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チョイSDGsなオヤジを目指すなら、ハイブリッド車か? プラグインハイブリッド車か?

 そろそろ「SDGsなんて言ってたらクルマなんて乗れねーぜ!!」と息巻いてもいられなくなってきた昨今。いよいよエコカーのことを真剣に考えなくてはならない時代がやってきた。とはいえ、まだまだ電気自動車は最初のエコカーとしてはハードルが高いと感じる人も多いのではないだろうか?

 そうなると、ハイブリッド車かプラグインハイブリッド車の二択となる。しかし、一般ユーザーとしてはハイブリッドとプラグインハイブリッド車の違いや、どちらを選ぶことが得策なのかがイマイチわからないという人が多いのではないだろうか? 

 そこで今回は、プラグインハイブリッド車とは、どんなシステムを搭載したクルマなのか? ハイブリッド車との違いは何なのか? ちょっと混乱気味という人のために、プラグインハイブリッド車の基礎知識を解説していきたい。

文/鈴木喜生、写真/トヨタ、マツダ、三菱自動車、写真AC

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ハイブリッド車とプラグインハイブリッド車の違いは?

チョイSDGsなオヤジを目指すなら、ハイブリッド車か? プラグインハイブリッド車か?
RAV4のハイブリッドシステムよりも高出力化したフロントモーターとインバーターと大容量・高出力の新型リチウムイオンバッテリーとを組み合わせることで、システム最高出力225kWを発揮。よりスポーティな走りを楽しめるプラグインハイブリッド車として人気を博している

 ハイブリッド車とプラグインハイブリッド車の一番の違いは、外部電源から充電するためのプラグ(コンセント)の有無だ。ハイブリッド車の場合はこのプラグが付いておらず、プラグインハイブリッド車には付いている。

 ハイブリッド車の場合、そのバッテリー充電は、回生ブレーキによって走行中に行われる。 回生ブレーキとは、ブレーキをかけた時にモーターを回して発電を行い、それをバッテリーに蓄電して利用するしくみのこと。これによって従来であれば捨てていた運動エネルギーを再利用することができる。

 対してプラグインハイブリッド車の場合は、ハイブリッド車と同様に、回生ブレーキによっても充電されるが、外部電源から充電するためのプラグが付いているので、任意のタイミングでプラグから充電することが可能。つまり、電気自動車により近い仕様のクルマということだ。

 ちなみに、「PHEV」と「PHV」という、ふたつの略称があることも混乱をもたらす原因のひとつだろう。これは単に、各自動車メーカーにおける呼び名の違いでしかない。三菱自動車やホンダ、日産などでは「PHEV」(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)と呼び、トヨタではそこから「Electric」を抜いて「PHV」(Plug-in Hybrid Vehicle)と呼称している。ただそれだけの違いであり、どちらも同一のシステムを指している。

 ただし、経済産業省の広報資料、またはウェブや雑誌などの記事においては、「PHEV」を使用することが多いようだ。

プラグインハイブリッド車は、電欠の心配がない電気自動車

 ハイブリッド車とプラグインハイブリッド車の核心的な違いとしては、「プラグインハイブリッド車のほうが容量の大きなバッテリーを搭載している」ことが挙げられる。これによって、使い勝手や経済性も少々違ってくる。

 従来のハイブリッド車がガソリン燃料で動かすエンジンが主役であり、「モーター駆動もできますよ」であるのに対して、プラグインハイブリッド車は、もう少し積極的に電動パワーを活用していて、「シーンに合わせてガソリンと電気を使い分けられるように調整しますよ」という感が強いクルマと言える。

 プラグインハイブリッド車の場合、日常的な通勤や買い物など、比較的近距離への走行の場合は、自動で電気を使用するモードに切り替わり、ガソリンを消費しなくて済む。いっぽう、長距離を走行する場合には、ガソリンと電気の両方を併用するため、ガソリン燃料車やハイブリッド車よりも燃費が良くなり、電気自動車よりも航続距離が延びる。

 また、電池残量が少なくなって、近くに充電設備がない場合は、ガソリンを入れれば良いので、電気自動車のようにバッテリー残量と充電設備の位置を心配せずに済むし、出先で充電のために時間を費やす必要もない。つまり、電欠の心配をすることなしに走ることができる電気自動車と定義づけてもいいだろう。

プラグインハイブリッド車にはメリットがいっぱい!

