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| なお、クルマが重くなるのは電動化よりも環境規制よりも「消費者が快適性を望むから」だった |

フロントシートだけ取っても、快適性を向上させるために40kgも以前より重くなっている

さて、BMWにて7シリーズのプロジェクト・マネージャーを務めたクリストフ・ファグシュランガー氏によれば「今後、BMWのクルマがもうこれ以上重くなることはない」とのこと。

その主な意図としては「重量増加を避けることができる様々な技術が実用化され、これ以上クルマを重くしなくてもよくなったという地点にようやく到達した」というもので、新型BMW i7(2640kg)、フェイスリフト版のX7(2480kg)が基本的に上限の重さである、とも述べています。

なぜクルマは重くなるのか?

そこでまずクルマがなぜ重くなるのかということですが、これには様々な要因があり、まず電動化によってバッテリー重量が嵩んでいること、そして安全性の向上、そして環境規制へ対応するための触媒の巨大化などが挙げられます。

ただ、クリストフ・ファグシュランガー氏によれば、自動車が重くなるための一番の要因は「快適性」だといい、たとえば現代の高級車のフロントシートには「マッサージ機能」「フル電動調整機能」「シートヒーターのみならずベンチレーション」が搭載されており、これによって1脚あたり40kgもの重量増加がある、とのこと。

加えてロードノイズや振動を抑えるための防音や制振にかかわるマテリアルの重量も無視できず、年々厳しくなる快適性に対する要件がクルマを重くしていると述べています。

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実際のところこれらの重量はそうとうなもので、たとえばベントレー・コンチネンタルGT(V8)は2200kgというヘビー級ですが、これを競技用にコンバートしたコンチネンタルGT3は市販車よりも950kgほど軽く、軽量化の全てがそうだとは言えないまでも、その多くが上述のような「快適装備にかかわるもの」だとも考えられます。

とくに高級車の場合は「いかに快適に過ごすことができるか」が重視され、各社ともこの方面において激しい戦いを繰り広げており、よって「効率性と環境負荷の小ささに優れる」クルマづくりをアピールする一方、現実的には重量が増加して「環境負荷の高い」クルマを作っているという矛盾も抱えているわけですね(昨今のクルマは、モデルチェンジにせよフェイスリフトにせよ、基本的に先代よりも重くなっている)。

ただし同時に軽量化技術も進歩

そしてクリストフ・ファグシュランガー氏が語る「クルマがもう重くならない」ということについて、これ以上快適性を追求しないという意味ではなく、「重くしなくても快適なクルマを作ることができるようになった」ことを意味しており、たとえば車内のロードノイズを抑える方法についても、防音や遮音のためにシートやマットを追加せず、「アクティブロードノイズキャンセリング」を搭載することで、従来モデルよりも軽く作りながらも快適性を高めることができるもよう。

そのほかの「快適性」についても現代ならではの解決法があり、「これ以上クルマを重くしなくても」よくなったというのが同氏の意図するところであるようですね。

ただ、「これ以上重くならない」というのはフラッグシップSUVの「XM」よりもあとのクルマにおいての話でもあるようで、というのもXMはi7やX7よりも重いとクリストフ・ファグシュランガー氏が認めているためであり、しかしそこから後には新しい技術が採用されると考えていいのかもしれません。

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参照:CarSales

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