大きな樹木がシンボルとなり、ナチュラルグリーンの外壁が特徴のガレージハウス。ガレージに収まるのは、これまた薄いグリーンにペイントされた1988年型ホンダCR-XのJDM仕様だ。「JDM」とは、1990年代にアメリカで流行ったカスタムスタイルで、高性能かつリーズナブルな日本製コンパクトカーをベースにし、日本の走り屋風スタイルを真似たもの。日本では、そんなアメリカのスタイルを参考にするカスタマイズが人気となった。
今回紹介するガレージオーナーのIさんは、10年前からホンダCR-Xのカスタマイズに没頭。ボディカラーをアイスブルーでオールペンするなど、クルマのカスタマイズが大好きで、自動車整備士免許を持っている。
以前はアパートの屋外駐車場でボディカバーをかけカーライフを楽しんでいたが、結婚し愛娘が誕生したことがきっかけで、ガレージ付きの家が欲しくなったとのこと。当初はアメリカ西海岸風の横張りサイディングの家に興味があったが、行きつけのショップで『飯田亮建設設計室』の飯田さんに出会い、その思いが加速していったという。
紹介された飯田さんも1966年式のカルマン・ギアに乗るクルマ好き建築家。クルマ好きの心理を熟知しているため「ガレージが欲しい !」と要望する施主への提案には定評がある。 今回提案したのは「日本に憧れたアメリカ人が、祖国で建てた日本の住まい」というもの。まさに住宅版のJDMスタイルである。子どもがいる家庭には、何かと和室があると便利なもの。I邸ではアメリカンと和テイストを融合させることで快適に過ごせる家をプランニングしていった。
土地探しからこだわった家
カスタマイズされたCR-Xは、ギリギリまでローダウンがなされているため、ガレージへのアプローチはなるべく高低差がないようにしたいところ。ということで、飯田さんは土地探しからアドバイスし、予算と建物とのバランスを考えて、約280平方メートルの現在の土地に決定したのだそうだ。
この土地は、かつて造園屋さんがアカシデの木を育てていた土地。そのうちの2本を残し、その他の木は根を掘り起こして土地を改良。見事、クルマをスムースに出し入れ可能で、隣地の借景により四季の移り変わりも楽しめる土地となったのである。
どの部屋からもガレージが見える!
プランニングしたのは、木造2階建てのガレージハウス。ガレージの天井を高くし、各部屋に窓を設けることで、2階の和室、2階の廊下、キッチン、1階の廊下などの各部屋からガレージの様子がわかる設計とした。
ガレージには、友人を招くことが多いご主人のため、ソファを配置。タイヤラックやエアコンプレッサーを入れる収納スペースもあらかじめ設計した。2階は大きな窓をレイアウトし、外の景色や四季を楽しめるように。また、障子扉や葦簀戸をあしらい、和モダンなスタイルが楽しめる室内となった。窓の高さをちょうど腰掛けられる高さとしたことも、I邸のポイントとなっている。
リビングから見渡せるデッキも開放感抜群で、度々、友人を呼んではバーベキューを楽しんでいるとのこと。「クルマ好きな建築家・飯田さんに依頼したことで細かな配慮をしていただきました」とIさんは満足気に語っていた。
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