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愛車の長持ちの理由はメンテナンスパック加入!? 気になるコストは良し? それとも?

 メンテナンスパックは、ディーラーで新車・中古車を購入するときや、車検を受ける際に加入を勧められる。現在加入して定期メンテナンスを受けているという方も多いのではないだろうか。

 本稿では、メンテナンスパックが本当にお得なのかを考える。また、なぜディーラーがこれほどまでに強くメンテナンスパックを勧めるのか、その裏に隠された意味を解き明かしていこう。

文/佐々木亘
アイキャッチ写真/©Shutter2U – stock.adobe.com
写真/Adobe Stock

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ディーラーからカー用品店まで? 広がりを見せるメンテナンスパック

クルマの維持管理をディーラーに任せることができるメンテナンスパック。ディーラーで同じ整備や部品交換を都度支払うよりも安上がりになることが多い(Dusko – stock.adobe.com)

 現在、日本で営業を行っているディーラーでは、導入していない会社を探す方が難しいほど普及したメンテナンスパック。そのお店で同じ内容の点検・整備・消耗部品交換を都度払いで行うよりも、メンテナンスパックに加入したほうが、2万円~3万円ほど整備代金が安く済むことが多い。

 メンテナンスパックのセット内容は、車両状態に合わせた点検と、その時期に推奨される消耗部品の交換が組み合わされたものだ。

 6・18(30)カ月目の各点検では、エンジンオイル交換とディーラー推奨の整備が行われる。12カ月・24カ月目の点検は法定点検となり、エンジンオイル交換に加えて、オイルフィルター・ワイパーゴム・エアコンフィルター等の消耗部品を交換することが多い(交換部品に関しては、各社のサービス内容によって異なる)。

 メンテパックは、ディーラーのみならず、カー用品店やタイヤショップなどへも広がりを見せている。各分野の特色を出したサービス(ガラス撥水サービス、タイヤ交換サービス、アライメント点検サービス等)を加え、ディーラーよりも魅力ある商品になっているケースもあるだろう。

 基本的にメンテナンスパックは前金制だ。申込時に、メンテナンスにかかる全費用を支払うため、実際にメンテナンスを行う際には、都度支払いをする必要がなくなる。

 また、前払いで加入したメンテナンスパックを利用しなくなった(転居などで点検を受けられなくなった)場合は、返金対応をしてくれるディーラーも多い(カー用品店等のメンテナンスパックに関しては、使わなかった分を返金対応するケースは少ない)。クルマの点検サイクルをしっかりと作ることができ、費用の面でもメリットがある。整備はディーラーにお任せしたいというユーザーは、是非加入して欲しいサービスだ。

メンテナンスパックは、本当にお得なサービスなのか

 前述のとおり、ディーラーで都度支払いをし、同じメンテナンス内容を受けるのならば、支払額が数万円安くなり、確実にお得になるのがメンテナンスパックだ。しかし、クルマの整備を行うのは、ディーラーだけではないところに注目しなければ、本当にお得かはわからない。

 例えば「車検」を受けるとすれば、ユーザーの選択肢は、ディーラー、車検専門店、ガソリンスタンド、整備工場などさまざまだ。税金や印紙代などの法定費用は、各社で共通だが、整備料金については、設定額に幅がある。ガソリンスタンドや車検専門店の価格が安く、ディーラーは最も高いというのが通例だろう。その差は約2万円以上になることもある。

 基本的にはクルマを買うか、車検を受けるか、どちらかの契約を行わなければ、加入できないのがメンテナンスパックだ。ディーラーでの整備料金をお得にすることはできるが、クルマの整備という観点だけで考えれば、さらに安く整備や部品交換を行う術は、いくらでもあるだろう。

 ユーザー自らが点検時期を把握し、適切なタイミングで適切な部品交換を行える(お店へ依頼できる)というなら、ディーラーのメンテナンスパックは割高で不要なものとも考えられる。

 現実として、自動車メンテナンスの最安値がメンテナンスパックかといわれれば、それはNOだ。カー用品店やガソリンスタンドなどでの都度払いの方が、確実に安い。しかし、ユーザーのお金、時間、手間などを総合的に考えると、メンテナンスパックへ加入するのは充分に価値のある事だと思う。車両管理の手間をどう見るかが、加入・非加入の分かれ道になるはずだ。

ノルマがある? メンテナンスパックを強く勧めるディーラーの裏側

 ディーラーが、メンテナンスパックに対して、どの程度のノルマを設けているかは、販社によって異なる。営業マン個人に何件という数字を課すところもあれば、お店で加入率を何%以上にするといった目標を設定しているもあるだろう。

 メンテナンスパックに関しても成績を上げることがディーラーには求められているわけだ。すべからく、新車の見積書や車検の見積書にはメンテナンスパックの料金を入れ、提案している。

 いっぽうで、ディーラーがサービス(整備)で利益を上げるなら、メンテナンスパックは廃止して、都度支払いをしてもらうほうが良い。お店によっては赤字ギリギリで設定されていることも多いメンテナンスパック。これがサービス利益に貢献しているとは、必ずしも言い切れない。

 しかしながら、メンテナンスパックへ加入してもらえば、顧客の来店機会が増える。料金は前払いしてあるので、誘致の電話では面倒な料金の説明をすることもなく、「点検の時期です、いつ頃がご希望ですか」と、連絡すれば事足りるわけだ。しっかりと半年刻みで来店してくれるユーザーに対して、点検の待ち時間を使い、濃厚な接触を出来る方が、その後に大きな利益を生み出すことが多くなる。

 試乗や査定、新型車の紹介など、接触機会が増えるほど、提案できることは多い。さらに、来店回数が増えれば増えるほど、そのお店でお金を使ってくれる可能性は高まっていく。メンテナンスパックは、複合的に「売り」の活動が出来るようにするための、ディーラー戦略の一つといえるだろう。

 筆者個人としては、ディーラーのメンテナンスパックへ、加入をおすすめしたい。営業マン時代、加入・非加入それぞれのクルマを見てきたが、明らかにメンテナンスパックへ加入し、定期的にメンテナンスを受けているクルマの方が長持ちだった。数千円から数万円をケチったことで、数十万から数百万の損出を生んだケースを数多く見ている。

 解約・返金などの仕組みも改良され、ディーラーをメインで使うユーザーにとって、有利な制度であることは間違いない。クルマの健康維持のため、メンテナンスパックを活用して欲しい。

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