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 多くのクルマは中級グレードやお買い得モデルが売れ筋となる場合がほとんど。デビューしてからしばらくは最上級グレードが人気を博す傾向にあるが、マツダのCX-5とCX-8は特別仕様車にして最高額グレードの「エクスクルーシブモード」が一番人気となっている。

 確かに内外装の装備は豪華であるが、なぜ高価格帯のグレードが支持され続けているのか!? そして新型CX-60が登場したらこの2台はどうなるのか!?

文:青山尚暉/写真:マツダ・ベストカーWEB編集部

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いまやマツダはSUVメーカー!! 悩ましいのが買い時……

かつてはプレマシーやMPVといったミニバンも存在したが、現在は市場から撤退。その受け皿となったのがCX-8

 マツダ車の人気車種は間違いなくSUV、クロスオーバーモデルである。現在の全13車種のうち6車種、つまりほぼ半数がSUV、クロスオーバーモデルであり、その中で一番売れているのがミッドサイズSUVのCX-5なのである。

 マツダがミニバンをやめ、SUVやクロスオーバーモデルに注力し、3列シートを希望するユーザーのためにCX-8を用意したこともあって、マツダ= SUV、クロスオーバーモデルメーカーというイメージはますます強くなっている(もちろん、ロードスターやマツダ2/3も人気だが)。

 そしてもうひとつ、最近のマツダ車に言えるのは、毎年のように年次改良があり、その範囲がけっこう小さくないため、「いつ買うのが正解か、分かりにくい」というものだ。ドイツ製の某スポーツカーが、「最新が最良」と言われ続けてきたが、今の最良が、来年には過去の最良になってしまうところが悩ましい……。

CX-5&CX-8は価格も立派な最上級グレードが売れ線!!

大人気ミニバンのアルファードですら中級グレードが売れ線となっており、CX-5やCX-8はまさに異常事態なのだ

 ところで、そんなマツダ車のCX-5、CX-8の売れ行きを見てみると面白いことが分かる。CX-5を例に挙げると、2017年のデビューからもう7年を経たモデルながら、最上級(上位)グレードが売れ筋なのだという。この傾向はCX-8も同様のようで、他車では新車登場当時は別にして、販売が落ち着くと買い得感の強い中間グレードが販売の主力になることがほとんどであり(例えはアルファードのS Cパッケージが好例だ)、あまり聞かない話なのである。

 CX-5のグレードを見てみると、ガソリンエンジン搭載車のベースグレードが20S スマートエディションで、2WDが276.85万円。もっとも高いのが25S エクスクルーシブモードで352.55万円。マツダ自慢のクリーンディーゼルモデルはXD スマートエディション の299.75万円。そして最上級グレードがXD エクスクルーシブモードとなり384.45万円となる。その差約85万円に達する。そしてもちろん、2021年12月のビックマイナーチェンジの際に加わった、よりアクティブなスタイルと機能を持つフィールドジャーニーも、このアウトドアブームの最中、人気急上昇中である。

 一方、見た目より遥かにリーズナブルな価格で手に入ると評判の3列シートSUVのCX-8は、全長4900×全幅1840×全高1730mm、ホイールベース2930mmのアメリカン!? サイズにして、ガソリンエンジンの25S 2WDであれば300万円を切る299.42万円から手に入る。そしてもっとも高額なCX-8はクリーンディーゼルモデルのXD エクスクルーシブモードで459.8万円。それでも格安に思えるほどの車格感、立派さ、室内空間の余裕と高級感、しっかり使える3列目席の持ち主ということになる。

巧みなグレード構成が奏功!! CX-8→5など乗り換え層も納得のデキ

CX-5から8へ、その逆も然りだが、乗り換えをするユーザーが多数存在する。CX-5は昨年のマイチェンで走行性能、あるいはアウトドアニーズに応えるグレードを追加するなど、地道な改良が魅力

 で、話を戻すと、どうしてCX-5やCX-8の人気グレードが上位、最上級グレードなのか? だが、ひとつはCXユーザーがCX-5からCX-8へのアップグレード、CX-8からCX-5へのダウンサイジングパターンの代替えが少なくないからだ。当然、CX-5からCX-8へとアップグレードするのであれば、その違いを最大限に味わえる上位グレードを希望するだろうし、CX-8からCX-5へのダウンサイジングでれば、なおさら満足感を維持するためにCX-5の上位グレードを選ぶことになる。

 次に、年々、飛躍的な高まりを見せているマツダ車の商品性の象徴が、2018年にCX-5に、2019年にCX-8に加わったエクスクルーシブモードであり、こだわりの素材やモダンと温かみを表現したデザインがもたらす上質感、上級感にマツダファンとしては目がいってしまうということだ。

 もちろん、上位グレードはエクスクルーシブモードだけではない。CX-5では昨年の商品改良の際に、エクスクルーシブモードのエクステリアの進化に加え、よりスポーティな方向に進化させたスポーツアピアランスとなどのモデルを追加。フィールドジャーニーとともに、「こんなCX-5を待っていた」と、ユーザーに大きくアピールできる上位グレードの登場が目白押しなのである。高いグレードがそのままユーザーが望むグレードではないこともあるのだが、マツダ車の場合、そこの商品力の出し方がうまい、とも言えるのである。

CX-5&8は下取りも強い! 乗り継ぎユーザーが上位グレードを選択する傾向

 そして、マツダファンの中には、同じCX-5を乗り継いでいるユーザーが少なくないらしい(決して昔のマツダ地獄ではない)。それもSUVの機能性はもちろんのこと、デザイン、質感が購入重視視点としてあり、3年目、5年目の車検の際、きっとセールス氏の持っていき方もうまいのだろうが、商品力がより高まった上位グレードに乗り換えるケースが多いというのである。その商品力の中に、コネクテッド機能などが含まれるのは、時代として当然のことであろう。

 これも現場のセールストークかも知れないが実際、中古車市場でも人気のCXシリーズならずとも、下取り条件の良さという点で、上位グレードが薦めやすく、またそれをユーザーも納得しやすい事情もあるに違いない。

新型CX-60登場でお手頃な既存モデルはさらに売れる!? 懸念事項も……

 そんな、SUV、クロスオーバーモデルで販売力を高めているマツダには、2022年秋にデビューが予定されている最新かつRWDレイアウトを用いた2.5L直4ガソリン、縦置き直6ディーゼルエンジンを揃える新型CX-60がある。

 現在MX-30にマイルドハイブリッド、BEVが用意されているが、CX-60には、例によってガソリン車とクリーンディーゼルモデルのほか、クリーンディーゼル+マイルドハイブリッド、そして待望のe-SKYACTIV PHEVをフラッグシップグレードとしてラインナップ。マツダファンならずとも、期待が高まるところだ。

 これで国産SUV、クロスオーバーモデルのPHV(PHEV)の選択肢が一気に増えることになり、電動SUV、クロスオーバーモデルのブームを盛り上げてくれることは必至(かつてはアウトランダーPHEVぐらいしかなかったのだ)。

 ただし、全長4740mmはCX-8とCX-5の中間だが、全幅1890mmはCX-8より幅広い、輸入ラージサイズSUVに匹敵するサイズ感なのだ。そのあたり、日本の交通事情、駐車環境下で、ユーザーがどう判断するかが気になるところ。が、むしろそこがポイントとなり、CX-5(適度なサイズ)とCX-8(想定外の廉価さ)のポジショニング、価値は、少なくとも日本国内では揺るがないように思える。もっとも、このコネクテッド時代に、マツダ車のナビ画面の小ささの改善は急務に思える。

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