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 4月28日の東京外国為替市場は、約20年ぶりに1ドル=131円台を付けた。原油価格の高騰に加え、円安進行で原材料や資材などの価格上昇が続いている。東京商工リサーチによると、4月には貿易商社1社が倒産した。新型コロナウイルス感染拡大にともなう業況悪化に加え、円安で価格上昇した商品の輸入制約も響いたという。

 ある専門商社の経営者は、当初利益を見込んでいた輸入品が原料高や円安で赤字になるケースが出てきたと嘆く。コスト上昇分の価格転嫁は容易ではない。今後の収益に与える影響が懸念される。

 櫻田謙悟経済同友会代表幹事は先ごろの会見で「総合的に考えると、歴史的に見ればもう少し強くていいはずの円が、1ドル=125円、さらにその上(の水準を)見にいくとなれば、新しいボックス圏に入ったとの見方をしなければならないのかもしれない」と述べた。わが国は、すでに海外で生産できるものは工場を移転してしまっている。経済構造を変革するといっても簡単ではない。現在の円安は適正な水準ではないという声は多い。ここは政府や中央銀行が知恵を絞り、為替の適正水準回帰に努めてほしい。

 問題は円安だけではない。ロシア・ウクライナ情勢、それにともなう原油高や原材料高、新型コロナによる港の滞船など問題は山積みしている。日銀が先に発表した3月の国内企業物価指数は前年同月比9・5%上昇した。高水準の伸びが続いている。ロシア・ウクライナ情勢、原油高、円安などが影響した。原材料価格の上昇分を企業努力で吸収するにも限界がある。いずれは最終商品に転嫁される時が来るだろう。

 帝国データバンクの「2022年度の業績見通しに関する企業の意識調査」では、下ぶれ材料として「原油・素材価格の動向」を懸念する企業の割合が、1年前より30ポイント以上増加した。原材料価格の動向は今後の業績を左右する最大のカギになろうと指摘している。さらにロシア・ウクライナ情勢の長期化などを受け、カントリーリスクを意識する企業も急増した。

 貿易については、北米の滞船問題に加え、上海のロックダウンによる滞船問題も起きている。上海港での荷さばき作業が遅れ、大手商船会社によると100隻以上が滞船しているという。当初は上海港を迂回して大連、青島、大倉など他港で荷積みするケースもみられたが、すでに港は満杯状態という話もある。

 先行きの不透明感は簡単には払拭できそうにない。事業環境の変化に適応し、自らを変革することで乗り切っていくしかないだろう。

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