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 旧車オーナーの悩みといえば、乗り心地の劣化。外観はピカピカでも、走周りは確実に経年変化が忍び寄っているもの。純正ショックのまま、専用のオイルとガスを交換するだけで、劇的に乗り心地が改善するとウワサのネオチューンを試すべく、自動車ジャーナリストの橋本洋平氏が、母のR34スカイラインをネオチューンの代理店、丸徳商会に持ち込んだ。

TEXT/橋本洋平 PHOTO/編集部

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■名車R34スカイラインをよみがえらせる!!

 純正ショックアブソーバーのオイルを抜き取り、専用のオイルに入れ替えることで、ノーマルとはまったく異なる自分だけの乗り心地が手に入るという「ネオチューン」。今回はそれを、我が家で24年も活躍し続けているR34型の4ドアスカイラインに施工してみることになった。実はこのクルマは私の母の所有物で、40代でまだ直線番長(笑)だった頃、スカイライン党だった亡き父(各世代を乗り継いだがR31時代を最後に他界)を思い、発表当日にオーダーをかけたという一台だ。

橋本洋平氏の母のR34スカイラインは1998年製の4ドアセダン、GTターボ4AT。走行距離は8万8000kmほどだ
ネオチューンは複筒式のダンパーを採用するモデルなら、ほとんどのクルマに施工できる。オイルだけのチューニングなので、ダンパー自体はノーマルのままだ

 ATながらターボで280馬力(本当に出ているのか怪しいが)を達成したスポーツセダンである。だが、オーナーとなる母も70代に突入。いまじゃ近場を、孫を乗せて走るのみの使用に限られており、ヤンチャな乗り味が続くのはどうかと思っていた。そんな矢先、このネオチューンに出会い、ならばぜひそれを試したいとなったわけだ。

■オイルのブレンドによって10種類の乗り心地が選べる!

 ネオチューンには10種類の乗り心地設定があり、専用オイルのブレンドによってそれを達成している。今回はそのなかでも最もソフトなものから数えて2番目に柔らかいスーパーコンフォートというものをチョイス。純正ノーマルの状態からは3段階ソフトに振ったという設定だ。

 作業工程を拝見させていただくと、まず驚いたのがその施工方法だった。ネオチューンが対応するショックアブソーバーは複筒式(ツインチューブ)のみ。その中に含まれるオイルを入れ替えるのはどうするのか興味深かった。なぜなら複筒式のショックは基本的に非分解で作られているからだ。

 ネオチューンは分解するのではなく、ショックの一部に穴を開け、封入されているオイルと窒素ガスを排出。その後、専用オイルと窒素ガスを再びバルブにセットし、封入した穴を塞ぐために特殊なセメントやシール材を塗布するという流れだ。

ネオチューンは特殊なオイルのブレンドによって、エクストラコンフォートからハードⅢまで10種類の乗り味が選べる。いずれもダンパーが圧縮された時に粘りのある乗り心地が出る点が大きな特長だ

 コレ、文字にすると簡単だが、実はその工程がかなり緻密。穴あけ作業は切り粉がショック内部に絶対に入らないように掃除機を当てながらドリルを当てるという丁寧なもの。ショックにタップを切る(ねじ山を切ること)時にも、細心の注意を払って作業を行っていたことが印象的だ。さらに、現状入っているオイル量を把握するために、ショックを何度も伸び縮みさせてシッカリと抜き、それを計測。専用オイルを入れる際のデータ取りをきちんと行い、それと同じ量のオイルを入れる。

 オイルは何種類か存在するものをブレンドして好みの乗り心地を実現する。その際の計量も実に細かく丁寧だったことが印象的。オイルを再びバルブから入れ、その後窒素ガスを3.0kg/cm2の圧力で入れれば作業は完了する。

 ただ、実は今回の作業で一部問題があった。それは我が家のスカイラインのショックが、一本だけ若干のオイル滲みがあったのだ。基本的に作業をするクルマは健全であることが前提なのだが、オイル滲み程度であれば劣化したショックも復活できるというのがネオチューンの凄いところ。オイルシールソフナーを配合したことで、固くなったオイルシールが復活するというのだ。これは仕上がりが楽しみだ。

