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若者とオヤジの境目ってどこ? ドライブスタイルの今と昔

 クルマ離れが叫ばれている昨今の若者たちはドライブにも興味がないのかと思いきや、なんと、損害保険ジャパン株式会社が平成・令和世代の20~30代男女を対象に行った「世代別・ドライブデートに関する意識調査」によると、恋人と行きたいデートの1位は、「遠方のドライブデート」で、全体の6割を占めたという(2021年11月4日発表)。

 これは、ドライブは今も昔も変わらずデートの定番であり、多くの若者は「クルマはいらない」なんて思ってはいないことがわかる結果と言えるのではないだろうか? そう、若者だってできればクルマが欲しい、ドライブをしたいのだ!

 とはいえ、ドライブのスタイルはオヤジ(昭和)世代と若者世代では異なる部分もあるはずだ。そこで今回は、時代の流れとともに大きく変化したドライブスタイルの今昔を検証してみよう。読めば、オヤジ世代は若者世代のココロを、若者世代はオヤジ世代のココロをほんの少し理解できるかも。

文/入江 凱、写真/トヨタ、日産、ホンダ、写真AC、ぱくたそ、favcars.com

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クルマが主役のオヤジ世代vsクルマは移動手段の若者世代

 オヤジ世代はドライブの主役はクルマであることが多かった。特に、ドライブデートの成否は、目的地の良し悪しではなく、クルマの良し悪しに左右されるなんてことも多かった。

 これは、クルマが大きなステータスシンボルであり、女性に対する大きなアピールポイントとなっていたからだ。実際、ひと昔前はかっこいいクルマなら助手席に乗っているだけでも幸せと感じる女性が多かったのは事実で、具体的な目的地を定めずに 首都高や有名な観光道路などをただ流すだけのドライブも 珍しくはなかった。

 ところが今の若者は 、買い物やアウトドアでのレジャーといったように、ドライブはその先に定めた目的を果たすための一行程、クルマは一手段と考える傾向が強いようだ。そのため、目的も決めずに延々と運転を楽しみ、自分を助手席に座らせているだけのオトコには幻滅する……という女性は多い。

 それどころか、ドライブデートでは男性が運転しなくてはならないなんて考え方も絶滅しつつあるようで、彼女と交替で運転をしてドライブを楽しむなんてことも気にしないカップルも増えている。

デートの成否は、オリジナルカセットテープの出来にかかっていた!?

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オヤジ世代には超重要アイテムだった車載カセットデッキ。ドライブのBGMとするため、好みの曲を集めて、オリジナルのテープを必死に作ったことがある人は少なくないはずだ

 ドライブ中のBGMが大事なことは今も昔も変わらない。しかし、その楽しみ方には隔世の感を禁じ得ない……。

 オヤジ世代の車内オーディオと言えばカセットテープ。カセットテープは録音できる時間も限られていたし曲順を変更することもできないため、ムードや好みに合わせてオリジナルテープを作る作業が必要だった。

 ドライブ中の雰囲気がどうなるかは自分の用意したオリジナルテープ次第であり、オヤジ世代の男にとっては気になる相手とのドライブを想像しながらオリジナルテープを作るのは楽しくも、センスが問われる試練のひとつでもあった。

 一方、今の若者はスマホからナビにブルートゥース接続をしてストリーミングしながら好みの音楽を流すことが主流。事前準備なんかしなくてもお気に入りの曲を流せるので、ドライブデートの時でも相手の興味がない曲を延々垂れ流すような失態は犯さずにすむ。これは合理的ではあるのだろうが、ちょい味気ない気もしてしまう……。

カーナビは万能じゃない!! 地図読みに長けたオヤジはかっこいい!

