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<p>世界の物価上昇、中銀想定よりペース速い可能性-岡村IMF副専務理事</p><p>世界の物価上昇、中銀想定よりペース速い可能性-岡村IMF副専務理事</p><p>国際通貨基金(IMF)の岡村健司副専務理事は、足元のインフレは世界の中央銀行が現在想定しているよりも速いペースで進んでいる可能性があるとの見解を示した。</p><p>前財務官で昨年12月にIMF副専務理事に就任した岡村氏は、「インフレ期待が中央銀行の物価目標からかい離するリスクが高まりつつあり、より積極的な引き締めを政策当局に促している」と指摘した。インタビューは先週、書面で英語で行われた。 岡村健司IMF副専務理事 Source: IMF 米国では数十年来のインフレ高進に対処するため、今週開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)で50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利上げが有力視されている。岡村氏の見解は、他の主要中銀も、物価が居心地の良い範囲を超えて上昇し続ける可能性を今なお過小評価している可能性を示唆している。 岡村氏は「中銀は経済の実勢を把握し、必要に応じて政策を調整しなければならない」と指摘。「引き締めの際、主要中銀は明確なコミュニケーションを取り、脆弱(ぜいじゃく)な新興国や途上国へ波及するリスクに留意することが必要だ」とした。 世界が直面する諸課題に関する岡村氏のコメントの抜粋は以下の通り: 世界経済が現在直面している最大のリスクとは? 世界経済にとって最も重要な優先課題はウクライナでの戦争を終わらせることだと引き続き強調したい。この戦争はわれわれが直面する高い債務水準、食料安全保障、インフレなどの課題の多くに直接影響する。 ウクライナでの戦争が世界経済にさらなる悪影響をもたらす可能性は? 死傷者数とは別に、この戦争は地域および世界に対して、重大かつ広範な経済的影響をもたらしている。戦争は経済成長を遅らせ、インフレを高進させる。 脱グローバル化や生産拠点を国内に回帰する世界的な動きについて グローバリゼーションが経済に著しい恩恵をもたらしてきたことを認識すべきだ。特に途上国にだが、コストの引き下げや効率化の面で全ての国に恩恵をもたらしてきた。ただ、保護主義の台頭や、戦争やパンデミックでサプライチェーン(供給網)が寸断される懸念が高まる中で、その反動が起きていることは明らかだ。 われわれは世界がブロックに分断されることを懸念している。ブロック化は世界の繁栄の妨げになろう。 コロナ禍からの回復支援で各国政府の経済対策は適切か? コロナ禍の資金供給は世界経済のシステミックリスクに対処するものであり、単に特定の国の開発課題に取り組むためのものではないことを国際社会は認識する必要がある。それに応じて、パンデミックとの闘いや保健制度の強化に向けて、国内と海外の両方で追加資金を分配すべきだ。これには無償資金が今年で約150億ドル(約1兆9500億円)、来年以降は年間100億ドルが必要であろう。 原題:</p>