チョイSDGsなオヤジを目指すなら、ハイブリッド車か? プラグインハイブリッド車か?
プリウスPHVは、2020年7月の仕様変更で、ソーラー充電システムを全車オプション設定。太陽光で発電した電力を駆動用バッテリーに貯めて給電することが可能となった

 昨今、日本においては地震が多発しているが、もしあなたがプラグインハイブリッド車のオーナーであれば、震災時にクルマから電源を取ることが可能となる。もちろんハイブリッド車でも不可能ではないが、プラグインハイブリッド車ほどバッテリー容量が大きくはないので、緊急時の給電のことを考えるとプラグインハイブリッド車のほうが心強い。

 また、プラグインハイブリッド車の場合は、「エコカー減税」「環境性能割」「グリーン化特例」などの税金の軽減措置だけではなく、「CEV補助金」や「充電インフラ補助金」が申請できる。

 それぞれの免税、補助金の内容を下記に紹介するが、その内容を見れば、明らかに電気自動車やプラグインハイブリッド車が優遇されていることがわかるだろう。つまり、これから新車を購入しようとする人にとっては、ガソリン車やハイブリッド車、さらには経済産業省が定める「2030年度基準」に見合わない中古車よりも、プラグインハイブリッド車、電気自動車のほうがガソリンだけでなく、税金も節約できることになる。

【エコカー減税】
 燃費の良いクルマの新車新規登録などをする時、その性能に応じて重量税が軽減される措置。ただし、ガソリン車とハイブリッド車においては、そのモデルが一定基準(2030年度基準)を超えていないと適応されない、または免税率が下がるが、電気自動車、燃料電池車、プラグインハイブリット車などにおいては、初回と2回目の車検時、重量税が100%減税される。

【環境性能割】
 「自動車の燃費性能に応じて、税金を付与する」という免税措置。つまり自家用乗用車は、車両購入時にその取得価額の0~3%が課税されるが、電気自動車、プラグインハイブリッド車、燃料電池自動車などは非課税となる。

【グリーン化特例】 
 適用期間中(2021年4月1日~20235年3月31日)に電気自動車、プラグインハイブリッド車、燃料電池自動車などの新車新規登録などを行った場合、自動車税が75%ほど軽減される。

【CEV補助金】
 2022年3月31日からは、「CEV補助金」(クリーンエネルギー自動車導入促進等補助金)の申請受付が開始された。それらの概要は以下のとおり。
●対象車種
EV(軽EV、超小型モビリティ含む)、PHV、FCV
●補助対象となる車両の登録・届出日
令和3年11月26日以降に新車新規登録(登録車)または新車新規検査届出(軽自動車)された自動車
●申請受付開始日
2022年3月31日(木)受付開始
●補助上限額
・電気自動車(軽自動車を除く):上限65万円
・軽電気自動車:上限45万円
・プラグインハイブリッド車:上限45万円
・燃料電池自動車:上限230万円
・超小型モビリティ:定額25万円(個人)

 ただし、「車載コンセント(1500W/AC100V)から電力を取り出せる給電機能がある車両」、または「外部給電器やV2H 充放電設備を経由して電力を取り出すことができる車両」に関しては、補助上限額はさらに上がる。

補助上限額 
・電気自動車(軽自動車を除く):上限85万円
・軽電気自動車:上限55万円
・プラグインハイブリッド車:上限55万円
・燃料電池自動車:上限255万円
・超小型モビリティ:定額35万円(個人)

車両本体価格だけに惑わされると損をする!

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充電スタンドはまだ十分に普及しているとは言えない状態でプラグインハイブリッド車や電気自動車にシフトするのは……と思っている人も多いだろう。しかし、プラグインハイブリッド車なら、充電スパンは電気自動車よりは長いため、充電スタンド不足への不安は軽減される

 前項ではプラグインハイブリッド車のメリットを紹介してきたが、それらをまとめると以下のようになる。

【プラグインハイブリッド車のメリット】
○燃費が良い(ガソリンの消費量を抑えることが可能)
○電気自動車よりも航続距離が長い
〇充電スタンドだけに頼らなくて良い
○災害時やアウトドアでは家電が使える外部給電機能
〇各種の免税措置や補助金サービスをフル活用できる

 しかし、プラグインハイブリッド車の最大のデメリットは、「車両価格が高い」という点にある。特に、使用頻度が低い人、一回の走行距離が短い人にとっては、車両価格が手頃なハイブリッド車のほうがお得と言える。また、ラインナップが少ないため、車種選択の幅が狭いというのもデメリットと言えるだろう。

 ただし、充電スタンドがまだ少ないエリアも多く、自宅にその設備を整えるにもコストがかかることもデメリットと言われてはいるが、これはガソリンが併用でき、回生ブレーキで発電もできるプラグインハイブリッド車においてはさほど大きなデメリットではないだろう。

 デメリットもあるとはいえ、国はすでにハイブリッド車からプラグインハイブリッド車、電気自動車推しへとシフトしつつある。つい先日も、東京都では都内で新築する戸建てやマンションには充電設備の設置を義務化することを検討しているというニュースも報じられたばかりだ。

 今後は、ハイブリッド車よりもプラグインハイブリッド車や電気自動車のほうが得なことが増えてくることは必至。ハイブリッド車か、プラグインハイブリッド車か迷ったら、車両本体価格だけで決定するのではなく、税制、環境、そして自身のライフスタイルを十分に考慮して選択してほしい。

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