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慶応義塾大学総合政策学部教授で、国際政治学者の中山俊宏氏が今月1日に、くも膜下出血で亡くなっていたことが9日分かった。55歳の若さでの突然の訃報に研究者仲間や政治家、一般の人たちの間でも衝撃が広がった。

亡くなった中山敏宏教授(慶應大SFC公式サイト)

中山氏の専門は、アメリカ政治・外交、日米関係、国際政治。青山学院大学国際政治経済学部卒業、同大学大学院国際政治経済学研究科博士課程修了後に、日本国際問題研究所主任研究員、青山学院大学国際政治経済学部教授などを歴任し現職。

ロシアによるウクライナ侵攻を巡ってのテレビ出演やSNSでの発信も多く、最近では3月27日にもNHKの『日曜討論』に出演していた。中山氏の急逝に、ツイッターでは関係者などから次々と追悼のコメントが寄せれた。

中山氏の同僚の慶應義塾大学総合政策学部の鶴岡路人准教授は、第一報が報じられると次のようにツイートした。

いまだに信じたくないのですが、ご冥福をお祈りする他ありません。大学の教室でも研究室でも、歯にかんだようなお茶目な表情でまたふらりとやって来そうな気しかしません。心遣いは細やかで、断トツに格好よかった。そして判断はいつも的確。研究室が隣だったのも嬉しく、お世話になりっ放しでした。

上智大学教授で現代アメリカ政治外交が専門の前嶋和弘氏は、「実に長い時間を共有しました」とし、次のように追悼コメントをツイートした。

ちょっとぽっかり大きな穴が開いてしまった感じです。実に長い時間を共有しました。研究会、学会、渡航しての現地のシンクタンクとの交流、書籍、番組出演など、名前が一緒に並ぶことがうれしかったです。

国際政治学者で東京外国語大学教授の篠田英朗氏は、中山氏の生前最後のツイートをリツイートする形で、故人の冥福を祈っていた。

これが中山先生の最後のツィートでしょうか。中山先生らしい内容でした。最後にお会いしたのは4月22日でしたが、いつも通りでした。あらためてご冥福をお祈りします。

東京大学先端科学技術研究センター教授で、イスラム政治思想が専門の池内恵氏も次のようにツイートし、中山氏の人柄を偲んだ。

学者を超越した洗練されたスタイルとセンスの持ち主で、おそらく、日本のハイ・ソサエティというものがあるのならそういうところの出身なのだと思っていたが、近づいてみると、気取ったところ、人を見下したり排他的だったりするところはカケラもなかった。本当に気持ちのいい、素敵な人でした。

防衛研究所・政策研究部防衛政策研究室長の高橋杉雄氏は、「中山さんには代わりはいないんです」とツイートした。

私を含め、業界のほとんどの人間には代わりができる人がいます。けれど、中山さんには代わりはいないんです。本当に。本当に。最後の日のツイートを含め、これまで、中山さんにどれだけ助けられてきたことか。まだまだ会いに行きませんからね。ご冥福を祈ります。

学界だけではなく政界にも、中山氏の訃報の衝撃が広がった。自民党の長島昭久衆院議員は、次のように連続ツイートしていた。

長年の畏友であり、尊敬する学者・教育者が急逝されたとの悲報に接す。呆然自失。言葉を失う。無念・・・唯々ご冥福をお祈りするばかり。合掌

「慶應義塾から正式な発表がありました。中山俊宏先生、悲し過ぎます。研究者としてアメリカ政治に深い造詣があったことは言うまでもありませんが、昨今はアメリカ社会の分断を心から憂い、その故に日米同盟の将来を心底心配されておられたのが強く印象に残ってます。心よりご冥福をお祈りします。

米国シンクタンク「CSIS」出身の、自民党の辻清人衆院議員は、「未だに信じられません」とツイートしていた。

先日第一報に接した際は耳を疑いましたが、未だに信じられません。先生とは20年以上に亘り不思議なご縁を頂き、最近も新たな外交勉強会を発足したばかりでした。専門分野である日米関係は勿論ですが、ライフスタイルの面でも憧れていました。心よりご冥福をお祈り致します。

SAKISIRUも昨年9月、生前の中山氏が米英豪による安全保障の新しい枠組み「AUKUS」の今後を巡り、鶴岡氏らとツイッター上で高度な議論を交わしている模様をまとめて記事を掲載したことがありました。

米英豪の新同盟?日本は参加?「AUKUS」巡り専門家がツイッターで議論活発に(9月16日)

記事掲載後には「あるトピックに関しツイッター上のスナップ写真をとるような新たな手法。これを『新しいかたち』と評価するか、『安易なつぎはぎ』と評価するか、議論は分かれるでしょうが」とやや困惑気味に反応しながらも、「ケオティックな(編集注・混沌とした)ツイッター空間で、誰のツイートを、どう使うかは結構センスが問われるかも」と、編集部側にやや辛口なエールを贈ってくださいました。

そのコメントは膝をただして拝見し、今なお日々の編集作業で重しになっています。これからも専門家の先生方にリスペクトを第一にその後の議論まとめにも生かし、読者が知見を得られるような構成をしたいと思います。心より哀悼の意を表します。