道路における危険防止と、円滑な交通の流れを作るために設置される信号機。身近な存在ではあるが、近年は機能が増え、意外に知られていないこともある。
今回は矢印信号の意味や信号機が変わるタイミングをだれが決めているの感度、信号機にまつわる疑問に迫ってみよう。
文/藤田竜太、写真/Adobe Stock(トップ:xiaosan@Adobe stock)
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■矢印信号と予告信号
・赤信号なのに矢印が全方向なのはなぜ?
赤信号+右の青い矢印という信号はよく見かけるが、稀に赤信号なのに、「←」「↑」「→」の三方向に青の矢印信号が点くところがある。これは普通の「青」信号と何が違うのか?
この全方向矢印の信号が出た場合、対向車線と歩行者用の信号が「赤」になっていて、矢印が出ている側の車線のクルマは、一時停止することなく、直進右左折ができるので、流れがよくなるというメリットがある(矢印信号は車両専用の信号)。
また交通量の多い、片側二車線・三車線の道路などでは、青信号の際、平行する歩行者用信号も「青」なので、歩行者用信号が「赤」になってから、「←」「↑」「→」信号を出して、安全でスムーズな右左折ができるようにしている場所もある。
いずれにせよ、矢印信号が出ているときは、自車線以外の信号は「赤」になっているので、躊躇せずに速やかに右左折、あるいは直進するよう心がけよう。
・予告信号の意味と設置条件
信号機のある交差点の少し手前に、「予告信号」もしくは「補助信号」と看板がついた信号機を見かけたことがないだろうか。これらの「予告信号」は、文字通り「この先に信号機が設置されている」ということを知らせるための信号機。
交差点の手前がカーブや坂道、あるいは大きな建物の陰に隠れて、本信号を遠方から視認しづらいような場所に設置されている。その設置基準に関しては、法令で決まりがあるわけではないので、基本的に各地の公安委員会に設置判断は任されているのが現状だ。
そのため「予告信号」の形状には統一基準がなく、シンプルな1灯式の黄色の点滅もあれば、黄色の二灯式で、左右(上下)が交互に点灯するタイプ、さらには通常の「赤」「青」「黄」の三灯式に「予告信号」の看板が付いたものまで、都道府県ごとに違いがある。
(「予告信号」が「赤」でも、そこに停止線はないので止まるのは本信号だけでいい)
■信号の知識と道路交通法
・信号機が変わるタイミングは誰が決めているのか
待ちを走っていて「青」信号が続けば、「なんかツイているな~」と思えるし、逆にしょっちゅう「赤」信号に引っかかると、アンラッキーに思えて、「誰がこのプログラムを決めているんだろう?」という気持ちになる。専門的には、この信号機の時間間隔のことは「現示」と呼ばれる。
信号機本体は各都道府県の公安委員会によって設置され、管理は警察が行うことになっている。つまり、地元の警察が信号機の変わるタイミングを決めているということ。
ちなみに「現示」は、「サイクル」「スプリット」「オフセット」の、信号制御の三大要素で決まるそうだ(公益財団法人日本交通管理技術協会)。
サイクル:青→黄→赤の順に表示が変わるその一巡する時間のこと。50秒~140秒が基準で、交差点が大きく交通量が多いほど長く設定される
スプリット:1サイクルの時間のうち一方向に割り当てられる信号時間の配分のこと。例えば交通量の多い主要道路側が60%、交差する細い道側が40%といった具合になる
オフセット:隣接する交差点間の青信号が始まる時間にずれを持たせることで、交通量の多い道を走るクルマが、なるべく赤信号に引っかからないように走れるようにするために作られる「ずれ」
また信号機の制御には、「地点制御」、「系統制御」、「地域制御」の3つがあり、「系統制御」、「地域制御」に関しては、AIなども駆使して、より円滑な流れになるよう、制御面も日進月歩で進化している。
・渋滞で交差点に侵入し、赤信号になると違反
右左折をするために青信号で交差点内に進入し、歩行者や対向車が途切れるまで待機しているうちに、信号が赤に変わってしまったときは、そのまま進行しても道交法的に問題なく、合法だ。
しかし、渋滞などで前方が詰まっているときに、青信号だからといって交差点内に進入し、信号が変わっても交差点内で動けないままだとすると違法になる。
【道路交通法第50条】
『交通整理の行なわれている交差点に入ろうとする車両等は、その進行しようとする進路の前方の車両等の状況により、交差点(交差点内に道路標識等による停止線が設けられているときは、その停止線をこえた部分。以下この項において同じ。)に入つた場合においては当該交差点内で停止することとなり、よつて交差道路における車両等の通行の妨害となるおそれがあるときは、当該交差点に入つてはならない』
上記に反すると、「交差点等進入禁止違反」を問われ、違反点数1点、反則金6000円(普通自動車の場合)が課せられる。
■信号機も故障することがある
・信号機が壊れたら
ときどき台風など自然災害で停電になり、信号機が点かなくなることがあるが、電気が通っていたとしても信号機だって機械。何かの拍子で壊れることも想定される。そんなとき信号機はどんな表示になるのか。
じつは信号機が故障すると、「赤」と「黄」が交互に点滅するよう設計されているとのこと。信号機の寿命はおよそ19年といわれ、今各地で旧来の電球式の信号機から、LED式へ切り替わりが進んでいる。
警察庁によると、令和3年3月末現在、全国の車両用灯器は約127万灯、歩行者用灯器は約103万灯で、合計約230万灯。このうちLED式信号灯器は、約147万灯(車両用約84万灯、歩行者用約63万灯)で、信号灯器全体に占める割合は、約63.7%(車両用約66.1%、歩行者用約60.7%)だそうだ。
なお、LED式信号灯器には、下記のメリットがある。
・「疑似点灯現象の防止」電球式では西日等が当たった場合に、点灯しているように見えることがあるのに対し、LED式では、そのような現象が防止される。
・「省エネルギー効果」LED式は、電球式に比べて消費電力が6分の1程度。CO2の削減効果もある。
・「長寿命」電球式の寿命は、約半年から1年程度。LED式の寿命は、概ね6年から8年と見込まれている。
・「軽量化」電球型信号(赤青黄)の重さが約20kgなのに対し、薄くてコンパクトなLED型信号はその1/2の約10kg。
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投稿 必ず引っかかる信号のタイミングはだれが決めている? 見慣れた信号機に潜む勘違い は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。