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韓国軍の合同参謀本部は5日、朝鮮が同日午前9時8分頃から同43分頃の間、日本海に向けて短距離弾道ミサイル8発を発射したと発表した。日本の防衛省によると、いずれも日本の排他的経済水域(EEZ)外に落下したと推定している。このニュースを受けて、ツイッターでは「金正恩選手 8発」「金正恩選手 ホームラン」というキーワードが躍った。

北朝鮮によるミサイル発射は今年に入ってから急増している。「令和3年度版防衛白書」によると、2018年に北朝鮮が発射したミサイルは0。2019年には25発のミサイルが発射されたが2020年は8発、2021年は3月時点で2発だった。それが今年はわずか半年足らずの間で、既に29発のミサイルが発射されている。

金正恩が自民党をバックアップ!?

 

そんな中、北朝鮮によるミサイル発射が結果的に、自民党や岸田政権の後押しをしているという指摘が一部から出ている。

ツイッターなどのSNSを見る限りでは、右派からも左派からも、さらに投資家からも評判が良くないと思われる岸田政権。ところが、実際の支持率は高い。FNNが先月行った世論調査では、岸田政権の支持率は政権発足後最高の68.9%を記録。他社の世論調査でも、このところ軒並み政権発足後最高の支持率を記録している。

田村重信氏

岸田政権の支持率の高さを「ウクライナ情勢や安全保障」と指摘するのは、政治評論家で元自民党政調会調査役の田村重信氏だ。

田村氏は岸田政権、自民党の支持率の高さを出演した「松田政策研究所チャンネル」(元衆議院議員の松田学氏が主宰するYouTubeチャンネル)で次のように指摘していた。

「ウクライナ情勢が長引けば長引くほど、岸田政権に対して有利に働く。これが収束すると、今度は円安や物価高がテレビでクローズアップされる。そうすると岸田政権は厳しくなる。自民党の選挙が強い時は大体、安全保障がクローズアップされた時だ」

日本の防衛力強化「賛成」が7割超

確かに、田村氏の指摘通り、自民党の支持率は世界情勢の悪化と相関している。NNNと読売新聞の世論調査によると、菅政権末期の昨年8月の自民党の支持率は32%だった。

これが、ロシアのウクライナ侵略から初めての行われた3月の世論調査では40%、4月は41%、5月は42%、そして最新の世論調査では43%とジリジリと増えている。前出の田村氏によると、「私も長い間、自民党本部で仕事をやってきたが、政党支持率が40%を超えるのはすごいこと」なのだそうだ。

さらに、NNNと読売新聞の最新の世論調査によると、日本の防衛力強化に「賛成」だった人は72%と前回調査より8ポイントも上昇している。

そうした中、今回の北朝鮮による8発のミサイル。北朝鮮がミサイルを打てば打つほど、日本国民の安全保障への関心が高まり、結果的に自民党、岸田政権の“援護射撃”になっている。