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<p>獣害を転じて福となす元気な過疎の町 ~島根県 美郷町~ | NHK | WEB特集</p><p>獣害対策をきっかけに新たなビジネスが立ち上がり、若者の雇用や移住などを実現した町があります。 島根県 美郷町。 中国山地の山間にあるこの町で、一体どんなことが行われているのでしょうか。</p><p>【NHK】イノシシやシカなどによる農作物被害は2020年度で約161億円。全国で深刻な被害が出ています。ところが、獣害対策をきっか…</p><p>さらに、銃を使って獲物をしとめる猟友会が「獣害対策の主役」で、猟友会のハンターたちは、冬に脂ののったおいしいイノシシをしとめたいと考えていました。 一方、農家は農作物が実る夏を中心に春から秋にかけて「駆除」をしてほしいと考えていて、両者にはミスマッチが起きていたのです。 獣害担当の安田さんによれば、一部のハンターが「冬に俺たちがとる獲物を奪うつもりか」と詰め寄ってきたり、夏場にふさふさの冬毛の尻尾を役場に提出し、駆除の補助金を申請(冬の狩猟には駆除の補助金は出ない)したりする事例まであったといいます。 こうしたこともあって、「猟友会」に頼りがちだった獣害対策を、農民などがみずからワナを仕掛けて捕獲する体制に改めたのです。 高齢女性でも参加できる「住民が主役の獣害対策」が生まれ、現在では100人以上がワナの狩猟免許を取得、町内400か所以上にワナが設置されています。 年によって違いがあるものの、年間400~800頭前後のイノシシが捕獲されています。 島根県 美郷町 美郷バレー課 安田亮 課長 「現在でもほとんど捕獲は猟友会さんにお願いしている自治体が多い。しかし、美郷町の場合、まず農家さんに免許を取っていただいて、自分の畑は自分たちで守る。これが、被害対策における捕獲であって、狩猟とはちょっと違うんですよという線引きをさせてもらいました」 山の10頭より里の1頭 野生動物の行動学の第一人者、麻布大学の江口祐輔教授によれば、人里から離れた山に生息しているイノシシと、田畑を荒らすイノシシは、生息しているエリアが異なっていることが、近年の研究で明らかになっているといいます。 山からやってきて田畑を荒らすのではなく、農作物の味を覚えた一部の個体が、里山周辺にすみつき、くり返し被害を発生させているのです。 つまり、どれだけイノシシを減らすかではなく、被害を発生させている「加害個体」を捕獲・駆除することが、対策では重要だというのです。 麻布大学 生命・環境科学部 江口祐輔 教授 「全国的に、野生動物が駆除で減ってしまえば被害も減るという考え方で、どんどん捕獲して数を減らそうという方向で進んでいます。しかし、この20年間、思うように被害は減っていません。山の10頭より、里の1頭。動物の行動や心理をちゃんと理解すれば、人と動物の共存は可能なのです」 加害個体を的確に駆除するのに、被害の当事者である住民中心の体制はとても効率的だったのです。</p>