GW外遊中の岸田首相が5日、イギリス・ロンドンの金融街シティで各国の投資家らに講演したが、発言内容が報じられると、岸田政権発足以来、下がり続けてきた株価にうんざりしている日本国内の投資家の間に波紋を巻き起こしている。
首相の講演は、肝煎りの経済政策「新しい資本主義」のコンセプトを説明し、と呼びかけるなど日本への投資を呼びかける狙いがあった。日経電子版によればスタートアップ投資振興策や、脱炭素・DXに官民で投資を拡充していく方向性をアピール材料にしたものの、
安心して日本に投資をしてほしい。インベスト・イン・キシダだ。
少額投資非課税制度(NISA)の抜本的拡充や、国民の預貯金を資産運用に誘導する新たな仕組みの創設など政策を総動員し「資産所得倍増プラン」を進めていく。
などと張り切ってキーワードを打ち出したことがツッコミの材料になってしまった。ツイッターでは
鳩山の「トラストミー」が頭に浮かんだ
検討だけで実行力ないから薄っぺらく感じる
日本人が日本に投資しないのにイギリスの投資家が日本に投資しないでしょ…
自分に投資を呼び掛けて増税・円高に持っていき相対的にポンド安にすると?
などと核心をつく書き込みが続々と書き込まれた。
このうち、米国株の投資家というアカウントは「岸田政権のやろうとしている政策を振り返ってみましょう」と投稿。「自社株買いの制限」「四半期開示の見直し」「金融所得税の強化」「株主利益を人的資本へ投入」「株主に賃上げへの理解を求める」「株主資本主義から転換」など、構想段階のものも含めて列挙する。このうち特に「自社株買いの制限」「金融所得税の強化」については、投資家に嫌われている。
岸田首相が辛いのは株価の下落トレンドだ。投資家の1人は「取り敢えず、日経株価を上げることから始めようか」と失笑する向きも。政権発足から半年余り、この間、ロシアによるウクライナ侵略戦争の影響があったとはいえ、日経平均は、政権の発足した昨年10月4日の28,444円から、3月中旬には一時24,717円にまで下落。下落幅が大きい時には「岸田ショック」とも呼ばれた。
ここにきて26000円台に回復しているものの、日経CNBCが1月に行った支持率調査では、岸田政権の投資家の支持率がわずか3%だったことも話題になった(関連記事)。
ロンドンからの速報に、ネットの投資家らの反応は冬に逆戻りしたように冷たい。目新しさもなく、投資家に突然秋波を送るあたりの「ブレ」も気になるところだ。昨年の自民党総裁選で、岸田氏とは別の候補を支持した衆院議員の1人は「あれでは普通の資本主義」と呆れた様子だった。