 カーナビが普及する以前は目的地までのルートを知るためにドライバーはまず地図を読み、ある程度ルートを暗記することが必要だった。昔のナビは今ほど正確ではなかったこともあるし、そもそも、カーナビが標準装備されたクルマは高嶺の花だったのだ。とにかく、デート中に”道に迷う”ことは、男の沽券に関わる!! ということで、意中の相手とのドライブ前には、必死にルートを地図で予習したという人も多いのでは? もちろん、地図は必携の書!? だった。

 その一方で、クルマに地図を常備しているなんていう若者はどのくらいいるだろうか? いまやカーナビが標準装備のクルマは珍しくないうえ、社外品も性能が良く、価格も安い! ということで、地図なんて必要はないのだ。

 しかし、カーナビやスマホのナビに導かれたまま進んでいくと「えーっ!! こんな道、細すぎて通れん!!」なんて憂き目に遭うことも。また、突然「目的地周辺に着きました。おつかれさまでした。シーン」と、まだ目的地を発見していないのに、ナビが強制終了となってしまうこともある。地図読みとは無縁のドライバーにこれはツラい……。

 その点、地図派のオヤジ世代は強い! 地図読みに長けているだけにそんな時のリカバリー力は抜群。知らない道を勘を頼りに走っているうちに目的地に到着できてしまうなんてこともけっこうある。これはカーナビ頼りの若者には真似できない、オヤジドライバーの鼻高ポイントと言えるだろう。

タバコは自分を演出する小道具だったが……

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オヤジ世代のクルマには当たり前に装備されていたシガーライターと灰皿。ガソリンスタンドで吸い殻を捨ててもらうとビーズ型の芳香剤を灰皿に入れてくれたのも懐かしい

 昭和では成人男性の6割以上が喫煙者だったと言われており、タバコを吸うことがカッコイイと思われていた。そのため、ドライブ中の喫煙なんて常識。自分を演出するための小道具のひとつでもあったのだ。当然、シガーライターはタバコに火をつけるため、灰皿は灰を落とし、吸い殻を捨てる場所だった。

 一方、20代の男性の喫煙率が3割を切り、若者のタバコ離れは加速している。ということで、いまやシガーライターはスマホや電子機器の充電のためのデバイス、灰皿は小物入れになっているなんてことは珍しくない。

 ドライブ中に立ち寄ったガソリンスタンドで灰皿を渡すときれいに掃除したうえで芳香ビーズを入れて返されるなんていうのも、タバコを吸わなくなった今の若者にとっては無用のサービスだろう。

昭和レトロブームで、ドライブインが復権か!?

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オヤジ世代にとってドライブインはオアシス的存在だった。また、一般ドライバーだけでなく、トラック運転手などの長距離ドライバーにとっても憩いの場だった

 オヤジ世代の定番ドライブスポットと言えば、ドライブインとドライブインシアターだろう。ドライブインとは現在で言う「道の駅」的な存在で、定番の休憩場所だった。

 道の駅は主に自治体など公共団体が運営していることが多いが、ドライブインはあくまで民間の事業者が経営していたもので、ドライブインごとに個性があった。当たり外れも大きかったものの、ドライブ中にフラッと立ち寄った峠のドライブインで旨いご当地グルメを発見するなど、偶然性がもたらす感動を味わうことができた。

 ただし最近、昭和レトロブームに乗って、昭和レトロな雰囲気を体験したいという、オヤジ世代とは異なる理由で、数少なくなった昔ながらのドライブインを探し、訪れる若者も増えているという。

 もうひとつのドライブインシアターはクルマに乗ったまま屋外のスクリーンで映画を見ることができる施設だ。星空の下、クルマの中という2人だけの空間で映画を鑑賞できるというロマンチックなスポットとして日本でも広がった。ただし、天候左右されすぎることから一気に衰退……。しかし、コロナ禍で感染リスクの不安なく映画を楽しめるスポットとして再び注目を浴びている。

 ちなみに、若者のドライブスポットに共通する要素は非日常的な写真を撮れる“SNS映え“。ただし、最近では、映えスポット探しに疲れた若者が続出。結果、「チルい(=まったりとリラックスした様子や雰囲気のこと)」スポットを好む若者が増えてきているという。

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