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 ビジネス書を読むと、欧米と日本の文化の違いについて考えさせられる。例えば有名なP.ドラッカーの「マネジメント」には、管理職(マネージャー)について、インテグリティ(真摯さ、誠実さ)のない人物を選んではならない、とある。そして、真摯さは大人になってからでは身に付かない資質である、としている▼ドラッカーは真摯さのない人の特長を挙げている。「人の強みより、弱みに目を向ける者」「何が正しいかより、誰が正しいかに関心を持つ者」「真摯さより、頭のよさを重視する者」「部下に脅威を感じる者」「自らの仕事に高い基準を設定しない者」がそうだ。そういう人をマネージャーに選ぶと人材や組織を損ない、業績を低下させると断言している▼この話は、とても感銘を受ける反面、不安でもある。インテグリティとは、自らが正しいと信じることを曲げない信念、というような意味が語源にある。どんなプレッシャーや迫害を受けても、自分の信念は正しいと貫き通す強さ、とでも言うべきか、なにやら宗教の信者の信仰心のような響きがあり息苦しい。▼一方、日本語の真摯さや誠実さは少し違う。正しくないと思うこと、悪いと知っていることをしない、という態度に近い。振り返ると、それも大変難しいのであるが、柔軟性を感じるのは気のせいだろうか。(22・6・7)

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