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「弁正どの……」ふと宦官特有の体臭を感じ、仲麻呂は言葉もなく弁正のやせ細った体を見つめた。「そうしてご覧の通りの有り様だ。わしはこのあたりで降りるからさっさと有り金を出せ」弁正は薄い唇を引きつらせて凄惨な笑みを浮かべ、仲麻呂から銭の袋を引ったくると足を引きずりながら人混みの中にま…