■これがネオチューンか!? ハイエースに乗って驚いた

 ショックアブソーバーの施工は完了したが、これから車両に再び戻すには時間がかかるということで、作業完了までの間、ネオチューンを施工したハイエースに試乗させてもらった。競技もこなせるというハードなものから、快適性能を目指したフルソフトなものまで乗ったが、オイルの設定だけでここまで変化させることができるのかと感心するばかり。

ネオチューンが施工されたハイエースに乗って、その乗り味の変化に驚いた。荷物を積んだ時はさらに違いが顕著なはず

 ハード仕様はとにかく応答性がよくキビキビ。フルソフトはこれがハイエースなのか? と疑うほど快適だった。まあ、そこまでソフトにしてしまうと、ステアリングの操舵感が薄くなり過ぎるというネガも見えたが、ステアフィールを気にしないのであれば、コレはコレでアリだろう。

■R34スカイラインの走りはマイルドに高級になった

 さて、話は再びスカイラインに戻り、完成した車両で帰路についた。はじめはオイルとガスの位置が落ち着くまで数十キロはナラシをして欲しいとのことだったので、一般道をゆっくりと走ってみた。まだナラシ段階ながら、往路とはまるで違う丸みを感じる乗り味に驚いた。荒れた路面や橋脚の継ぎ目などで、ガツンと来ていた突き上げ感がまるでなくなり、かなり落ち着いた動きに変貌したのだ。ショックが速く動く領域における感触はすこぶるいい。

施工後のR34スカイラインの走りは、例えるならプレミアムタイヤに変えた時のような高級感が感じられたが、母も同意見なのにはこちらも驚いた。今回の加工工賃は3万4000円(税抜、脱着工賃別)とリーズナブル

 現在はスポーツラジアルタイヤを装着しているのだが、それがプレミアムコンフォートタイヤに交換したかのようなフィーリングだ。ちなみに施工工賃は3万4000円(税抜、脱着工賃別)というから、意外にリーズナブルだ。

 60キロほど走ったところで、路面が荒れている首都高速を走ってみた。すると、乗り心地はさらにマイルドに落ち着き、路面への追従性が高まっている感覚がある。ロールスピードは若干速くなった感覚があるが、最後はきちんと粘り腰といった感覚があり、フワフワグラグラするようなことはない。ノーマルのハンドリングの延長上にいながら、ちょっとオトナになったかのようなフィールがたまらなく心地よい。

 ステアリングは微小操舵角の応答がよすぎていて疲れると感じていたものが、ほどよいダルさが与えられ、直線巡行時に機敏すぎではなくなったところが好感触。切り込み応答についても反力がきちんと得られ、操舵感が抜けすぎるようなことは無かった。スーパーコンフォートはやり過ぎかと思ったが、我が家のR34にはピッタリだったとホッとした。

今回取材に伺った丸徳商会の本社敷地内にあるMT+STYLE(エムティプラススタイル)は、さまざまな相談に乗ってくれるサテライトショップ。ネオチューン施工の相談のほかカー用品の販売も行っている。また6月5日ハイエースを使ったスカベン・ラリー「エムティプラス スタイルツーリングラリー」を開催予定。ネオチューン施工済みのハイエースもやって来るから、相談できるチャンスだ! 

丸徳商会 MT+STYLE(エムティプラススタイル)公式サイト

■母にもわかったネオチューンの効果

 後日、母にクルマを納車すると「また廃棄物を増やしたの?」とあきれ顔だった(かつて外した純正足回りを僕が自宅裏に放置した過去があり、足周り交換というとイヤな顔するんです(汗))。ネオチューンはオイルとガスを交換するだけの環境にやさしい製品なんだと説明すると曇った顔が晴れてきた。早速近所を走り回り「ちょっと高級になった?」というコメントを残していた。

 これが精一杯の言葉だったそうだが、違いが感じられるか心配していたお婆ちゃんでも、充分にその効果は感じられたようだ。これで免許返納までのあと数年を、思い出のイッパイ詰まったスカイラインと共に快適に乗り切っていけそうな気がする。ネオチューンは旧車を大切に乗って行きたいというユーザーにとっても、大きな味方となってくれそうだ。

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