<p>北陸 まもなく大雨の季節到来 梅雨入りの速報発表の有無にかかわらず万全な備えを(気象予報士 河原 毅)</p><p>【北陸 まもなく大雨の季節到来 梅雨入りの速報発表の有無にかかわらず万全な備えを】 季節現象はある日を境に劇的には変わりません。北陸の梅雨入り平年日は6月11日ごろ..</p><p>季節現象はある日を境に劇的には変わりません。北陸の梅雨入り平年日は6月11日ごろ。これから台風シーズンが終わるごろにかけて大雨への備えを万全にしてください。</p><p>梅雨入りや梅雨明けの発表は、気象庁が現在までの天候経過と1週間先までの見通しをもとに、気象情報の一種の「梅雨の時期に関する気象情報」として速報的に発表するものです。近年は大雨による豪雨災害が多発しており、速報の発表は本格的な大雨の季節到来を改めて広く周知し、防災や減災行動につなげる目的があります。 「梅雨入り=梅雨前線に伴う降水が始まる」という定義ではありません。 実際の降水現象は、梅雨の期間であっても低気圧や気圧の谷、台風や熱帯低気圧、寒冷前線や温暖前線、上空の寒気に伴う不安定性の降水現象など様々あり、複合的要因で降水がもたらされるケースが多くあります。このため、梅雨前線に伴う降水域が該当エリアにかからなくても梅雨入りの速報が発表されるケースはあります。 9月には春から夏にかけての天候経過を改めて振り返り、梅雨入りと明けの時季を確定させる作業を行い、これを「確定値」として発表しています。 近年の北陸地方では2008年や2012年、2013年、2015年のように、9月の確定値発表時に「実はあの時まだ梅雨は明けていなかった」という事例が複数確認されています。そこには自然の一部である人間が予報段階で自然現象に線引きをする難しさがあります。 梅雨入りや梅雨明けの判断を難しくする北陸としてのもう一つの要因 気象の分野では、福井・石川・富山・新潟の4県は北陸地方として同一のエリアで扱われています。また、時には福井・石川・富山を北陸西部、新潟を北陸東部と敢えて使い分ける場合もあります。 季節の歩みは、人間が線引きした地方単位で都合良く進むとは限りません。 日本地図を俯瞰すると、福井県の特に嶺南はほとんど近畿(関西)、新潟県の下越はほとんど東北と言っても過言ではない地理的な立地となっています。このため、時には難しい判断を迫られる局面があることが予想されます。もし仮に県別に梅雨入りや明けを検討する場合には、福井と新潟で異なる日付になることもありそうですが、ここで、梅雨入り速報発表の目的の第一義は、あくまでも大雨の季節に入ることへの注意喚起です。 季節は行きつ戻りつ、ゆっくりですが確実に進んでいきます。日付だけで独り歩きしないことが重要と思われます。</p>