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補助金早いもの勝ち!? 日産サクラ&三菱eKクロスEVの魅力とオススメなグレード 徹底紹介!!

 2022年5月20日に発表された日産/三菱による軽のバッテリーEV「サクラ」/「eKクロスEV」。発売開始は今夏の予定だ。

 日産副社長の星野朝子氏が「軽のゲームチェンジャー」とする新型サクラは、リーフの開発で培った技術をフル投入し、最新の電動パワートレインと、最新のインテリアアイテムも盛り込んだ意欲作。

 しかしながら、サクラ/eKクロスEVに関しては、どこがどう違うのか、よくわからない人も多いだろう。サクラ/eKクロスEVの魅力を振り返りつつ、パワートレインや価格、装備に至るまで、サクラ/eKクロスEVの違いを詳細にご紹介しよう。

文/吉川賢一、写真/池之平昌信、佐藤正勝

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BEV(電気自動車)ファミリーで登場したサクラ、軽ファミリーで登場したeKクロスEV

三菱eKクロスEVはSUVテイストの軽自動車であるekクロスシリーズのEVモデルとして登場

 2台の大きな違いは、エクステリアデザインの方向性だ。日産サクラは、ほぼ、東京モーターショー2019で登場したコンセプトカー「IMk」そのもの。デイズと共通するパーツは見当たらず、完全オリジナルとなる。フロントバンパーやヘッドライト周りなど、アリアの特徴を捉えたうえでそのまま縮小した、まさに「アリアの孫」といった印象だ。

 サクラの開発関係者によると、(サクラは)軽のサイズではあるが、アリア、リーフ、サクラと並べ、日産のバッテリーEVラインナップのベースを支えるクルマと考えてほしい、とのこと。軽初となるプロジェクタータイプの3眼ヘッドランプを採用した薄型ヘッドライトや、格子をヒントにしたというワイドなリアコンビネーションランプも、ハイセンスでおしゃれ。前後バンパーやホイールにいれられた、日本の伝統模様「水引」も、いいアクセントとなっている。

 インテリアも、軽を越えたクオリティだ。7インチサイズの液晶メーターと9インチナビゲーションは、アリアやノートのように一枚板の上にレイアウトされている。よく見れば、2枚のディスプレイを横に並べただけなのだが、アリアやノート(ノートオーラ)の印象が良いからか、質感が良く感じられる。

 いっぽうのeKクロスEVは、サクラとは違い、三菱のeKシリーズの追加車種として登場した。eKクロスから変更されているのは、ダーククロムメッキのフロントグリルやLEDのフロントフォグランプ、ボディサイドのEVロゴといった程度。

 インテリアのデザインも、基本的にはeKクロスと同じだが、インストルメントパネル周りには、カッパー色のステッチをアクセントとして入れており(「P」グレードにオプションのプレミアムインテリアパッケージ装着時)、わずかながらも高級感を引き出すことに成功している。また、電子制御セレクターレバーや、7インチカラー液晶メーター、9インチの大型ナビなどは、eKクロスEVだけの専用装備(サクラと共通のパーツ)となっている。

 三菱商品企画本部、eKクロスEVのCPS(チーフ・プロダクト・スペシャリスト)藤井康輔氏に尋ねたところ、「軽ガソリン車と軽BEVを、特別な区別をせずに選んでいただきたいという思いでeKファミリーへと入れました」という。

 ブランドの統一感をだすうえでも、新たなデザインでつくるよりも、ダイナミックフォースなデザインが出来上がっているeKクロスのデザインを活用する方がいい、という考えもあったのだろう。ただ、「新しい軽EV」が登場するというめったにないタイミングであり、せめてフロントバンパーだけでも新顔で登場させてほしかった、というのが筆者の正直な印象だ。

パワートレインのスペックは共通

 両者のパワートレインのスペックに違いはない。バッテリー容量は20kWhで、航続距離は最大180km(WLTC走行モード)。最高速度は130km/h。駆動用モーターは最高出力47kW(64ps)、最大トルク195Nm。一般的な軽のターボエンジンと比べて最大トルクが約2倍にもなる。

 どちらにも試乗させていただいたが、通常の軽ガソリン車で感じるもっさり感が一切ない。軽い車体とパワフルなモーターの相性は、このうえなくマッチしており、軽のネガティブ要素がすべて解消されているといってよい。

