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基本的に”イメージ”を意識した内容となっておりますので、基礎知識の無い方への入門向きです。
じっくり学んでいきましょう!

今回は、「抵抗の基礎」についての説明です。

抵抗の用途

電気回路の基礎で抵抗は電流の流れにくさだと述べましたが、電流の流れを妨げるもの自体も抵抗と呼びます
厳密には抵抗器なのですが、省略して抵抗と呼んでいるのが現状ですね。
電気回路で使用されている抵抗は、流れる電流を調整する、電圧を分配する時定数を決定すると言った重要な役割を持っています。

抵抗の種類

実際にどんな抵抗があるのかをいくつか紹介します。

チップ抵抗器

固定抵抗器(抵抗値が一定)の1種。
非常にコンパクトなので基板設計には必須な抵抗
表面実装するデバイス(基板表面に直接はんだ付けする)なので、Surface Mount Deviceを略してSMDと呼ばれる。
縦横比が0.6mm×0.3mmのものを0603(ゼロロクゼロサン)と呼び、1005(イチマルマルゴ)、1608(イチロクマルハチ)などのサイズがある。
図1のような見た目をしていて表面にサイズが書かれている場合があるが、メーカーによってルールが異なる。
図1左のようにサイズが書かれているものもあれば、図1右のように抵抗値が書かれているものもあります。
ちなみに、図1左の0603はinch表示なのでmmに変換すると1608サイズを表していて、図1右の102は10×102[Ω]の抵抗値を表しています。

図1

inchとmmの換算方法が気になる場合は以下の記事も確認してみてください。

炭素皮膜抵抗器/金属被膜抵抗器

固定抵抗器(抵抗値が一定)の1種。
材質が炭素/金属の抵抗。
抵抗からリード線を延ばした形状をしている為、リードタイプと呼ばれる。
リードを折り曲げて基板の穴を通し、はんだ付けする。
炭素皮膜抵抗器の方が安価だが抵抗値の許容差(誤差)が大きく、一般的に±5%とされている。
金属皮膜抵抗器は一般的には許容差は±1%。±0.5%なんてものもある。
学校で簡単な回路を組む用としては炭素皮膜抵抗器が用意されている場合が多い気がする。
図2の左が炭素皮膜抵抗器、右が金属皮膜抵抗器。

図2

可変抵抗器

抵抗値を変更可能な抵抗。
ボリュームとも呼ばれる。
オーディオの音量調整の摘まみなんかがこれに当たります。
図3左のように通常の抵抗にもう1本リードが追加されていて、リードcを移動することによって抵抗値を調整しているイメージ。
例えば、リードcを左に動かせばa-c間の抵抗値が低くなり、b-c間の抵抗値が高くなる…といった具合です。
実際は、図3右のレバーのようなものを回すことにより抵抗値を調整します。

図3

半固定抵抗器

抵抗値を変更可能な抵抗。
結局は可変抵抗なわけですが、可変抵抗は変更を前提としているのに対して半固定抵抗は1度変更したらそのままの値で使用するような用途となっている
つまり、調整する回数が少ないので固定抵抗のようなものです。
直流電源を見てみれば付いていると思います。

シャント抵抗

電流測定用に回路に挿入する抵抗。
抵抗値は0.2mΩ~数mΩ程度と小さい。
※ 抵抗値が大きいと電流測定結果に影響してしまうため。

巻線抵抗

抵抗体(抵抗を持つ素材)を芯として金属線を螺旋状に巻いた抵抗。
大電力で使用可能・温度変化による抵抗値の上下が少ないという特徴を持つ。
また、螺旋状に金属を巻いたのでコイルと同じ性質を持ち、交流電流を流す場合はなおさら抵抗値が高くなる。

メタルクラッド抵抗

絶縁した上で金属製の外装を取り付けた巻線抵抗。
放熱板に取り付けることで熱を逃がせるので、大電力で用いられる。

セメント抵抗

セメントで固めた巻線抵抗。
セメントが熱や振動の影響を低減させるので、大電力で用いられる。

抵抗アレイ

複数の抵抗をワンパッケージ化した製品。

カラーコード

炭素皮膜抵抗/金属皮膜抵抗にはカラーコードと呼ばれる抵抗値と許容差を示す色の帯(バンド)があります。
帯は大体4本で構成されているので、その見方について記述します。
5本と6本のものもあるらしいのですが、私は見たことがありません。
図2に示したように4つの帯があるわけですが、左から順に第1色帯~第4色帯と呼ばれます。

第1色帯と第2色帯が数値、第3色帯が10の何乗か、第4色帯が許容差を示しています。

カラーコードは以下のようになっています。

第1色帯 第2色帯 第3色帯 第4色帯
0 0 ×100
1 1 ×101 ±1%
2 2 ×102 ±2%
3 3 ×103 ±0.05%
4 4 ×104 ±0.02%
5 5 ×105 ±0.5%
6 6 ×106 ±0.25%
7 7 ×107 ±0.1%
8 8 ×108 ±0.01%
9 9 ×109
×10-1 ±5%
×10-2 ±10%
±20%

例えば、第1色帯~第4色帯が茶茶赤金となっていたら、11×102=1100[Ω]で許容差は±5%となります

抵抗値とE系列

抵抗値は、13Ωや47Ωといった一見中途半端に感じる値のものが存在します。
これらの値は規格で定められていて、E系列と呼ばれます。
E12系・E24系・E96系などが存在します。
Eは指数のeで、E12系列なら1~10の数字を12√10(10の12乗根)で12分割したものになります。
言い替えると、対数グラフ上で等間隔になるように分割した値になっています
※ 意味がよくわからなくても特に問題無いです。

E24系列が最も一般的なので、E24系列について載せておきます。

1.0 1.1 1.2 1.3 1.5 1.6 1.8 2.0
2.2 2.4 2.7 3.0 3.3 3.6 3.9 4.3
4.7 5.1 5.6 6.2 6.8 7.5 8.2 9.1

また、E系列はコンデンサにも適用されています。

以上、抵抗の基礎についての説明でした。


【基礎から学ぶ直流回路】

◎抵抗の基礎 ~種類やカラーコードの見方
◎直列接続の考え方

◎並列接続の考え方

◎抵抗と並列に導線を繋いだ場合の電流の流れ
◎基準点による電位の変化
◎導体の電気抵抗 ~抵抗率と導電率の関係
◎キルヒホッフの法則
◎重ね合わせの理
◎テブナンの定理

◎ノートンの定理
◎テブナンの定理とノートンの定理の関係
◎ミルマンの定理
◎ブリッジ回路と平衡条件

◎ホイートストンブリッジ回路とメートルブリッジ回路
◎ブリッジ回路のΔ-Y変換
◎電圧源と電流源 ~等価電源と理想電源の違い

◎電圧源と電流源を含む回路の考え方
◎電圧源と電流源の接続方法の注意点
◎起電力と内部抵抗が等しい電圧源を複数並列に繋いだ場合の考え方
◎電力とジュールの法則
◎チップ抵抗器の定格電力と外形寸法表記
◎最大電力 ~最小定理の考え方
◎複数の電源から供給される電力の割合