Ford F-150 Lightning
伝統の工場にEV製造専用施設を開設
F-150 ライトニングは、フォードにとって初の電動フルサイズピックアップであり、現在のラインナップ中でも最重要車種に位置付けている。そして今回、設立100周年を迎えた歴史的なルージュ工場において、本格的な製造が開始された。フォードはルージュ工場の敷地内に、EV専用製造施設「ルージュ・エレクトリック・ビークルセンター(Rouge Electric Vehicle Center)」を設立しており、全米市場に向けたF-150 ライトニングが生産されることになる。
フォード Fシリーズは、45年連続でアメリカにおけるベストセラーピックアップトラックであり、2020年の調査によると、アメリカの全消費財の中で「iPhone」に次ぐ売上高を記録。フォード・モーターの代表取締役会長を務めるビル・フォードは、F-150 ライトニングについて次のようにコメントした。
「私たちはルージュ・エレクトリック・ビークルセンターにおいて、21世紀におけるT型フォード製造の瞬間を祝っています。ここ、ルージュ工場はフォードが移動式組立ラインを初めて完成させた場所です。再び歴史を作るのにふさわしい背景を持っていると言えるでしょう。F-150 ライトニングへの圧倒的な期待感は、フォードのエンジニアやデザイナー、そして誇りを持ってこれらのトラックを製造しているチームメンバーの功績です」
2023年には年間15万台にまで増産を計画
F-150 ライトニングの予約はすでに20万台に達しており、フォードは総額9億5000万ドルを投資し、ルージュ・エレクトリック・ビークルセンターを拡張。2023年には年間15万台にまで増産する予定を立てている。この大規模な拡張計画により、ルージュ工場では750名もの新たな雇用が創出された
ルージュ工場を含めた、フォードのミシガン州への投資は、F-150ライトニング関連だけでも10億ドル以上に達している。さらに、F-150 ライトニングに搭載されるモーターと電動トランスアクスルを組み立てる「ヴァンダイク・エレクトリック・パワートレインセンター(Van Dyke Electric Powertrain Center)」、バッテリーを製造する「ローソンビル・コンポーネンツ工場(Rawsonville Components Plant)」など、州内5つの製造拠点において、合計1700名が新たに雇用される予定だ。
「アメリカにおける電気自動車時代への真の移行は今始まります。 F-150 ライトニングは、デジタル・EVにおける成長とリーダーシップを目指す私たちの野望の出発点に過ぎません。私たちは全米で電気自動車の製造拠点を拡大し続けており、これにより、EVラインナップへの増え続ける需要に応えることができるようになります」と、ビル・フォードは付け加えた。
フォードは、2026年までに年間200万台以上のEVを製造する計画を持っており、これは同社の世界販売台数の約3分の1に相当。2030年までに、この割合は50%にまで達する予定だ。
フォードに関心のなかった層を惹きつけたF-150 ライトニング
F-150 ライトニングは、前後アクスルに電動モーターを搭載。標準モデルが最高出力426hp、上位モデルが最高出力563hp、最大トルクはどちらのモデルも約1050Nmを発揮する。0-100km/k加速は上位モデルが4秒台を記録。新世代のリチウムイオンバッテリーを採用し、最大航続距離は標準モデルが370km、上位モデルが480kmを実現している。
フォードは、F-150ライトニングのオーナーに対し、13万マイルの指定高速道路区間におけるハンズフリー走行サービスをオプションで提供(米国とカナダのみ)。また、無線ソフトウェアアップデートシステム「フォード・パワー・アップス(Ford Power-Ups)」により、ソフトウェアが常にアップデートされ最新の状態に保たれる。
家庭用充電システムとしては、80アンペアの「コネクテッド・チャージ・ステーション・プロ(Connected Charge Station Pro)」を展開。これにより、家庭用のAC電源でフル充電が可能になった。また、太陽光発電システムと組み合わせることで、よりクリーンかつ再生可能なエネルギーを自宅と車両へと供給することが可能になる。
フォードによると、F-150 ライトニングをオーダーしたカスタマーの4人のうち3人が、フォードを初めて購入しているという。