 モーターの初動トルクが強いので、これまでの軽が苦手だった登坂走行や信号停止からの発進は、本当に楽になるだろう。また、モーターの制振性能も高いため、走行中は実に静かで、滑らかな走りも実現している。これまで遅れていた軽自動車の電動化だが、BEV化こそが「軽のフィイナルアンサー」だと筆者は感じた。

 なお、普通充電(AC200V/14.5A)と急速充電の2つのポートを備えており、普通充電の場合は8時間で残量警告~100%となり、急速充電の場合は約40分で警告灯点灯~80%まで充電が可能。

 また、蓄えた電力は、V2L(電気を取り出す仕組み)でキャンプなどでの電源として、V2H(住宅へ給電する仕組み)で停電時の補助電源としてなどにも対応するという。嬉しいことに、エアコン冷媒を用いたバッテリー冷却システムも備わるので、バッテリーが温まった走行直後の継ぎ足し充電でも、充電量低下を抑制できる。

サクラ/eKクロスEVならばBEVもアリ!! 上位グレードはサクラのほうが割安!?

2022年度の政府補助金55万円を活用するとサクラ「X」の実質価格は184万9100円。自治体によってはさらに補助金が加わる

 車両価格だが、サクラは上級仕様「G」が294万300円、スタンダード「X」は239万9100円だ。GにはプロパイロットやSOSコール、アラウンドビューモニター、日産コネクト9インチナビ、アダプティブLEDヘッドランプなどの上級アイテムが標準装備となる(プロパイロットパーキングはメーカーオプション)が、近くの買い物や通勤などで利用するのであれば、スタンダードでも充分だ(筆者が買うならば、長距離移動に向いたワゴンが既にあるので、スタンダードを選ぶだろう)。

 おすすめのオプションは、ディーラーオプションの「サクラセレクションパッケージ(8万8399円)」。フロントの日産ロゴの上にサクラのロゴと花びらのアクセントや、シーケンシャルドアミラーウィンカー、キッキングプレート(車名ロゴ付)、フットウェルランプ(フロント席用:運転席&助手席)なども含まれる。サクラを一層オシャレに決めるアイテムとしてはコスパも高い。

 いっぽうのeKクロスEVは、上級仕様「P」が293万2600円、スタンダード「G」は239万8000円。サクラと同じく、上級「P」には、上級アイテムが標準装備となるが、「P」であっても、プロパイロットの三菱版、マイパイロットはメーカーオプション扱いとなる(マルチアラウンドモニターなどを含めた16万5000円のセットパッケージ)。

「アダプティブクルーズコントロールやレーンキープアシストなどの先進運転支援は不要」というのであれば、サクラとeKクロスEVの車両価格はほぼ同等なので、デザインで選んでよいと思う。だが、上位グレード同士をよくよく比べてみると、サクラの方が割安だ。上位グレードとなると、おそらく既に300万円を超えの見積もり金額となっているはずなので、軽BEVにいずこまで出せるのかはよく考えたほうがいいだろう。

 2022年の政府補助金額はどちらも55万円。自治体によってはさらに補助金が加わる。最大の補助金を用意しているのは東京都で45万円(※再エネ電力設備導入だと60万円)だ。神奈川県は上限20万円と発表していたが、申し込み多数のため、6月1日時点で受付終了となってしまっている。追加予算が用意されるかは現時点不明だが、国と自治体の補助金は、「早い者勝ち」だということは知っておきたい。

 軽のBEVに関しては今後、スズキやダイハツ、そしてホンダといった他の軽メーカーも追従してくることが予想される。駆動用バッテリーを低い位置にレイアウトすることよる低重心化は、背高軽ワゴンのデメリットを打ち消すことができるため。大人気ジャンルの軽スーパーハイトワゴンでも、BEVが登場するだろう。

 しかし、新世代の軽BEVの第一人者として、このサクラ/eKクロスEVが大活躍してくれることは間違いない。航続距離の長い高額なBEVはおすすめできないが、サクラ/eKクロスEVならばアリだと思う。2022年度は国産BEVが大豊作の年であり、補助金は年度末には枯渇することも予想される。欲しい方は今がチャンスだ。

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