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 オ~す! 元暴走王の小川だ。

 富士スピードウェイにあるトヨタ交通安全センター・モビリタに行って来た。「ちょこっとモビリタ」という約30分間先代86のATを使って滑りやすい路面を運転するプログラムを体験してきたが、最初は滑る路面に手を焼いて、ほとんど投げられた経験のない俺も隅落(すみおとし)をくらったように泡をくったぜ。華麗なドリフトを決めてやると思っていたのに、ちきしょう!

文/小川直也、編集部
写真/池之平昌信

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■クラウンを全損させた苦い思い出

 

 オレが体験したのは、「走行データ計測プログラム」といって、(1)車載映像、(2)走行データ、(3)G-Gダイアグラムの3つを使って運転のスキルを丸裸にして見せるというもの。各種データをその場で解析し、その場でインストラクターがアドバイスをくれる。時間にして約30分、料金も3300円(税込、ただし富士スピードウェイ入場料が別途必要)とリーズナブルだ。

 コースは雪道を模した1周約500mのワインディング低ミュー路をVSCオンとVSCオフで走ることができる。

 雪道といえばオレにとっての最初の愛車、30万円くらいで買ったボロボロの6代目のクラウン2ドアハードトップの思い出が痺れるぜ!

 免許取り立てだった俺は、雪道で多分路面が凍っていたんだろうな!? 交差点からガブッとアクセルを踏んだとたん、くるりんとクラウンは大スピン。感覚的には1回転半くらいして路駐していたクルマにぶつかり、ドカン、ガシャンで大破、いきなり全損にしちまった。あれ以来どうも雪道は苦手で、トラウマになっている。

 そんな臆病風を吹き飛ばすべく、レーシングスーツならぬ柔道衣、レーシンググローブの代わりに格闘技用のグローブ、そしておろしたてのレーシングシューズといういでたちで己に気合を入れた。クルマは先代86のAT後期型。まずはVSCオンのままシートレールをいっぱいに下げ、スタートした。

滑るなら滑ってみろ! いつしか小川直也は格闘家の真剣モードに変わっていった

 スピードを出せるところは出して自由に走っていいというので、感触を確かめながら、ゆっくり目に走って終了。続いてVSCオフ。センターコンソールにあるTRCオフボタンを3秒以上長押しすると、TRCもVSCも切れるといい、よし、これで86と俺の真剣勝負が始まるんだと、パンパンと顔を張って気合を入れた。

■いきなり墨落を食らったようにスピン!

 おっしゃ~、スタートしてぐいぐい加速し、左コーナーから深めの右コーナーに入った瞬間、隅落を食らったような衝撃を受けた! クルマのリアが滑り、カウンターを当てたつもりだが、スピンは止まらずシートに俺の身体がグッと押し付けられた。柔道なら、鮮やかな1本! というやつだ。そこからオレは少しムキになったのかもしれない!!

「さあ来い、滑るなら滑ろ! きっちりドリフトでいなしてやるぜ」。

 しかし、気持ちが焦るばかりで、86は右に左に暴れ、大きくコースを外れ、ヤバいと思ったらまたしてもスピン。「オーマイガー! おいおい、止まってくれ~」。ポイントをさんざん取られた挙句、またしても1本を取られたようでショックに打ちひしがれた。

まさかの隅落(すみおとし)を食らったように苦悶の表情を浮かべる

 ただ、2本取られてからのオレは少し冷静になり、ゆっくりとステアリングを切り、アクセルもじわっと踏むようにした。すると、コースオフも収まってきたが、ドリフトを決めるまでには至らず、試乗終了。

■凄腕インストラクターの的確アドバイス

 トヨタの凄腕技術養成部に所属する車両評価ドライバーのインストラクターが、先に話した(1)車載映像と(2)車速・アクセル・ブレーキ・ハンドル操作量を示したグラフ、(3)G-Gダイアグラムと呼ばれるクルマの加速、減速、右横G、左横Gの点を図形化したもの、以上3つを使って俺の運転を分析してくれる。

「最初はちょっと緊張されていたようで、操作がスムーズじゃないところもありましたが、後半はゆっくりとした操作になりよかったと思います。アクセルをじわり踏んでいらっしゃるので、加速Gのつながりがいいですね。また、ステアリングの操作もゆったりとして悪くありません。ただ、ひとつアドバイスするなら、ブレーキも少しずつゆっくりと戻すことを心掛けていただけると、より安全にスムーズに走れるようになると思います。あとは足が大きいせいでしょうか、一部アクセルに足がかかったまま、ブレーキ操作をしていらっしゃることがありました。ここは気をつけてください。」

 言葉は優しいが、俺の運転を丸裸にされた気分。リベンジを期し、特別にもう一度VSCオフで走らせてもらった。

■安全運転の奥義が少しだけわかった

 ゆっくりアクセル、ゆっくりブレーキ、そしてゆっくり戻す、左にゆっくり切ってゆっくり戻す。加速できるところはアクセル踏んで…………。そう唱えながら走ると、さっきまで滑りまくっていたのに、クルマが暴れなくなっていた。走りをインストラクターさんが解析してくれ、G-Gダイアグラムを見せてもらうと、前回よりも全体的に丸くなっていた。

VSCオフではTRCもオフになり、低ミュー路のワインディングを走るには、繊細な運転操作が必要だ

「小川さん、全体的にスピードが上がって、Gのつながりがよくなりました。特に減速Gから左右のGのつながりがすごくよくなっています!」 

 ドリフトを決めてやる! とやってきたオレは納得いかないが褒められるのは悪い気がしない。

「低ミュー路のような走りにくい道を速くスムーズに走れるようになれば、速度を落とすことで、一般道での安全性が高まります。小川さん、ぜひ何度か通ってください」と凄腕インストラクターからアドバイスされた。

凄腕インストラクターとモビリタの皆さんにはお世話になりました! オッす!

 ドリフトしたいなら、日々の精進は欠かせない。オレは毎日ブレーキをジワリと戻すイメージトレーニングを続けている。近い将来、再びちょこっとモビリタの門を叩いてやるぜ!

取材協力/モビリタ https://www.toyota.co.jp/mobilitas/

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投稿 元暴走王小川直也がくるり1回転! 86でドリフト特訓@トヨタ・モビリタ自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。