<p>MT車は絶滅するしかないのか…?MT独自の長所と短所 – 自動車情報誌「ベストカー」</p><p>坂道発進や渋滞などでは苦労することもあるMT車だが、その苦労こそ「操る楽しみ」とも言える。しかし、昨今当たり前となってきた先進運転支援技術とは相性が悪い。MT車の長所と短所を改めて確認し、MT車は絶滅するしかないのか、考察しよう。</p><p>坂道発進や渋滞などでは苦労することもあるMT車だが、その苦労こそ「操る楽しみ」とも言える。しかし、昨今当たり前となってきた先進運転支援技術とは相性が悪い。MT車の長所と短所を改めて確認し、MT車は絶滅するしかないのか、考察しよう。</p><p>スイフト、スイフトスポーツ、ジムニー、ジムニーシエラ、エブリィ、キャリー、スーパーキャリー マツダはCX-8を除いた乗用車全車と商用車に設定しているが、そのほかは概ね、趣味性の高いスポーツカー系か乗用車のスポーティグレード系、そして、軽トラックやバン、といった商用車系、もしくはコスト重視のモデルにMTが多く設定されていることがわかる。国内での新車販売台数におけるMT車の割合は1%程度ではあるが、いまもこれだけのモデルにMTは設定されている。しかしながらMTの行く末は決して明るくない。 いよいよGRスープラに6速のマニュアルミッション仕様が登場することとなった。発表は2022年4月末、発売開始は今秋の予定だ 趣味性の高いモデルでMTを選ぶユーザーには、レースや走行会に参加するためにMTが必要な方のほか、単にMTの操作を楽しみたいから、という人もいるだろう。一般道の空いている道で矢継ぎ早にシフトアップして加速してみたり、ワインディングでヒールアンドトゥの練習をしてみたりと、困難な状況であるほど、MTの操作は楽しい。 AT車のパドルシフトでも、変速をする楽しみはもちろんあるのだが、クラッチ操作からシフトチェンジを行ってクラッチを繋ぐといった、一連の動作が「ピタリ」と決まる楽しみは、AT車では味わえない、MT車の強みだ。 また、高い耐久性と低燃費、そして低コストが求められる軽商用車にとっても、MTモデルは必要な存在。例えば、ダイハツハイゼット、スズキキャリーなどは、MTの方が8~10万円ほど安く、また燃費もMTの方が1km/Lもいい。新車で税込100万円を切るような軽バン/軽トラの場合、この価格差は大きい。MT車の燃費に肉薄し、価格の安いコスパに優れたAT車が登場してこない限り、軽商用車のMT車は、このまま生き残るだろう。 その反面、「停止」を伴う先進運転支援技術には、現在のところ対応できていない。自動でクラッチを切ることができないMT車は、アダプティブクルーズコントロール(ACC)で車速ゼロまで追従できないことは、致命的な弱点だ。おおよそ車速30km/hを下回るとACCがカットされ、後はドライバーにゆだねられることが多い。なお緊急時の自動ブレーキは有効で、エンストを伴うが、車速を強制的に「ゼロ」に落とし、「クルマを止める」ことは可能だ。 また、最近になって搭載車が増えてきた、ドライバーが体調不良で意識を失ったときの緊急時運転サポート(ハザードを点灯させながらクルマを安全な位置まで自動運転して停車するシステム)なども、MT車では対応できていない。 MT車のクラッチを自動で切る装置も「やろうと思えばできる」技術はあるはず。ただ、それらを必要としている顧客がどれほどいるのか、そうしたMT車を買ってくれるかは、まったく保証されない。メーカー側としては、コストをかけてアイテムを追加したとしても先行き不透明ならば、商品化の判断ができない状況なのだろう。</p>