ソニーで10年間にわたって、社長や会長兼最高経営責任者(CEO)を務めた出井伸之氏が2日、肝不全のために死去していたことが分かった。84歳だった。7日、ソニーグループが発表した。発表によると、葬儀は近親者で済ませており、後日「偲ぶ会」を開催する予定。
出井氏は早稲田大学政治経済学部卒業後の1960年、ソニーに入社。音響事業本部オーディオ事業部長、ホームビデオ事業本部長、広告宣伝本部長、クリエイティブ・コミュニケーション部門長などを経て、1995年にソニーの第6代社長に就任した。1998年にはCEOに就任し、2000年から2005年までは会長兼CEOを務めた。
現在はソニーグループの主力事業に成長した映画、音楽事業を拡大させ、インターネットバンキングにも参入するなど事業の多角化を進めた。その一方、会長兼CEO在任中の2003年4月には、ソニー株の大暴落に端を発した日本の株式市場の低迷、いわゆる「ソニー・ショック」が起こっている。
松田公太氏「落ち着いたらまた…、とても残念です」
出井氏の訃報に際して、ツイッターでは生前、出井氏と交流があった人を中心にさまざまな人から追悼コメントが寄せられていた。
慶應義塾大学教授で、Zホールディングス・シニアストラテジストの安宅和人氏はツイッターで出井氏への感謝の言葉を綴っていた。
出井さん、、本当に本当にお世話になりました。ただひたすら感謝です。心からの哀悼の意を込めて。RIP
出井さん、、本当に本当にお世話になりました。ただひたすら感謝です。心からの哀悼の意を込めて。RIP
ソニー元社長・出井伸之さん死去#Yahooニュースhttps://t.co/kbqdxF93lo
— Kaz Ataka / 安宅和人 (@kaz_ataka) June 7, 2022
脳科学者で作家の茂木健一郎氏は「その温かく知性にあふれたお人柄、ずっと胸にあります」と、出井氏の人柄を偲んでいた。
出井伸之さんのご逝去の知らせに驚き、また悲しい思いです。最後にお目にかかったのは二、三年前で、とてもお元気だったのですが。Qualiaの立ち上げの際など、ほんとうにお世話になりました。その温かく知性にあふれたお人柄、ずっと胸にあります。心からご冥福をお祈りいたします。
出井伸之さんのご逝去の知らせに驚き、また悲しい思いです。最後にお目にかかったのは二、三年前で、とてもお元気だったのですが。Qualiaの立ち上げの際など、ほんとうにお世話になりました。その温かく知性にあふれたお人柄、ずっと胸にあります。心からご冥福をお祈りいたします。
— 茂木健一郎 (@kenichiromogi) June 7, 2022
実業家で元参院議員の松田公太氏は次のようにツイートし、哀悼の意を表していた。
最後にお会いしたのがコロナ感染拡大前で、落ち着いたらまた経営のことや日本のことを色々とお話ししたいと思っていました。とても残念です。ご冥福をお祈り致します。
最後にお会いしたのがコロナ感染拡大前で、落ち着いたらまた経営のことや日本のことを色々とお話ししたいと思っていました。
とても残念です。
ご冥福をお祈り致します。ソニー元会長の出井伸之さん死去 84歳 政府のIT戦略座長も(毎日新聞) https://t.co/nxniXyqU83
— 松田公太 (@matsudakouta) June 7, 2022
また、出井氏は、スタートアップ支援にも熱心なことで知られていた。今年4月に刊行された著書「人生の経営」(小学館新書)には、ソニー退社後に創業した「クオンタムリープ」を通して、「若い世代との交流が増え、これまで僕が関わってきたベンチャー企業は100社を超えました」と記されている。
日本発のパブリックブロックチェーン「Astar Network」を運営する、ステイクテクノロジーズCEOの渡辺創太氏もその一人だったようだ。渡辺氏は出井氏の逝去に、ツイッターで追悼の言葉を送っていた。
出井さんはAstar (当時はPlasm)のメンバーが3人だった時に、僕らに投資をしてくれた恩人だった。「日本じゃなくて最初から世界でプラットフォームを作りなさい」と背中を押してくれた大先輩でした。世界でSONYレベルの結果を出すことで恩返ししたい。ご冥福をお祈りします。
出井さんはAstar (当時はPlasm)のメンバーが3人だった時に、僕らに投資をしてくれた恩人だった。「日本じゃなくて最初から世界でプラットフォームを作りなさい」と背中を押してくれた大先輩でした。世界でSONYレベルの結果を出すことで恩返ししたい。ご冥福をお祈りします。https://t.co/wsZ2mTYYae
— 渡辺創太 Astar Network (@Sota_Web3) June 7, 2022
著書で明かしていた“生涯現役”
出井氏は、前出の新刊著書で、「リタイアするつもりはないと」し、生涯現役を強調していた。
最近、「還暦からの生き方」や「老後の心構え」を説く本が多いようです。リタイア後の余生をどう過ごしていくか、それはそれで大きな問題だとは思いますが、僕の関心はそこにはありません。まだまだリタイアするつもりがないからです。僕は84歳になりましたが、いまだに現役ビジネスマンです。
さらに、キャリアを重ねてからの新たなチャレンジをためらうサラリーマンに対して、次のようなアドバイスを送っていた。
年を取ってからチャレンジなどできるのか、それは経営者だからできることじゃないか、と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。あなたが、ある仕事のノウハウを身につけ、しっかり会社に貢献してきたサラリーマンであれば、これまで培ってきたキャリアはとても大きな価値を持っています