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囮(おとり)城 十一 仁保島(にほじま)の漁村は――三浦勢の上陸により、火を噴き、黒煙を上げていた。城兵二百は、半月の前立の武士を主力とする虎の群れの如(ごと)き三浦勢を恐れたか、丘につくられた小城に固く引き籠もり出てこようとしない。その細身の城将は土塁の上に立ち、ついさっきまでののどか…