| このV12ヴァンテージの形状すべてには意味があるようだ |
アストンマーティンは最後の最後にスゴいクルマを出してきたな
さて、アストンマーティンはV12最後のモデルとして「V12ヴァンテージ」を333台限定にて発売していますが(これのロードスターが追加されるというウワサもある)、今回はそのV12ヴァンテージにより深く踏み込んで解説する動画を公開。
V12ヴァンテージを紹介するのはアストンマーティンのチーフクリエイティブオフィサー、マレク・ライヒマン氏で、同士によると「V12ヴァンテージは、真にドライバーにフォーカスしたクルマ」であり、その企画初期段階においてイメージしたのはル・マン24時間レースなどを走ったレーシングカー、DBR-9なのだそう。
なぜアストンマーティンはDBR-9を思い浮かべたのか?
このDBR-9はおよそ15年以上前に登場していますが、アストンマーティンがDBR-9をまっさきに思い浮かべたのは同社史上「もっとも大きなエンジンを積んだ、もっとも小さなクルマ」だったから。
たしかにV12ヴァンテージ発表時にも「現行ラインナップ中、もっとも小さな車にもっとも大きなエンジンを積んだ」いうコメントが出されているので、これはけっこう重要な要素だったのかもしれません。
そしてV12エンジンに必要なエアを取り込み、さらに冷却するためにフロントグリルは最大化されていて、これが「ドラマを生む」とも。
サイドにはエアカーテン(当然ながらちゃんと貫通している)。
フロントスプリッターは前に突き出してダウンフォースを獲得。
フロントグリル内のルーバーはバンパーと一体化するようにデザインされているようですね(グリルフレームレスはアストンマーティンの一つの特徴でもある)。
そしてフロントフード上には大きなスリットがあり、その後ろの素材はカーボンファイバー。
このスリットはもちろんエアを抜くためのもので、エンジンのキャパシティ向上による熱量の増加に対応するためにサイズアップしたラジエターの冷却を考慮したがための構造です(これまでのアストンマーティンのV12レーシングカーについても、形状は違えど同様の機能が見られる)。
アストンマーティンV12ヴァンテージには最新のエアロダイナミクスが導入
そしてアストンマーティンV12ヴァンテージには最新のエアロダイナミクスが導入され、ワイド化されたフロントフェンダー内の圧力を抜くためのエアベントも。
そしてこのエアベントはフェンダー後ろから吸い出され・・・。
ブレードの内側を伝ったエアはボディ沿いにリアへ、そしてブレードの外側を流れるエアは整流効果を担うようですね(直進安定性の向上、そしてブレード内側のエアを吸い出すベンチュリー効果を与えるのかも)。
このブレードは美しい連続性をもってリアへ。
このサイドウイングの(リアフェンダー前の)出っ張りを見ると、いかにリアフェンダーが張り出しているかがわかりますね。
V12ヴァンテージはパワーアップだけではなく軽量化についても注意が払われており、ホイールだとスポークから贅肉を削ぎ落とすなどの対応がなされているもよう。
そしてリアセクションだとこの巨大なウイング(レスオプションも選べる)によってフロントが発生したダウンフォースとのバランスを取り、安定性を向上させるとのこと。
見たところ3分割となっており、天面には微妙な窪みが設けられ、さらなるダウンフォースを発生させるように設計されています。
ステーはエアの流れを阻害しないよう最小化。
アストンマーティンのウイングエンブレムのインレイは英国国旗仕様となっています。
そしてリアディフューザーが最大化されることで排出されるエアも増加し、それによってダウンフォースも増強されることに。
テールパイプはセンター二本出しですが、最近のスーパーカーに多い「内側にリブが設けられて戦闘機のアフターバーナー風に」といったデザイン性はなく、しかしむしろ「切りっぱなし」なところに凄みを感じます。
アストンマーティンV12ヴァンテージのインテリアも「レーシングヘリテージ」を重視
そしてこのV12ヴァンテージのインテリアについても重要視されたのは「レーシングヘリテージ」。
まるでレーシングカーに乗っているかのような軽量素材に囲まれたコクピット、そして低い着座位置がひとつの特徴だといいます。
それでもエレガントさすら感じるのはさすがアストンマーティン。
そしてセンターコンソールに輝く誇らしげな「V12」バッジ。
アストンマーティンV12ヴァンテージはその6.5リッターV12ツインターボエンジンから700馬力を発生させ0−100km/hを3.4秒で駆け抜けるというパフォーマンスを発揮し、文字通りV12エンジンを積む「最後の」アストンマーティンとしてふさわしく、パッション、パワー、パフォーマンスが揃った一台でもありますね。
ただ、ひとつ残念なのは、すでに333台すべてには買い手がついており、もはや新車では入手ができないことかもしれません。
アストンマーティンが自らV12ヴァンテージについて語る動画はこちら
参照:Aston Martin
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