最近、大きめの地震が相次いでいる。東日本大震災から11年。大規模な自然災害はいつまた起きるかわからない、ということは、あの震災の記憶と共に心に刻み込まれている。
自治体作成の避難マニュアルなどでは、基本的に大きな揺れを感じた場合、クルマはキーを差した状態で道路の端に停め、徒歩で避難すると書いてあるものが多い。
だが、「どこで被災するか」は人それぞれ。市街地での被災と郊外での被災、避難方法は一律でいいのだろうか? 災害時のクルマとのあり方を考えてみる。
※本稿は2022年3月のものです
文/国沢光宏、写真/AdobeStock(メイン写真=takasu@AdobeStock)
初出/ベストカー2022年4月26日号「クルマの達人になる」より
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■大地震! その時、クルマはどうする?
東日本大震災から11年。
「喉元過ぎれば熱さ忘れる」の格言どおり、徐々に記憶から遠ざかっていく。
一方、新たな自然災害はいつ遭遇するかわからない。その際にクルマをどうすべきか、国や自治体、消防、警察から何のアナウンスも出ておらず。
津波から逃げるのにクルマを使えば高齢者や低い土地の人からすると心強い。けれど渋滞になると道路を占拠し、肝心の緊急自動車が動けなくなってしまう。
東日本大震災直後の東京で発生した大渋滞ときたら、もう激しかった。
共同通信の調査によれば、南海トラフ巨大地震で津波被害が想定される13県72市の約半数が、避難に自動車が必要だと考えているという。けれど避難計画でルールを示しているのは2割弱しかないそうな。
もっと言えば、避難ルートを示している2割弱の市も、市民がルートを認識しているかとなれば怪しい。東日本大震災で起きた混乱が、次の大地震でも発生するということになります。
クルマの達人としてはどうすべきだろうか?
まず最初に認識しておくべきなのが「被災した時の状況により大きく違う」という点だろう。
走行中に被災したとしよう。都市部のど真ん中なのか、海辺の道なのか、はたまた高速道路か。夜と昼でも、夏と冬でも違う。といった状況からすれば、統一見解など出せないと思う。
2つだけ重要なことを挙げるなら「自分の命を守る」ことと「クルマを障害物にして人に迷惑を掛けない」ことのバランスを取ることだと考える。
一番いいのは、日頃の行動パターンから予め決めておくことだと思う。
■国沢光宏なら何を想定し、どう行動するか?
私の場合、クルマで移動する区間の大半が都市部。被災したらとりあえず危険度を考える。
都市部で最も危険度高いのは火災。大きな火災に巻き込まれたら逃げ場がなくなります。
逆に火災の心配がなく、道路状況に問題がなければ、しばらくクルマの中で情報収集。大渋滞や通行止めに遭遇したら、路肩に寄せクルマに連絡先のメモを残し、安全な場所に移動すればよかろう。
津波の心配がある海の側に住んでいるなら、それこそ脱出ルートを入念に考えておくこと。
道路事情が悪い地域であり、地震発生から津波到来までの時間が短い地域だと、最初からクルマを諦め自分の足で逃げることを考えたい。
歩くのが厳しいという高齢者と同居しているという人は、いざという時に使えるクルマ椅子のような乗り物を準備しておくといいんじゃなかろうか。
被災する前なら、さまざまな対策を打てます。地震は予測できないが、被災した時の対策であれば存分に可能。
被災後はクルマがあると便利だ。
数日なら個別の避難所になりプライバシーを保てる。道路が開通したら脱出もできる。その際、クルマにサバイバルキットを常備しておくことを推奨したい。
ホームセンターに行けば被災キットとして販売されているし、ネットで探せばいくらでも出てくる。安いキットなら3980円くらい。
水や防寒シート、携帯トイレなど2〜3日過ごせるだけのグッズが入ってる。ぜひクルマに積んでおくこと。
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