イギリスを訪問中だった5日、岸田首相がロンドンの金融街・シティーで講演を行い「安心して日本に投資をしてほしい。インベスト・イン・キシダ(岸田に投資を)」と述べたことが、ゴールデンウィーク最終盤の話題となった。
この岸田首相の発言に市場は好感を持ったのか、6日13時には前営業日(2日)から241円高の2万7055円まで、日経平均は小幅ではあるが値上がりした。
しかし、9日午後の記者会見で、ロンドンでの岸田首相の講演内容に対する受け止めを記者から問われた松野官房長官は、次のように述べた。
「首相の講演は、貯蓄から投資へのシフトを大胆かつ抜本的に進め、投資による資産所得倍増を実現すべく国民の預貯金を資産運用に誘導する新たな仕組みの創設など検討していく旨を表明したものだ。金融所得に対する課税のあり方については、高所得者層の投資家で所得税負担率が低い状況を是正する必要がある。一般投資家が投資しやすい環境を損なわないよう十分に配慮しつつ、諸外国の制度や市場への影響などを踏まえ総合的な検討を行う。」
この会見内容を英ロイターが「金融所得課税強化の検討、投資環境損なわないよう配慮=官房長官」の見出しで報じると、ツイッターでは「金融所得課税強化の検討」が一時トレンド入り。松野官房長官が「配慮する」と表明した、一般投資家とみられるユーザーから怒りの声が相次いだ。
自分たち政府は子どもの教員にも、研究者たちにも、何一つ投資なぞせんのに国民に「投資をして!」言うたか思うたらもう「課税しまっせ!」言うてる。岸田ってほんとに
岸田が投資で所得倍みたいなこと言い出したと思ったらこれだし
言っていることと真逆の行動を取ると人は信用を無くすんですよ
施策の中身を見る以前に、既に政治不信が増し過ぎて日本株から逃げるでしょうよ。行動が速い海外投資家ほどそうで。
岸田政権が掲げる一億総貧困化社会の目玉政策。岸田は日本経済を破綻させて何を目指すんだ?
最悪の政権だ。配慮いただき、ありがとうございますと言えばいいのかい?
官房長官発言を受けてか、発言翌日10日の日経平均は取引開始直後から売り注文が集まり、下げ幅は一時500円を超えた。今年3月以来およそ2カ月ぶりに、節目と言われる2万6000円台を割り込んだ。
岸田首相の就任前の昨年9月時点で、東証一部の時価総額はおよそ778兆円あった。ところが、今月10日時点での東証プライムの時価総額は680兆円だ。7カ月ほどで岸田政権下に失われた国内資産は約100兆円に上る。
このところの日本の株安は、昨年来続く原油高やロシアによるウクライナ侵攻への警戒感、米国主要株価指数が大幅に下落したことからということもあるだろう。しかし、岸田政権の金融政策はもとより、朝令暮改にも見える右往左往ぶりもその理由の一つではないだろうか。