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<p>【Ubuntu日和】 【第2回】Windowsに対するUbuntuの利点</p><p>連載【第2回】Windowsに対するUbuntuの利点</p><p>第1回ではUbuntuの基本的な歴史を紹介したところで、今回はWindowsに対するUbuntuの利点を紹介しよう。</p><p>Windowsで何かしようと思ったら、一般的にはマウスを操作しGUI(Graphical User Interface)を操作することのほうが多いだろう。それが直感的かどうかはUIの作りに依存するものの、いわゆる「黒い画面に白い文字」しか表示されないCLI(Command Line Interface)に比べたら、はるかに初心者に優しい。 UbuntuもWindowsと同じく、基本的な操作であればGUIだけで完結できる。完結はできるのだが、何かUIが想定していない特別なことをしようと思ったら、CLIを使うことが多い。これは「CLIでないとできない」こともあるのだが、それ以上に「CLIのほうが楽にできる」という意味合いのほうが強い。 Ubuntuの設定も、おおよそGUIでなんとかなる 言い方を変えると「CLIの操作ができるなら大抵のことは実現できる」とも言える。たとえばアプリケーションの検索やインストールなんかは前述したようにaptコマンドだけで完了するし、他にもCapsキーにCtrlキーを割り当てたいなら、端末アプリを開いて次のコマンドを実行するだけだ。 UbuntuでCapsキーをCtrlキーに割り当てる方法 何より他人に手順を支持する場合に、コマンドの羅列で済むのがいかに便利かは、技術系の記事を読み書きする人なら理解してもらえると思う。Ubuntuを使えば使うほど、CLIの操作がいかに楽なのかが分ってくる。学習コストは高いもののそれだけの価値はあると思ってほしい。 Ubuntuの利点に対するよくある誤解 たまに「Ubuntuの利点」としてあげられることがあるものの、実はそこまででもないものも説明しておこう。 「Windowsに比べて軽量」というのは、Linuxを使う上で期待されるものの1つだ。Windows自体が「新しいPCで動かす」ことを前提にリリースしているため、「型落ちマシンをLinuxで再活用」という話はよく出てくる。 Ubuntuの場合、「最新のWindows」に比べると要求スペックはそこまで高くない。Skylake以降のそこそこのマシンなら特に問題なく動くだろう。ただし「すごく軽量か」というとそうでもない。x86の32bit CPUはもうサポートしていないし、デスクトップ版ならメモリも4GiB以上は欲しいところだ。GPUも3Dアクセラレーションが欲しい。もし古いPCでも軽量に動作するOSを求めているなら、Ubuntu以外を選ぶことをおすすめする。Ubuntuの派生だとXubuntuやLubuntuが軽量性をうたっている。x86_64非対応CPUだと最近は選択肢が少なくなってきた。DebianやArch Linux 32などをカスタマイズして使うのがいいかもしれない。 Windowsでよくある不満の1つが「リリースするたびにUIがころころ変わる」ことだという話を聞く。Ubuntuもこの点は変わらない。リリースごとにベースとなるGNOMEやUbuntu自身の変更によってUIがそれなりに変わるため、変化に対応する力が必要だ。ただしWindowsと異なり、OSやUIに対するカスタマイズ性は高いし、他の選択肢も用意されているため、気になるなら自分で変えてしまうという自由はある。 「ウィルス対策ソフトがいらない」もコメントが難しいところだ。確かにWindows向けのウィルスはUbuntuでは動かないことが多い。しかしながらもう少し広い意味での「マルウェア」と考えた場合、Linux向けのマルウェアはそれなりに存在する。よって「まったく対応しなくていい」かというとそんなことはない。悪意のあるソフトウェアが利用できるセキュリティ脆弱性は、Ubuntuにもたくさん存在するし、そもそも人間が使うという点ではWindowsと違いはない。 セキュリティ対策は必要であるものの、Ubuntuのデスクトップ版であればまずは「怪しいプログラムは実行しない」「怪しいサイトにはアクセスしない」「パスワードはきちんと長いものを設定する」といった当たり前の対応を心がけることが重要だ。そのほかの具体的な対策例は、別の機会に紹介することにしよう。 Windowsに対してUbuntuが弱い点 もちろんWindows側のUbuntuに対する利点をあげればきりがない。 まずユーザーが多い。ユーザーが多いから、日本語の情報も充実している。そして何より便利なソフトウェアや面白いゲームがたくさん存在する。最近はLibreOfficeやBlenderのようにWindowsもLinuxもサポートするツールは多いし、Microsot自身Visual Studio CodeやMicrosoft Edge、Teamsなどなど、Linux向けのGUIアプリケーションもリリースしている。さらにSteamのようにWindowsゲームがLinux上でも動くようになってきた。それでも「ちょっとしたGUIのツール」なら、Windowsのほうがまだまだ充実しているだろう。 周辺機器も基本的にWindowsやmacOSのみがサポートされている。USBやBluetoothといった標準的な接続方法やプロトコルが充実してきたおかげで「専用ドライバー」は不要になってきたし、Ubuntuでも大抵は認識するものの、それでもそのデバイス専用の設定ツールはWindows/macOSだけというのはよくある話だ。 ビジネス的には「スケープゴートがいる」のもWindowsの利点かもしれない。Windowsで何かトラブルが起きれば、とりあえず「Microsoftのせい」にしておけば溜飲は下がる。 このように真面目に考えれば考えるほど、「Ubuntuでなければいけない」理由はないように見える。しかしながらUbuntuが目指しているのは「Ubuntuでもいい」と言える世界だ。今回あげた利点はもちろん、あげられなかった利点でもいいので、何か1つでも琴線に触れるものがあれば、ぜひUbuntuも試してみてほしい。 初回から2回に渡ってUbuntuの位置づけ的な話をしたので、次からはもう少し実用的な話を始めることにしよう。</p>