韓国統計庁が発表した4月の産業活動動向は、生産が前月比0・7%減、消費を示す小売り販売が同0・2%減、企業の設備投資が同7・5%減だった。朝鮮日報(日本語電子版)によれば、生産、投資、消費がいずれもマイナスになったのは、コロナ禍当初の2020年2月以来という。統計庁は「景気改善の流れがもたついている」と、焦りを募らせる。
米国の利上げに加え、ロシアによるウクライナ侵攻の影響もあって原油や食品価格も上昇するなか、インフレも大きな懸念材料だ。
韓国銀行(中央銀行)は今年のインフレ予想を3・1%から4・5%に修正した。政策金利を立て続けに引き上げ、13年ぶりの高水準である年1・75%となったが、物価抑制効果は限定的だ。
愛知淑徳大ビジネス学部の真田幸光教授は「景気後退は世界的な問題だが、韓国は1970年代にも急速なインフレを経験しており、危機感が強いのではないか。韓国経済は基礎的な体力が日本に比べると相対的には弱いだけに政権当局者の危機意識は強く、政権の不安定化にもつながりかねない。尹政権は文在寅(ムン・ジェイン)前政権よりもはるかにこうした厳しさを理解しているだろう」と分析する。
欧州連合(EU)は、ロシア産原油の約9割について年内にも禁輸すると決めたことで、5月31日のニューヨーク原油市場では、原油の先物価格が一時、およそ2カ月半ぶりに1バレル=119ドル台まで上昇した。韓国メディアでは「油類価格ショック」「韓国のインフレに追い打ち」と危機感を漂わせる。
中国に依存する経済構造も問題だ。韓国の経済団体、全国経済人連合会は30日、主要な輸入品目の228のうち172が中国産で75・5%を占めたと発表した。電気製品、鉄鋼、非鉄金属など産業用原材料が主な輸入品だという。上海などのロックダウン(都市封鎖)が長期化したことで中国経済は減速が目立つ。
「チャイナリスク」の分散策として尹政権は「米国シフト」の動きを見せている。5月に訪韓したジョー・バイデン米大統領は、サムスンの半導体工場を視察した。韓国側は現代自動車グループの巨額な対米追加投資や、米国提唱の「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」への参加などを表明した。
ただ、IPEFについて中国の王毅国務委員兼外相は「経済を政治問題化し、武器とし、イデオロギー化しようと試みている」と批判しており、韓国外交部は「IPEFが中国に対する牽制(けんせい)だという見方に同意しない」と中国の機嫌を損ねないように必死の様子だ。
前出の真田氏は「尹政権がこのまま米国側に傾斜するのであれば、中国の対韓圧力は増すであろう。そうした中、韓国が得意とし、自国では曖昧外交と呼んでいる『後出し外交』をどれだけ巧みにできるかにかかってくるのではないか」と指摘した。
引用元: ・韓国経済“ボロボロ” 中露ショックで生産、投資、消費が総崩れ インフレも大きな懸念材料に [6/8] [昆虫図鑑★]
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