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XR技術を使えば、物理的に離れた場所を現実さながらに訪問することも可能です。場所の違いによる体験の障壁は、取り払われつつあります——では、時間の違いはどうでしょうか?「Asynchronous Reality(非同期の現実)」と名づけられた研究では、VRを用いて過去に起こったことを追体験する、という試みを行っています。

オブジェクトをトリガーに過去を再現

このアイディアは、スイス・チューリッヒ工科大学の研究者らが発表しました。デモ動画では「Joe」と「Anna」、2名の人物が登場。JoeはVRヘッドセットを装着し、“集中モード”に入って外界をシャットアウトしているというシチュエーションです。Annaは部屋に入ってテーブルの上に模型を置き、それについて説明します(しかしJoeは集中モードなのでまったく聞こえていません)。Annaが退室した後、作業を中断したJoeがヘッドセット越しに室内を見回すと、卓上に光るオブジェクト(=現実世界の“模型”)が。手に取ると、Annaが入室して模型を置いて説明する、という一連の「過去の出来事」が再生されるというものです。

その後再び“集中モード”に戻った際にAnnaが来室した様子も記録され、Joeがトリガーとして選ぶオブジェクトに応じて、再現されるシーンが変わる様子も確認できます。

ここではあるが、今ではない

この「Asynchronous Reality(非同期の現実)」は、複数のデプスカメラで室内を撮影することで実現しています。研究に携わったChristian Holz氏は「同じ場所にいるが、時間は違う。ここではあるが、今ではない、という状況です」と利用シーンを説明します。そして「共有する空間での出来事が、どのように起こったかを理解することができます」と、因果関係を含めて再現するという技術の特徴を語りました。

研究内容は2022年4月末から開催されたCHI human-computer interaction conferenceで発表され、6月にはHolz氏がインタビューに答えた詳細な説明動画が公開さています。

(参考)UploadVR
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