家などから「納税逃れをしているのでは」と指摘されてきたが、このツイートはそれへの反論と見られる。

さらに、マスク氏は過去に、ツイッターにテスラ株式の非公開化の「資金は確保した」と投稿するも、その後に撤回した例もある。

マスク氏がツイッター社の筆頭株主になったことで、一時、ツイッター社株は26%も上昇した。マスク氏が取締役に就任しないことで、今回は反対に、ツイッター社の株価が下落することも考えられる。

ただ、マスク氏は筆頭株主だけに、自身が望めば取締役になることは簡単だろう。マスク氏が本当に取締役に就任を見送るのかどうかは、過去の気まぐれすぎる言動を鑑みると、しばらく様子を見る必要がありそうだ。