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 街中やデパートで、花柄のワンピースやスカートなどを見かけると、いまでも思い出すことがある。確か小学5年生か6年生の頃だったと思う。クラスにとても上品で賢く、大人びた女の子がいた。図工の時間にその子が書いた水彩画を見て衝撃を受けた。とても子供が書いたとは思えない見事な作品だった▼構図やタッチもさることながら、その絵は赤、ピンク、オレンジといった暖色系の色彩だけで描かれていた。12色、あるいは24色といった絵の具を目の前にして、2、3の色だけを選びその他は捨て去って絵を描く。その発想に驚いた。それほど偏った、バランスを欠いた選択なのに、出来上がった絵は見る者を惹きつけ強い印象を与える▼大人になったら、自分もあんな絵が描けるだろうか。嫉妬や劣等感とともに思ったが、やはり無理だった。せっかくあるいろんな色を使い、調和させたくなってしまう。海と山と太陽と、花と人とを画面に共存させたい。そんな誘惑から逃れられない▼思想の違いはしばしば色で表現され、選挙では、陣営ごとにシンボルカラーが利用される。赤が勝つか青が勝つか。はたまた緑かオレンジか。それぞれの色には個性があり、趣がある。しかし、どれか一色で世界を染めることはできない。カラフルで活気に溢れた世の中であって欲しい。(22・5・10)

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